友人関係
六時間くらいずっと、気絶するように眠る氷柱を撫で続けていると言うのに俺は全然眠くならなかった。……当たり前か、昼間に授業をサボってまで昼寝をしていたのだから。
まあ、実際は授業免除されているからサボりではないのだけど、それを知らない氷柱以外の生徒にはそう見られているのだろうけどね。
この見た目だから、サボりをしている不良と勘違いされても何も言えないのは仕方がないことだと思う。まあ……実際のところは、教室近くの木に居るから授業内容は聴こえてくるのだけど。
「……ん、おはよぅ」
そう言う氷柱に俺は微笑み、「おはよう」と朝の挨拶の返事をし、再び彼のふわふわした茶髪をとかすように撫でる。
と、氷柱は何かに見惚れるかのように、ジーと一点だけ眺めていて。
俺は氷柱の視線の方向を見てみたのだが、そこには何もなく、不思議で思わず首を傾げた後、手は休めることなく氷柱の髪を撫で続け、俺はこう言う。
「氷柱、どうかしたか? 一点を見つめて呆然としちゃって」
「あ……ううん。何でもないよぅ〜」
と、俺の疑問に、前とは違う語尾が伸びたような言葉使いに、驚きのあまり思わず俺は目を見開くと、この喋り方が本当の喋り方なのか、彼はハッとした様子で自分の口元を両手で隠していた。
そんな氷柱の様子に俺は思わず微笑む。
少しは氷柱に信用されてきたのかと思うと、俺は嬉しかった。
「少しずつ、本当の氷柱を表情に出していけば良いさ。俺は待ってるから、ね?」
と、そう俺が言えば、その言葉に照れたように微笑む氷柱。
端から見れば恋人同士の会話にも見えてしまうかもしれないけど、俺達はけしてこれから先も友人以上な関係にはならないだろうと思う。
氷柱には甘やかしすぎくらいが調度良いのだ、彼は自分に対して厳しすぎるから。
人の心は簡単には変わることは出来ないから、その人が“自分は変わりたい”と思うようなきっかけが必要なんだ。……自分が変わりたいって思わない限り、その人は……。
いつまで経っても、その人の心は変わらないのだから。
……だったら、自分に厳しい氷柱の代わりに俺が甘やかせば良い。
そう考えたから、氷柱に冷静になった今思えば、「だったら、俺に依存してしまえば良い」など、俺は彼にそう言ってしまったのかもしれない。
君との友人関係は、いずれ俺も依存することになるかもしれないな。




