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英雄を狩る少女  作者: ジャクロの精霊


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本当は、見たくなかった。

夜は二度と穏やかではなかった。


アーヴェンは立っていた。


一人で。


家から遠く離れて。


待っていた。


「出てこい。」


沈黙。


風が吹いた。


そして…


「ここにいるわ。」


セツナが現れた。


暗闇の中から。


彼女は後ろを振り返った。


沈黙。


レナはさらに後ろにいた。


緊張していた。


アーヴェンは武器を抜かなかった。


「なぜだ?」


直接的に。


セツナはすぐには答えなかった。


「なぜこんなことを?」彼は続けた。


「なぜわざわざここまで来たんだ…?」


沈黙。


「攻撃することもできたはずだ。」


間。


「だが、しなかった。」


セツナは彼を見つめた。


「あなたの反応を見たかったから。」


沈黙。


「もうやったわ。」


アーヴェンは歯を食いしばった。


「あいつらを巻き込むな。」


セツナは首を傾げた。


「もう関わってないわ。」


沈黙。


「違う。」


沈黙。


「あいつらはあなたとは何の関係もない。」


セツナは一歩前に出た。


「そう思ってるだけよ。」


空気が一変した。


ミラは動かなかった。


しかし、彼女は分かっていた。


これは何かを壊すことになる。


アーヴェンは声を荒げた。


「あいつらのことは口にするな!」


セツナは止まらなかった。


「あいつらは知らない。」


沈黙。


「…何だって?」


「あいつらはあなたが誰なのか知らない。」


アーヴェンは凍りついた。


「あいつらは知らない…」


沈黙。


「…お前は俺が狩る奴らと大して変わらない。」


「黙れ。」


「奴らは、お前が人を利用していることを知らない。」


「黙れ!」


「あるいは、お前が役に立たなくなったら見捨てるつもりだったことも。」


完全な沈黙。


その衝撃は直接的だった。


物理的なものではない。


それよりも悪い。


アーヴェンは一歩後ずさった。


「…そんなはずはない…」


彼はためらった。


初めて。


「…そんなはずはない…」


セツナは無表情で彼を見つめた。


「そうだろう?」


沈黙。


「ならば、教えてくれ。」


間。


「なぜ、お前だけの名義で口座を開設したんだ?」


アーヴェンは緊張した。


「…?」


「なぜ、土地契約書に署名する欄がお前だけのものなんだ?」


沈黙。


「どうして彼らの価値を尋ねたの…彼らを含めずに?」


一言一句…


それは痛烈な一撃だった。


アーヴェンは視線を落とした。


――…僕は…


――説明しなくていい。


セツナはもう一歩踏み出した。


――分かっている。


沈黙。


――あなたはやり方が違う。


間。


――でも結局は…


彼女の目は険しくなった。


――同じよ。


アーヴェンの呼吸が速くなった。


――…違う…


――彼らはあなたを信じている。


沈黙。


――そしてあなたは…


間。


――あなたは彼らを失ってもいいものと考えている。


それが彼を打ちのめした。


――…僕は…


彼は言葉を最後まで言い切らなかった。


なぜなら、言えなかったからだ。


アーヴェンは顔を上げた。



彼の目は…もはや力強さを失っていた。


彼らは…人間だった。


――…彼らを放っておいてくれ…


彼の声は低くなった。


――…お願いだ…


沈黙。


ミラは彼を見つめていた。


レナも。


セツナは変わらなかった。


「私は彼らに触れない。」


その言葉で彼は立ち止まった。


「…何だって?」


「彼らは私の標的ではない。」


沈黙。


「だが、お前は標的だ。」


風が吹いた。


アーヴェンは一瞬目を閉じた。


「…ならば、やってみろ…」


彼は目を開けた。


「もし俺が彼らと同じだと思うなら…」


沈黙。


「証明してみろ。」


沈黙。


セツナは一歩後ずさった。


「まだだ。」


「…?」


「まだ決めていないだろう。」


空気が張り詰めた。


「決めたら…」


沈黙。


「戻ってきて。」


沈黙。


刹那は背を向けた。


「あの時…」


彼を見ずに。


「何も言わない。」


彼女は去った。


アーヴェンは一人残された。


沈黙の中で。


恐怖よりも恐ろしい何かを抱えて。


疑念。


作者より

この章を読んでいただき、本当にありがとうございます


刹那が抵抗もせずにアーヴェンを打ちのめすこの心理戦を楽しんでいただけたなら、お気に入り登録、ポイント、コメントで応援していただけると嬉しいです。


これはまさに本格的な精神戦だ。

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― 新着の感想 ―
 口座名義などは、どうやって調べたかは不明ですが、歪な関係みたいですね……。
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