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フォルトレス帝国は現在同盟にあるため、恐らく帝王側が不利になった場合はこちらにも助けを求めてくるだろう。
革命が行われる、厳密な理由も知る必要があるがその前に必要なことがある。
「フォルトレス帝国の貴族に関する資料はこちらにありますか?
あれば、至急準備していただきたいです。
あと、この部屋で魔法の使用許可を願います。」
「資料は探すわ、攻撃魔法や厄介な魔法でなければ、使用を許可するわ。
連絡する魔法でしょう?」
「はい。ピオに……ピオリス皇子殿下に至急繋ぎます。」
周りも自分もどたばたと指示を始める。
アストラはただニコニコと準備を進めてくれる。
腹の内が読めない男、この件で彼を責めるべきではないし、ただ彼のお友達が関わっていただけ。
「映写、通信、ピオリス・スターリーに。」
コマンドを出し、使う魔法を選び、声に出す。
無事、魔法が起動する音が聞こえてくる。
よし。
『……随分早いホームシックだな。』
「ピオ兄が寂しがってる頃かと思いまして。
……じゃない、えっと、フォルトレス帝国が近々帝国民による政治的革命が行われることは存じていますか?」
煽りたげなピオ兄の顔が空中に映し出される。
ふっと鼻で笑い返そうとしたが、今はそんな時じゃないと本題に入る。
『……いや、そんな情報は来ていない。
信用出来る情報筋か?』
「…………信用出来るか否かは、ピオ兄が判断してください。
カナリムという家名は?」
『……ああ、フォルトレス帝国宰相補佐の家名か。
まさかそこにいるのか。』
「王都にいます。
革命が行われ、国内戦争になることを見越し亡命したと。」
『現在亡命による入国許可は一切出していないぞ。
父上と兄さ……兄上にすぐ伝える。また連絡をする。』
状況を把握したピオ兄が通信を切ろうとする。
「お待ちください。
不法入国ではございますが、先に革命の真偽について把握をお願いいたします。
場合によって、温情を与えることも出来るでしょうから。」
『言われずとも分かっている。
そちらの宿にいるのだな?
俺も向かうから待っていろ。』
「……あー……、その……。
私は宿にはおらず、王都立歴史図書館におります。」
『王都立歴史図書館にその者がいるのか?』
「いえ、その。
えっと……。」
『……俺が向かうまで待っていろ、怒るのはことが終わったあとだ。』
「まっ……!
そんなぁ…。」
問題を起こしたのは私ではないのにっ!
ピオ兄の鬼!悪魔っ!
静かに拳を握って悔しがっていると、アストラが後ろから声をかけてくれる。
後ろからじゃないと話しかけれないのか、と少しイラッとする。
別にピオ兄に怒られるからイラついているわけではないけれど。
「ピオリス皇子殿下には、私も同行し、説明致します。
証人がもう1人いた方が信憑性が上がるでしょう?」
「必要なら私も呼んでちょうだい。」
アンドレア様からも声をかけてもらえる。
それならありがたい。
これ以上拳骨を喰らって、頭部にタワーを形成したくない。
2人に礼を言うと、2人の後ろにアンナ様が心配そうにこちらを見ていることに気づいた。
「……シキ様、失礼ながら一つお伝えしてもいいですか?」
「アンナ様……、どうかされたのですか?」
「シキ様の行なった事は亡命した他国の民による治安悪化を防ぐ大変素晴らしい報告でございました。
それを踏まえて、私からお伝えしたいのは……。」
「はい……。」
言いづらそうにしているアンナ様に続きを促すために相槌を返す。
ここまで溜めることがあるだろうか。
「恐らく、国王陛下からお褒めの言葉を預かることになるかもしれません。」
「…………………………すみません、今理解しました。
そうですね、そうですよね……。」
頭を抱えてうずくまりたくなる。
ひいお祖父様ほどの功績ではないにしろ、国王から褒められるということは、次の日には新聞の記事の一部分を飾ることになるかもしれない。
……ピオ兄に伝えたら、もしかしたら回避出来るかもしれない。
そもそもこれはアストラの功績である、と脳内で気づき、アストラの方へ顔を向けるとニコニコとしていたアストラの顔に少し驚きが見える。
「アストラ様の功績なので、殿下にはそう説明します。」
「い、いえ、シキ様の立ち回りが良」
「説明!します、ねっ!」
「…………承知いたしました!」
笑顔で承諾してくれたアストラにホッと息をつく。
説明もしてくれる、空気感も察してくれる。
初対面のアレが異常だっただけで、他の能力は高い。
「とりあえず、この本はこっちで返却手続きをしておくわ。」
「ありがとうございます。
アストラ様、もし今日フランナに会う機会がありましたら、絵本の件をお伝えいただいてもいいですか。」
「……残念ながら、本日こちらを離れる予定がないのです。」




