もう一つの闘い
1年aクラスVS xクラス。大乱闘に発展した1階廊下を眼下に、向かいの職員棟の廊下に立つ二人の教師の姿。
「落ちこぼれ共と一緒になって、エリートたる我がクラスまで…。あのような育ちの悪い名字なし(ノーバディ)共と交わっても碌なことにはならん。収拾を図るか」
そう言い捨て、歩きだそうとするaクラス担任、九条。それに対し
「あんた、相変わらずの純血主義なのね…。時代を考えなよ。もう血統者より名字なしの方が多数派なのよ。下らない思想を生徒にまで押し付けないでよね」
そう言って立ちふさがるxクラス担任法月。
「そういうとこが昔っから嫌いなのよね。“さだみー”」
「っく…! いつまでそのくだらない呼び方を通す気だ、法月!」
九条は苦虫を潰したような顔を浮かべ、「これだからお前たちは嫌なんだ」とかなんとかぶつぶつとつぶやいている。
だが、不快感を露わにするも法月はどこ吹く風だ。
「とにかく、通してもらおうか、法月教諭。私はこれからあの騒ぎを仲裁しに行くのでね」
そう言って、法月を無視して進もうとしたが
「おっと。ここは通さないよ、九条せんせー。お前んトコとうちのクラスの間じゃさ、入学式以来争いの火種が燻ってたんだ。ここいらでガス抜きの一つも必要でしょ。少しくらい怪我したって、あいつらまだ若いんだし、大丈夫っしょ」
挑発的な笑みを浮かべる法月。対して九条は信じられないものを見るかのように
「何を馬鹿な。相手はただの高校生じゃない。干渉者同士だ。怪我程度で済む筈がない。それに授業外での能力使用は禁止されている! いくらお前が阿呆でも、その点はわきまえていると思ったが、ここまでとは。やはり落ちこぼれクラスは担任まで落ちこぼれのようだな。あくまで立ちふさがると言うのなら、無理やりにでも通るぞ」
言って九条は構えた。
「ははッ、相変わらずクソ真面目ね。そんなに通りたいなら、とっとと私を排除すれば良かったのにね」
目の前に実力行使も辞さない構えの男を前に、法月は心底おかしそうに笑う。
そして懐に手を入れ
「お前をあのコ達の所へは行かせない。昔みたいに、私が遊んでやるよ!」
「どけ!!」
生徒を諌めようとする者、生徒の自主性に任せようとする者。二人の若い教師の激突は、建物全体を揺るがす衝撃と共に幕を開けた。




