第24話 アビスゲートの空
皆様、お待たせいたしました!『新章 冥界編』のスタートです。
前章のザハード城での大冒険を終え、勇者一行を待っていたのは……まさかの「超絶ブラック農場生活」でした。伝説のアイテムを持ち帰ったはずが、それが「最高級の肥料」として噂になり、今やキャスティの農場は王宮御用達の巨大プラントと化しています。
今回、平和(?)な農場の上空に現れた不気味な「アビスゲート」。本来なら世界の終焉を告げる絶望の予兆ですが、働きすぎて感覚の麻痺したミドリたちの手にかかれば、それすらも「便利な農業資材」に見えてしまうから不思議です。
出世魚ならぬ「出世犬」となったシャープの再登場、そしてアニーの斜め上を行く計算能力。農業と冥界が交差する、かつてない冒険が今始まろうとしていた。
ザハード城から帰還したミドリ一行を待っていたのは、安らぎではなく「大量の発注書」だった。王宮に持ち込んだ「黄金の樽」の噂が、尾ひれがついて「神の肥料で作られた奇跡の野菜」として広まってしまったのだ。
それから、数カ月間。
キャスティの農場に、王宮の料理番から冒険者ギルドの保存食担当まで、ひっきりなしに伝書鳩が飛んでくる。
キャスティは完全に「鬼の経営者&狩人」と化し
「ミドリ、立って! あと1分あるわ!焼肉にされたいの?」
キャスティの怒号が飛ぶ中、ミドリはプルプル震えながら豊穣の黄金を撒き散ら、小型耕耘機として、
爆走し栄養豊かな農地に奮闘していた。
緑(……くそ〜、鬼のキャスティ、忙し過ぎ、休み無しは、ブラック労働化してる……。)
オゥク(豚関取見習い)が「爆裂・土壌改良」で悪臭を放つが、エレキテル・キャロットには、育ちが良く、収穫量が安定していた。たまに摘み食いするけど、キャスティに見つかると、電撃ムチが飛んできて、オゥクの肉体がロースハムのような模様になりかけていた。
ヤフーの10m高所作業
「二足伸縮」を発動し、10mの高さにある「天空ミニトマト」の収穫に挑むヤフー。細い首のフットワークで、次々と収穫している。
バックは鋭い爪で、岩石を掘り出し新たな畑を広げている。たまに寝る。
知性派(?)アニーとほねの暗躍
常に半目のデッドホース・アニーが「計算」スキルで、キャスティの無茶な出荷スケジュールを最適化。
「ほね」が「誘惑」スキルで近隣の野生モンスターを呼び寄せ、無理やり農作業の手伝い(バイト)をさせる。
ここがRPGの世界であることを忘れ、平和な日常を過す。ミドリ達は、農場の真上に、不気味で邪悪な黒渦「アビスゲート」が出現する事件が世界中を駆け巡っていた。
キャスティ「ちょっと!なんなのあの薄い渦は!? 私の農場が、 ミドリ、何とかならないの?」
ミドリ「……上手く……ビニールハウスの天井にならないかな?」
キャスティ「何それ?アニー、計算して! あのゲートのエネルギー、ビニールハウスの膜に使えない?」
アニー、半目のまま「計算」を完了。「……可能。私の念力でゲートを圧縮すれば、ヤフーとホネのDIYとミドリくんのコンクリートあれば、作れなくは無い!24時間、年中無休の温室が完成するはず……。」
ミドリ(マジかよ……冗談で言ったのに……。)
こうして、アニーがアビスゲートに念力を込めていた所に、豪華な馬車が到着。
カッカッカッ!ブルル!!
中から出てきたのは、仕立ての良い官服に身を包み、胸に「王室筆頭、犬」の勲章を輝かせたシャープ。
シャープ「お久しぶりです、ミドリ殿、 キャスティ様! 拙者、あの堆肥騒動のあと、王様の『鼻休め係』として重用され、家臣にまで上り詰めましたぞ!」
ミドリ(……出世したなアホ犬……。)
こうして、暗雲立ち込める。ミドリ達に新たな冒険が始まった。
第24話「アビスゲートの空」をご一読いただきありがとうございました!
冥界への門が開いたというのに、真っ先に「ビニールハウスの熱源(天井)にできないか?」と考えるミドリたちの逞しさ(あるいは社畜根性)には、作者ながら脱帽です。アビスゲートを念力で圧縮して温室にするという、「冥王もびっくりの魔力有効活用」が今後どう転ぶのか……。
そして、まさかの大出世を遂げていたシャープ。王様の「鼻休め係」という謎の役職が、今後の展開にどう絡んでくるのか(あるいは全く絡まないのか)、ぜひご注目ください。
次回、ついにアビスゲートの向こう側、冥界の住人たちが「不法占拠されたゲート」の惨状を目の当たりにします。ミドリたちの農地拡大の野望は、冥界すらも飲み込んでしまうのか!?
次話もどうぞ、よろしくお願いいたします!




