64.結婚式(4)
化粧とドレスを直し、シガンたちはアドリアンロット伯爵邸で披露宴に参加する。
出席者はザールムント伯爵家やアティたち招待客、そして伯爵が知らせを送った貴族たちとその子弟である。
順番に挨拶に来る名前も顔も知らない貴族たちに挨拶をしながら、シガンは自分も貴族になったような不思議な感覚を味わっていた。
この場では貴族の子弟が将来の結婚相手探しをしに着飾って来ている。
アデルに友人は少ないらしいが、何人かの貴族令嬢と笑顔で話し込んでいた。
時折シガンの方を向いて何か言っていたが、それが悪口なのかなんなのかシガンには判断できない。
上等な料理と酒が供される。
料理にはもちろん巨大野菜が使われた迫力のある品が目立つ。
とはいえ野菜をメインにするのは難しい。
シガンは肉や魚も言霊で何かできないか考えようとしたが、疲労で酒のまわりが早くて考えがまとまらなかった。
さてシガンの耳に聞こえてくるのは「新興の成り上がり者」という悪評が多い。
それも仕方のないことだ、とシガンは甘んじて受け止める。
貴族たちからは散々嫌味を言われたが、テキトーに受け流した。
かくして、シガンの結婚式が終わった。
そして新しい生活が始まったのである。




