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スカジャンのシガン  作者: イ尹口欠
冒険者編

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63/185

63.結婚式(3)

「ちゃんと挨拶するのは初めてだな。はじめまして、俺がスカジャンのシガンだ」


「アデル・アドリアンロットよ。アデルと呼んでくださいまし、旦那様」


「あ、ああ。アデル。今日が初対面だけど大丈夫か? 昨日はよく眠れたか?」


「目のクマのことですか? メイドたちが苦心して化粧で誤魔化そうとしていましたけど……気にしないでください。夜ふかしはいつものことなんです」


「へえ。夜ふかしして、何をしているんだ?」


「私、読書が趣味なんです。乱読で、屋敷にある本をほぼ全て読み切っています。だから私、夫には生活と本を買うための財力しか求めていません。あ、でも子供は必須だと父に命じられていますから、今晩からよろしくお願いします」


「お、おう……」


 新婚初夜は、アデルと過ごすことになっていた。

 その次の夜がベルとの初夜になる。

 ベルとは散々、婚前交渉をしているから今更だが。


 アデルと話していると、ベルがアティとターニアとガールを連れてやってきた。


「初めましてアデル様。私はベルベット・ザールムントです」


「初めまして。気軽にアデルと呼び捨ててください。立場上は第一夫人ですが、あなたの方が愛を育んだ期間は長いのでしょう? 旦那様のこと、いろいろと教えて下さいね」


「え? ええ……」


 ベルとしてはこの場で宣戦布告する気でやって来ていたのだが、肩透かしを食らった形になった。


 アティがシガンの肩をポコポコ殴る。


「もう! アティが二番目だったのにシガンさまの馬鹿! 次はアティの番だからね!?」


「シガン、私との結婚もアティと同時でお願いね」年齢が最年長なのに結婚の順序が最後であるターニアが真顔で言った。


「わ、分かった。アティが14歳になったらアティとターニアと結婚しよう」


 シガンは「本当ならばせめて16歳くらいまで先送りにしたかった」と内心では思っていたが、口が裂けても言えない状況である。


 ガールは「随分と若い花嫁たちですね」と感想を述べた。

 やはり文化文明の発達とともに晩婚化するのは必須らしい。

 シガンはガールの一言に内心、全力で同意したかったが、やはり口が裂けても言うことはできなかった。


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