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ユニヴァース  作者: クモガミ
度重なる出会い
38/125

旅は道ずれ

首都『リア・カンス』へ向かうアイシャの事情は理解したが、それでもロロは納得できなかった。

「……成る程、理由は分かった……だが、何もお前までも、『白霧山脈ホワイト・マウンテン』に向かわなくても……」

「君が言いたい事は分かる。けど私は、約束事はちゃんと守りたいし、それに山脈の向こう側に在る『リア・カンス』なら手配書は行き渡っていない筈だから、軍に追われる心配は無いと思うし、何よりもう日が暮れているから、早く何処かで寝床を確保する方が最優先と判断したしね」

白霧山脈ホワイト・マウンテン』を超える理由は分かったけれど、危険な場所なのは変わりない為、ロロはカレンの時と同じように止めといた方が良いと促そうとするが、アイシャはロロが自分に対して伝えたい事を察しながらも、約束を守る事や首都に逃げれば手配書が行き届いていないメリット、そして、寝床の確保が何より大事だとロロの言葉を押し退けるようにアイシャは自身の至った考えを話した。

「と言う訳でカレン、一緒に『白霧山脈ホワイト・マウンテン』への同行をお願いしても良いかな?」

そしてアイシャは自身の答えを伝えた後、改めてカレンに同行を申し込んだ。

「もちろん良いよ! アイシャが一緒に来てくれるなら大歓迎だよ!」

「ありがとう、そう言ってくれると嬉しいよ」

お互いの目的自体は違うが、危険な道のりである『白霧山脈ホワイト・マウンテン』に入るのは同じなので利害が一致し、お互い同行すれば、一人の時よりも身の危険が少なくなるから、喜んだ顔でカレンはアイシャの同行を快く受け入れ、アイシャは上品な笑みで感謝の言葉を述べた。

「でも助かった~~~本当のところ、一人でちゃんと『白霧山脈ホワイト・マウンテン』にも行けるかどうか心配だったんだよねぇ~~~」

アイシャの同行が嬉しいようで、カレンはつい本音を零してしまう。

「アイシャと二人なら、迷わずに目的地に着けるから、安心だよ」

「私も、カレンと一緒なら心強いよ」

このお互いの発言にはお互いに深い意味は無く、ただ単純にカレンは道案内としてアイシャの同行を喜んでいるだけで、対してアイシャもカレンの実力なら申し分ないという意味で言っただけであって、単純に言うと二人共お互いに送った言葉は期待に対する発言に過ぎないのであった。

「最後になるけど、ロロはこの後どうするの?」

「! お、俺か?」

カレンはアイシャとの同行の話が着いたので、最後に残ったロロに自分自身のこれからの行動について、話を振った。

「えっと……俺は、その……」

今度は自分に番が回って来た事にロロは、まるで準備していなかったか或いは予定が狂わされたかの様に、何故か戸惑っていて、歯切れが悪く自身の話を出そうとしなかった。

「………」

「ロロ?」

そして一言も喋らず、黙り込んだロロにさすがのカレンも不審に思い、声を掛けるが、その声が届く事はなかった、何故なら。

「(何故だ……何故こうなった? 本当ならこの二人をうまい事丸め込めて、遠くて良いから身を隠せて、泊まれる町村に一緒に同行させようとしたのに……何でこの二人は因りによって、『白霧山脈ホワイト・マウンテン』なんかに行くんだ!?)」

何故ならロロはこのような不純な考えをしていたので予想外にカレンとアイシャが自分を置いて二人一緒に『白霧山脈ホワイト・マウンテン』に行く事になって自分の計画が脆くも崩れ去った事に頭が一杯になって悩んでいた為、カレンの声が耳に届いていなかったのはこれが原因のようだ。

「ロロ、聞いている? ロロ?」

「(やばいぞ! 本当にやばいぞ!! もしこのまま俺一人だけ、遠い町村に行くとなると身に危険は十分にやばい!! 魔物は道中に必ずと言っていい程現れるし、夜になれば更に危険だ!! ……俺、どうするんだ?)」

カレンの呼び掛けを余所にロロは不純な考えが仇になって、自分はこれから一体どうするのか、今更考えるように悩みまくっていた。

「(どうするんだよ、俺!? どうすんの!??)」

「ロロ!!」

「はっ!」

悩みに悩んで周りの声が聞こえなくなっていたロロに、いくら声を掛けても返事が無いので痺れを切らしたカレンは怒鳴るような大声で叫び呼び、この大声でロロはようやく我を取り戻した。

「返事ぐらいしてよ、ロロ!」

「あ、ああ、いや……すまん」

自分の世界に入り込んでいた所をカレンの大声で現実世界に舞い戻ったロロは、ややムスッとした表情のカレンに『返事をしてくれ』と注意されて、何処か怒られた気分になって、腰を低くして謝った。

