41.クラーケン狩り
「やめましょう、シガン様。クラーケンだなんて……」
「聞いたことがあります、シガンさま! とっても美味しい巨大イカなんですよね!」
「……クラーケンだなんて。神々よ、どうか私たちにご加護を」
三者三様、というか基本的にクラーケン狩りには反対らしい三人を引き連れて、シガンは漁港に向かった。
磯の匂いが強くなる。
潮風がベタつく。
海よりも山派のシガンはやや気が滅入ったが、今更ここでやめるとも言いづらい。
依頼主の船に乗り込むと、さっそく船を出した。
ちなみに船の操縦方法を知っていたのはアドリアンロットで生まれ育ったベルとターニアだけだった。
シガンは棒倒しで「《この棒が倒れた方向にクラーケンがいる》」といつもどおりの儀式を終え、後はアティに任せることにした。
船を出して30分ほどした頃、海面に黒い影が過ぎったのをアティは見逃さなかった。
「シガンさま、大きな影が!」
「よし、やるか」
「でも海の中だよ? どうやって……」
「《クラーケンはわざわざ海面から顔を出す》」
にゅ。
「よし、アティ、援護しろ!」
「え? え?」
シガンは刀を片手にクラーケンに踊りかかった。
シガンは激闘の末、ついにクラーケンの眉間に刀を突き立てた。
それを唖然と見守るのはアティだった。
ベルとターニアは操船で忙しく、クラーケンが現れたことにも気づいていない。
「よし、こいつを曳航していけば依頼達成だな」
「ねえシガンさま。クラーケンが頭を出さなかったらどうしたの?」
不安そうなアティの疑問に、シガンはこう答えた。
「大丈夫、俺って運がいいから!」
さしものアティもこれには呆れ果てたという。




