episode0.絵描きの青年
再投稿です。
初めて小説を書くので温かい心で楽しんだ頂ければと思います
「今日もいい天気だなぁ」
ザーザーと雨が降る森の中。
荷物が濡れないように鞄を守りつつ自信はびしょ濡れの狐の青年がいた。
青い狐の耳に尻尾を持った青年
髪は首にかかるくらい長さがあり、外に向かって跳ねている癖毛の晴天の青空色
服装も身軽な衣装に尻尾が隠れるくらいの薄茶色のマントとサンダル。
それに大きなカバンであった。
「…!!!」
青い狐耳がぴくりと動いた。
雨を眺めながら、青年は笑う。
「おぉぉ…この池!周りの花たち!この水の跳ね方!雨の音!ここ好きだなぁ」
この青年は今雨が降るなか、池を眺めていた。
濡れることを何とも思わず池を少し眺めたあと、
池の近くの使われていない小屋へと向かった。
「誰かいますかー?」
人がいる気配はしないものの、誰かの小屋であったことは事実なため、小屋に向かって声をかけた。
「お借りします!」
青年は壊れかけの小屋で
入り口の横に雨宿りができるスペースがあるため中には入らず壁にもたれかかるように座り込んだ。
そして自分が持っていたカバンからキャンバスと筆を取り出し、その池の絵を描こうと準備をした。
「お猫さんも雨宿り?一緒だね」
同じく入り口近くで濡れないように丸くなって寝ている猫もいたため、話しかけながら自分の作業を進めていく。
池は少し珍しく、周りには自分の身長よりも大きな白や緑の花が咲いている。
ここは別名“大きなものの住処”とも言われているが、花以外はどこにでもあるような池であった。
雨のせいで水が濁っているが、周りには大きな花に溜まっていま雨水が水滴となって落ちる様がこの青い狐は気に入っていた。
池のすぐ横にある小さな小屋以外周りには家などはなく、森の少し奥にあるこの場所は
街と街をつなぐ道の近くではあるものの
多くの人は整備された道を使うため、独り占めである。
「雨の日は絵が描けないって誰が言ったんだか、ちゃんと描けるのにね〜」
隣にいる猫に話しかけながらも絵を描き進めていく。
______雨の音、水の音、小屋の剥がれ掛けの木材が風で揺れる音、青年の鼻歌
いろんな音がありつつも心地のいい空間だった。
————————————————
ぐぅ〜
静かな空間に聞こえた腹の音。
腹時計が今はお昼だと教えてくれる。
今日はパンを食べようと考え、なんのパンがあるのか楽しみに思いながら、絵もちょうど描き終えた。
その時にはすでに雨は上がっており、隣にいた猫も姿を消していた。
青年は完成したばかりの絵を持って立ち上がり
「楽しい時間だった!ありがとな!」
と誰もいないはずのこの場所にいい、この場を立ち去った。
近くの街に移動をして
随分とこの街にも居座っているな、と改めて街を見ながら
「やっぱここの街はみんなは笑顔が多くていいなぁ」
そう呟いた。
手には先ほど書き終えた絵、びしょ濡れのマント
そんな青年を待ち行く人は温かく迎えてくれた。
「おー、ケットじゃねーか!まーた絵描いてきたんか!」
街に入ってすぐの自警団の人
「あ!ケット!!今日遊んでくれるって言ってたじゃん!」
街の元気な子供
「今日雨だったけど、絵を描きてきたの?」
酒場の売り子のお姉さん
青年こと、ケットは
元気に笑い、楽しそうに話す彼はとても明るく無邪気で親しみやすくこの街から受け入れられていた。
この街に来て3日目にして歩いているだけで街のいろんなひとから声をかけてもらうくらいにはこの街に溶け込んでいた。
街ゆく人々一人一人に「今日はここの絵を描いたんだ!」と絵を見せながら話しをしていた。
「今日は雨だったけど、どこ行ってたんだ?」
持ち帰りをメインとしたお肉屋さんのご夫婦。
試食どうぞと美味しいハムをいただきながら話をしていた。
「今日はねぇ、近くの池!大きなお花があるところ!」
ほら!と言いながら描いた絵をお肉屋のお母さんに見せ時、お肉屋のお母さんが少し顔を歪ませた。
「ケット、お前さん池の水には触れてないだろうね、、」
「??うん、雨でちょっと汚れが酷かったから触ってないよ?」
「そうか、変なこと言ってすまないねぇ、ほらこれも食べな」
ケットはなぜそれを聞かれたかわからず、なんで?と思い首を傾げたが、言いたくないことなのかなと思い深く聞くのをやめた。
「それにしても上手にかけているじゃないか」
「えへへ〜、ありがとう!」
なんとなく、これ以上あそこの場所を話すのはいけない気がして、試食させてもらって美味しかった肉料理を今食べる分だけ買いお別れをした。
そのままいろんな人と話ながら
目的であったお昼ご飯のパンを求めにこの街の少し奥にある、街の人しか知らないような場所にあるパン屋に来ていた。
「今日は素敵な雨だったから大きいなもの?の場所に行ってきたんだ!
