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氷柱の逃げ場と、2

 氷柱は良くも悪くも純粋である。

 見た目だって、同性である俺でさえも可愛いと思うのだから、女の子から見ても可愛いと思われるレベルで、男子制服を着ていても性別が疑われるだろう。

 純粋さ故に性格も良くて、女子並みに可愛らしい容姿を持つ氷柱は、一部の女子からは可愛がられていることだろう。……けど、そんな彼に嫉妬する女子は結構大勢いる。


 きっと、彼は育っていた環境からの影響で感受性が豊かすぎて、人の悪意に敏感になりすぎてしまったんだろう。……だから、人と上手く関わることが出来ずに一人で過ごしていたと言うのもあると思う。

 けど、一人で過ごしていた時間が多かったのは、もう一度言うが彼が育ってきた環境からの影響が大きいと思われる。

 地獄の日々を過ごした過去が影響し、氷柱は誰かを信じることを拒絶するようになったんだと思う。

 氷柱は確かに人自体は完全には拒絶していない。……だけど彼が人を信じるか信じない……を決めるのは、それとまた別の問題と言える。


 氷柱は純粋だ。

 良くも悪くも、だが。

 一度信じた人はとことん信じ、どんどん依存していってしまう。

 そのことを氷柱は自覚しているみたい。

 だから、余計に氷柱は自分に対して厳しくなってしまうのだろう。

 大切な誰かを氷柱自身が束縛してすぎて、失ってしまわないように。

 距離をおいたような態度で接する。


 だけど、俺は……俺自身に依存しろと、氷柱に躊躇いもなくそう言った。

 多少の束縛など不快にも思わないし、……お父様の“俺”に対する過保護と比べたら、氷柱の束縛なんて可愛いものだ。

 遠慮なんてする必要なんてない。俺はもう恋人を作る気なんて全くないのだから、優先するのは友人と家族だけ。

 氷柱が満足と思うまで俺に依存して、束縛して貰って構わない。

 狂ってる? そう言われたって構わない、狂ってることぐらい俺だって自覚してる。


 これが俺だから、変えようと思っても変わることが出来ないんだよ。

 人の心を変えると言うことは、言葉では言うのは簡単かもしれない。

 だけどね、他人からの言葉で変わろうと思っても……本当に強い意志がなければ、人の心を自分自身でも変わると言うことは難しいよね。

 俺は誰かに迷惑をかけない限り、自分を変えるつもりはないから。……誰に言われようとも、ね?



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