英雄の追憶
透き通る青空の下、華やかに彩られた町に喜びの声が満ちていく。
平和を祝う年に一度の記念日。
曇りのない笑顔が、積み重ねた日々の幸せを静かに語る。
王の治世を寿ぐ声に応え、私は人々とともに、これからの安寧を祈った。
幾度も繰り返されてきた祈り。かつて夢にすら描けなかった願いが、今では当たり前のように息づいている。
ふいに吹き抜けた春の風が、過ぎてきた時間をそっと呼び起こす。
私は変わらぬ蒼天を見上げ、遠い日々へ想いを馳せた。
仲間と駆け抜けた、短くも濃密な冒険譚。
成果に喜び、何気ない日常に笑い、迫る魔物の影に抗った、あの戦いの季節。
そして冒険の果てに託された、友の願い。
世界を救った私は王冠を受け取り、人々とともに悲劇を越え、幸せを積み重ねてきた。
気づけば、かつての争いは遠い昔。
人の記憶から、本の記録へと姿を変えている。
ふと道行く子供が無垢な笑顔を向ける。明るい声が響き、私は記録には残らぬこの時間にそっと安堵した。
安らかな陽だまりの中、王冠を傍らに、私はまどろむ。
──今日も世界に、幸があらんことを。
先の「転生者の影記」の対になる詩です。
アレスの視点で世界が救われて数十年経った後の話として書きました。
色々書きにくかったですが、しかし書けてよかった作品です。
個人的に以下のフレーズが好きです。
「気づけば、かつての争いは遠い昔。
人の記憶から、本の記録へと姿を変えている。 ふと道行く子供が無垢な笑顔を向ける。明るい声が響き、私は記録には残らぬこの時間にそっと安堵した。 」
平和というのは案外そういうものではないかなと、勝手に思い込みながら書きました。
二つの詩を並べて書きましたが、これが多分最初で最後じゃないかなと思います。
テーマ性が強い作品だったので書きましたが、多分他は書こうと思わないし、多分書けないですね・・・
いずれにしてもここで本当の完結です。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
この後もマイペースにラーザイル戦記を書いていく予定です(多分。他に興味が出ればそれを書きます)
引き続き応援してくだされば幸いです。
また、本作品が面白いと思った方、高評価等お願いします。
よかったら誰かに広めてくれると嬉しいです。
ありがとうございました。