「ロロ、もう一度聞くけど、ロロはこれからどうするの?」

「俺は……」

もう一度聞き返される同じ質問に、ロロは目を閉じて、これからの事を考え、決断する為に少し間を空けた。

「(仕方ねぇ……背に腹は代えられないか!)」

残る道はこれしか無いと判断し、考えを終え、目を開いて、ロロは自分の決意を口にする。

「俺も行く!」

「え?」

意図が読めなかったカレンは、首を傾げた。

「だから、首都『リア・カンス』に向かう為に、俺も『白霧山脈ホワイト・マウンテン』へ一緒に行くって言ってんだよ!」

二度同じ事を言うのが恥ずかしいのか、声を荒げてロロは自分も『白霧山脈ホワイト・マウンテン』への移動に同行すると言い放った。

「君も?」

「あれ? ロロも一緒に来てくれるの?」

ロロも『白霧山脈ホワイト・マウンテン』に行くと言い出した事にカレンとアイシャは、少し意外そうに聞き返した。

「何だよ、悪いか?」

「悪いとは言って無いけど、でも君は私と違って、首都『リア・カンス』に用事や約束がある訳じゃ無いんだよね?」

自身とは異なり、ロロは『リア・カンス』については何も用事が無いと思っていたアイシャは、『リア・カンス』への向こう動機を尋ねた。

「もちろん、用はねぇよ。だが、俺だけで辿り着くには一日も掛る町村の魔物が飛び交う道中を一人で行く、そんな死に行くようなマネはしたくない!」

『リア・カンス』自体には用事は無いが、ロロは一日も費やし、魔物が度々出現する遠い町村の道のりを自分一人では行きたくないと力強く二人に宣言する。

「おまけに今頃『トロイカ』軍は、盗賊達や俺達を探す為に捜索部隊を派遣していると思うし、後、夜になったら『レイチィム』周辺にパトロール部隊も出動させると思うから、それでもし、俺がノコノコと一人で町村へ歩いている途中に、そいつらに見つかったりしたら、逃げ切れるのは到底、無理だと俺は推測するね!」

ついでに言えば、『トロイカ』軍は自分達や盗賊達を捕まえる為に、捜索部隊とパトロール部隊を派遣して来ると考え、その部隊達に見つかれば、確実に捕まってしまうとロロは自身の頭をフルに稼働させて導き出した、可能性を指摘する。

「以上の二点から俺一人じゃ、魔物達によって町村に着く前に襲われてくたばるか、もしくは軍に捕まる可能性が大きい! そういう訳だから、俺は――――」

「つまり、君は一人で遠い町村に行くという危険な道を選ばずに、私達と一緒に『白霧山脈ホワイト・マウンテン』を越え抜けて、首都『リア・カンス』に行った方が安全だと考えたんだね?」

自分達と一緒に『リア・カンス』に行けば、一人で他の町村に行くよりは幾らか安全だと、話の筋から、ロロの考えをアイシャは推測して述べた。

「ピンポーン! その通り!」

核心を突いたアイシャの指摘に、ロロはお茶目に肯定した。

「山脈を越えるのに半日掛るとして、今の時間を考えて計算すると、首都に着く頃はもう深夜だろうが、一日も掛る町村の道のりと比べたら、大分マシな方だと思うし。アイシャの言う通り『リア・カンス』なら手配書の心配は無いについては俺も同感だし、それに危険な道中になるから味方は多い方が、俺としてもお前達にしても助かるだろ?」

「…賢明な判断だね」

呆れたのかそれとも、感心したのか、アイシャはロロの考えを〝賢明な判断〟だと苦笑いを浮かべながら賛美した。

「と言う訳でカレン、俺の話はもう分かっただろう? 俺も一緒に『白霧山脈ホワイト・マウンテン』へ行ってやるから、感謝しろよ!」

「ロロ……ありがとう! またよろしく頼むよ!」

理由はともかく、またロロと一緒に行動出来るのが嬉しいのか、カレンは笑顔で『白霧山脈ホワイト・マウンテン』への申し出を感謝と共に受け入れた。

「それじゃあ話した結果、意見同一で三人全員『白霧山脈ホワイト・マウンテン』へ向かうって事で、良いかな?」

「ああ」

「うん」

これにて三人全員の話が終わって、三人それぞれ目的は違うが、目的地が一致した事で、行動を共にする事にした、カレン、ロロ、アイシャは最終確認で、自分の意思に変更は無いと首を縦に振って頷いた。

「ロロ、アイシャ、行こう!」

出発の先陣を切ったカレンは、今自分達の位置から東に位置する『白霧山脈ホワイト・マウンテン』への道を一歩先に踏み出し、アイシャとロロは先頭を取ったカレンが行きすぎて離れないようにちゃんと隣を付き歩き、三人は『白霧山脈ホワイト・マウンテン』まで足を運んで行った。


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