あそこすげぇーのな!俺よりもでっかい綺麗な花がたくさん咲いてた!」
「あそこまで行ってきたのか!よく帰ってきたな〜、あそこでかい蜂が出る場所でも有名だろ?出くわさなかったか?」
「えっ!?まじ!?」
そう、今日ケットが行ってきた場所である大きなものの住処とは花が大きいだけではなく、その大きな花の蜜を吸うために巨大生物が来る場所でもあった。
ここのパン屋の店主である男と話しながらケットはその名前の由来を知った。
「せっかくだったら出会いたかったなぁ、あばよくば描きたい!今度立ち寄るときにでもまた行ってみるよ!」
「危ないって意味で言ったんだがな」とパン屋の店主は笑いながら答えた。
「あ!ねねね!この花の名前ってわかる?」
描きながらずっと気になっていた花の名前。この街でもあそこの池が有名なら名前もと思い聞いた。
「俺が花の名前を知ってるようなやつに見える?知らないな!」
店主は豪快に笑った。
ケットはそっかーと少し残念そうに絵をまた脇に持ち直し、今日のお昼分のパンを選び直した。
店主と今日言った場所の感想や、今日でここは立とうとしてることなどを話しながらお会計も全て終わらせてた。
「またこの街に来るときにここ寄るね」といい別れを告げようとしたとき
「あ、花の名前なんだが、よかったら角を曲がったら花屋に行ってみな」
と主人に伝えられた。
「ありがとー!いってみる!」
とバイバーイと言いながら手を大きく手を振りパン屋を後にした。
ちなみに買ったパンはクリームパンとベーグルにハムやチーズが挟まったものだった。とても絶品である。
歩きながらパンを頬張り、道を進んだ。
花を描いてきたがなんの花か名前が気になるし、何かいい花があればそれも欲しいなーと思い言われた通り花屋に行くことにした。
パン屋とほど近い所に花屋はあったが、パン屋とは違い大きな道に面していた。
そこにはたくさんの花が並んでおり、ちょうど店主のおばあちゃんが水をあげていた。
「こんにちわー!お花が生き生きとしてて綺麗!」
ケットは育てられている花を見ながらワクワクしていた。
そこにはあまりみたことないような虹色の花や、凍ってるように見える花、たんぽぽの綿毛のようなのがいっぱいの木や、珍しい薬草などが多く並んでいた。
「いらっしゃい、花が好きかい?」
「綺麗だから好きー!」
「あ!このお花って今日見たやつだ!けど小さい!」
そこには自分が描いた花と同じよだがサイズが小さくなったものが売られていた。
けど、同じように見えて色も違いサイズが違う。
「おばあちゃん、このお花ってなんて名前?」
「これはねぇ、トルコキキョウって言うんだよ。
今日見たって言ったが、大きなものの住処かい?」
花屋のお婆さんはケットの発言をしっかり聞いていてくれていた。
「そう!このお花のもっとでっけーのがいーーぱいあって綺麗だったの!」と自分が持っていた絵を見せながらお店の前のベンチで座りながら説明した。
「あそこすごい綺麗でいい場所だったんだ〜」
「…そうかい」
(??まただ、あそこの場所の話するとみんな少し悲しそう…?なんでだろ)
実は今日でそのような表情を見るのは5度目だった。
行ってきたと言うと心配や、あまり話したくないような雰囲気を感じる。
「あそこはね———」
少し不思議そうにしていたケットをみて察したのか、
お婆さんはとても親切にあそこに咲く花の話をしてくれた。
あそこの池の水には不思議な力があり、
人間が飲めば成長速度が上がり、筋肉質になり見るからに健康な体、そして急に生命力を割り当てるため短命になってまう。
逆に植物など昆虫の場合はそのもの自体が大きくなり長く生きるらしい。
昔どこかの魔術薬師が食糧難を解決するためにその池の近くで実験をしていたようだが失敗してしまったらしい。
「けど、その魔術薬師はすごいいやつなんだな」
ケットは話を聞きながらその魔術薬師のことを考えていた。
きっとその人は貧しく、苦しい思いをしてる人を助けたい一心で研究をしていたんだな、結果として今の現状になっているものの、
行動に移せるのってすごいなぁとケットはその人を勝手に想像していた。
「けど、失敗ってことは思った結果と違ったんだろうな…結構すごいのに…
健康になれるのも、食べ物も大きければ困らないし」
「あ、でも虫は危ないのか」
さっきも言ってたもんなー、と呑気に独り言のように口に出ていた。
それを聞いてたお婆さんは驚いていた。
話しながらずっと下を向いたり、花を見たり
話しているケットを見れなかったが、今はまじまじと見てしまった。
「ん?どうしたの?そんなまじまじと」
恥ずかしいと少し照れながらケットは笑っていた。
それに釣られお婆さんも笑顔に戻り
「その魔術薬師は悪いことをしたと、自分は悪人だと後悔でいっぱいだったんだよ。
実際、街の人もなんてことをしたんだと責めた人もいたんだよ」
「短命になること、危険な地を作ったこと
色々なことを後悔していたんだ…」
お婆さんは困った顔をしながらも笑顔で話した。
「いや、悪人ではないだろ!!」
「短命になるって言っても体丈夫になれるし
食べ物も大きくなるし、虫だって食べれるのいるから食べる場所多くなっていいじゃん!」
「それに何か問題を見つけたときに行動できる人は絶対いい人に決まってる!
