書きたいものは物語のどこを支えてくれますか?
書きたい事は決まったでしょうか。
たった一つを選べないと考えた人もいるかもしれませんが、書きたい事を一つに絞る事はありません。たった一つでは物語が漠然としすぎて見えにくいという事もありますし、複数選ぶことで見えてくる物語もあります。無理っぽかったら複数の物語に分割すればいいのですよ。
まぁ、書きたいことが決まっても、それが即、物語になるわけがないんですけどね。
小説に限らず、物語を紡ごうとした人間がほぼ確実に聞く言葉があります。
「起承転結」
言葉の意味は調べてもらうとして。話に流れを作れって事ですね。
なろうテンプレはいろいろと言われますけど、小説のテンプレは外さない方がいいでしょう。
舞台があり、出会いがあり、事件があり。何かを成そうとする者達。それを阻む敵。事件は主人公の勝利で終わりを迎える。
そんな話を考えてみた場合、貴方の書きたい事はどこに当て嵌まるでしょうか?
例えば、主人公最強というなら徹頭徹尾、それを通すべきでしょう。
雑魚はもちろん、ボスまで楽勝。主人公最強要素は話全体の方向性ですね。
その分のシリアス成分やピンチ展開は他のキャラにお任せ、話全体を明るくコメディタッチでまとめるのが無難です。もしくはあえて最強キャラに全く関係ない事で苦労を背負わせるか、ですかね?
例えばVRMMOで地雷・不遇職チートなら話の展開は分かりやすいです。
最初に地雷で不遇な面を押し出し、それをひっくり返すところまでが一連の流れになります。これだけで起承転結がワンセットですよね。
ただ、問題は「不遇扱いが一回限りの手札」ってところですね。基本一回知れ渡ってしまえば終わりの不遇扱い。使えると分かれば真似する人間が出てきますし、食指が動く人もいますし。そこから先は別の方向性に切り替えるか、そこで終わらせてしまうかの二択になります。……大体の作者はズルズルと続けるんですけどね。
NAISEI――内政物だとどうでしょうか。
内政時に考えられる問題一つをピックアップし、それを解決するストーリーが思い浮かびます。
それを“どうやって”が内政チート物の醍醐味なんですけど。どんな手段を選びますか?
ここまでが全体の方向性を決めるテンプレの例題。
VRMMOで、主人公がサモナーやテイマ-。モンスター引き連れてソロプレイ。
これは起承転結の「起」の部分です。その他は何も決まっていない、ほぼ真っ新な状態です。
この先の話はどうにでもなりますし、それこそ何も決まっていないと同じなんですよね。
これと同様なのが「凄いチート持ちの主人公」「モンスター転生からの最強進化」「VRMMOでユニークスキル・生産職」なんかです。
書きたい事がこれだけでは決まらない。それを前提に考える必要があります。
主人公のギリギリ限界バトルが書きたい、であれば「転」、クライマックスがそれに当たります。
ぶつかり合う技と力、対立する主義主張。これらが最も映える場所はエンディング前がベストだと考えます。これに限らず、書きたいシーンというのはクライマックスこそが相応しい。
もしくはエンディングのオチでしょうか? 「結」の部分ですね。
このどちらにも関わらないようでしたら、それは話全体を決めるものではなく、小ネタ程度の扱いにした方がいいと思います。
書きたいものがある。
では、それが話の中のどの部分なのか。それを把握しましょう。
そうすれば、貴方の書きたいものが物語になるのに何が足りないのか。それが分かると思います。