すべては計画通りに進んだ。
風は吹き続けていた。
しかし、何かが変わっていた。
アーヴェンがいなかった。
彼の足音の残響は…遠ざかっていった。
一行は沈黙した。
最初に口を開いたのはミラだった。
「彼を攻撃しなかったのね。」
セツナは何も答えなかった。
「攻撃できたはずよ」とミラは付け加えた。
「距離はあったのに。」
沈黙。
「今はその時じゃなかったの。」
レナは眉をひそめた。
「つまり、あなたは彼を…そのまま逃がしたのね?」
セツナはすぐには答えなかった。
彼女は地平線を見つめた。
そして…
彼女は微笑んだ。
それはかすかな微笑みだった。
ほとんど気づかないほどだった。
しかし、それは確かに微笑んでいた。
ミラはそれに気づいた。
「…セツナ様…」
それはいつもの彼女ではなかった。
セツナは口を開いた。
「すべて計画通りよ。」
沈黙。
レナは瞬きをした。
「計画?」
刹那は振り返った。
彼女の目はもはや冷たいだけではなかった。
それは…鋭い眼差しだった。
「帝国が反応した。」
沈黙。
「英雄たちが動き出した。」
もう一歩。
「そして今…」
沈黙。
「一人が自らの意思で現れた。」
ミラが最初に理解した。
「あなたが望んだのね。」
刹那は頷いた。
「ええ。」
レナは首を横に振った。
「それは…危険よ。」
刹那は彼女を見た。
「もちろん。」
沈黙。
「だが、必要なことでもある。」
沈黙。
「もし彼らが隠れたら…」彼女は続けた。「…私が見つけなければならない。」
「もし彼らが私のところに来たら…」
彼女の目が鋭くなった。
「…私は彼らを監視する。」
ミラは腕を組んだ。
「あなたは彼を利用しているのね。」
「ええ。」
沈黙。
レナが静かに言った。
「でも、彼は他の人たちとは違っていた…」
セツナはすぐには答えなかった。
「彼は違う。」
その言葉で場の空気が変わった。
「じゃあ…」レナは言った。「…なぜ?」
セツナは一歩前に出た。
「だって、彼だけが本当に厄介な存在になり得るから。」
沈黙。
「そして、私は知りたいの…」
間。
「…今彼を始末すべきか…」
彼女の目が険しくなった。
「…それとも後で。」
風が吹いた。
さらに強く。
ミラは声を低くした。
「つまり、あなたは彼を試しているのね。」
「ええ。」
沈黙。
レナは唾を飲み込んだ。
「もし彼があなたにも同じことをしたら?」
セツナはレナを見た。
そして今度は…
彼女は微笑まなかった。
しかし、否定もしなかった。
「そしたら面白くなるわね。」
沈黙。
セツナは振り返った。
「行きましょう。」
ミラはためらうことなく後を追った。
レナと友人は顔を見合わせた。
「…これは普通じゃない…」友人は囁いた。
「ええ…」
レナは深呼吸をした。
「でも、世界も普通じゃないわ。」
そして…
二人は歩き続けた。
遠くで…
アーヴェンが立ち止まった。
一瞬。
何かを感じ取ったかのように。
しかし、彼は振り返らなかった。
彼も知っていたからだ。
これは…
既に始まっていたのだ。
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