だし!あの場所見たら誰だって絶対綺麗って思うもん!
だからその魔術薬師は綺麗で少し特殊な場所作った人ってだけで、悪人ではない!」
ケットは興奮してしまってたくさん話したことを少し反省しながら、驚くお婆さんを横目に悪いことをしたなと思いながらも息を吸い、
またゆっくりと話し始めた。
「もちろん、結果を知るためには誰が犠牲になったんだろう…?それは俺にだって想像できる。
けど短命ってどこまで短命かにもよるだろうけど、病気の人が元気になったり、子供で成長が遅い子とかがそれで助かるじゃん…悪いことばかりじゃないよ」
「ごめんね俺の意見たくさん言っちゃって
けど、あんな綺麗な場所を作ってて、意味もあるのにただただ悪人ってなんか嫌で
善悪なんて使い方次第なんだしさ」
ケットは色々と言いたいことを言えてスッキリした
失敗が全て悪いわけではない、むしろ悪い方法に使う奴の方が悪いのだ。
だが、自分が気に入った場所を否定されているみたいで嫌だったのかもしれないと、少し反省した。
おそるおそるお婆さんの顔を伺うと
すごく泣きそうな顔で、けど安心したような顔だった。
「そうかい、ありがとうね」
「俺ばっか話してたね、ごめんね」
「いいんだよ、楽しかったから
それに話しいていたら私もあの場所が好きになれたよ、だからありがとうね」
「よかったらその絵を私に売ってはくれないかない?この店に飾りたいんだ」
花屋のお婆さんはケットの絵を見ながら、荷が降りたよな顔で穏やかに笑っていた。
今日初めてある人だが、今日1番で素敵な笑顔だなと思った。
「えっ!気に入ってくれたならあげるよ!この花の名前やあそこの昔話楽しかったし!」
そんな人だからこそ気に入ってくれたのが嬉しかったし
この場所の歴史を知れて自分ももっと好きな場所になって、楽しい思い出になった。
「タダでもらうわけにはいかないよ
お代はしっかり受け取っておくれ」
「ならこのトルコキキョウ一輪もらっていい?もともと買おうかなって思ってたからさ!」
「そうかい、なら花と少しだがお駄賃として受け取っておくれ」
そういいお婆さんは受け取った絵を持って店の中に行き、小さな麻袋に少しの銀貨を入れ、緑のトルコキキョウと共に渡した。
一本でいい、旅してるからそんなに持って行けれないんだといいケットは大事に受け取った。
「おばあちゃんありがとう!
この花大事にするな!」
そういいケットは自分のマントに穴が空いているのを思い出しそこに差し込んだ。
その後も話をして、来たお客さんとも話ながら薄暗くなるまでその花屋で楽しく過ごしていた。
「またくるな!」
「元気でやるんだよ」
ケットが立ち去ったあともずっとお婆さんは絵を見ていた。
その絵は
池と花と猫しか描かれていないが、雨が止んだ後の絵で花に光が差しており、花には水滴がたくさん描かれて輝いているように見えた。
雨の日に描いたとは思えないほど色鮮やかに描かれており、上手いとも下手とも言えないが見ていると心が温かくなる絵であった。
また花の葉っぱの部分に青いまんまんとした可愛い落書きのような狐が描かれていた。
そうして、受付台のすぐ裏の壁の真ん中
店に入ってくるとすぐに見える位置に飾った。
お読み頂きありがとうございます!
楽しんでいただけていれば嬉しいです
更新も頑張っていきますのでよければまたお待ちしております




