スリーガールズ 新メンバー登場? ーー田中幸子視点
「ちょっと! 明里どこ行ったのよ! もう本番なのに」
「ゆいっち落ち着いて! ⋯⋯アカリッチどうしたんだろ」
スリーガールズのライブ開演前。 舞台の前には彼女たちを待つ声援が聴こえている。
しかし、メンバーの一人ーー黒田明里が現場にいないのであった。
探しに行こうにも、裏方の人数が少ないため、持ち場を離れることが出来ないーー
肝心の生徒会長ーー瑞稀は、連絡も取れない。
アイツ! 後で説教してやる!
現場は、まさに大ピンチなのであった。 舞台では健太が時間稼ぎをしているが、いくら彼でも限界がある。 ここは、二人でもいいから出てもらうしかないーー
「ゆいゆい。 諦めてください。 ここは貴方達二人で⋯⋯」
「黒髪⋯⋯よねアンタ? 歌とダンスも得意だし⋯⋯」
「⋯⋯はい? えっと? まさか⋯⋯」
ちょっと、考え直してくださいませんか! ゆいゆい?
「みんな! お待たせ! スリーガールズだよ!」
『おお!』
「おい! 明里! このヤロー!」
「⋯⋯待って! 吉澤さん。 彼女じゃないわよ⋯⋯」
「あ! お姉ちゃん!」
「お姉さん! 頑張って!」
あの、みんな騒ぐのやめてほしいかなーー
「みんな〜 ありがとう! スリーガールズ イン文化祭! 開演だよ! みんな楽しんでね~」
曲が始まり、私はダンスを踊る。 リハーサルすらしていない、即興ライブ。
ミスってヨッシーとゆいゆいに、恥をかかせる訳にはいかないーー
「おいおい。 上手えじゃんか! あの中ニ病女⋯⋯」
誰だ? 大きな声で私のことを話しているのは? 恥ずかしいから大人しくしてて欲しいんだけど。
「さあ、続いてはサプライズ! 新曲! 私たち、三人で歌う初めてのソング! 聴いてください!」
『オー』
はあ? まったく聴いてないんだけど? サプライズって私達ぐらいには教えてくださいよ? まったく歌えないじゃん。
私は小声で、二人にSOSを送った。
「うん」
「うん」
二人は力強く頷き返してくれた? 伝わった?
「アァ? おいおい⋯⋯ アイツ口パクを始めやがったぜ」
「シー。 気まずいから静かにしてましょう⋯⋯」
「お姉ちゃん⋯⋯」
「お姉さん⋯⋯」
みんなごめん。 さすがに無理だってーー
「みんなありがとう! スリーガールズでした!」
『わー』
ライブが終わり、私は舞台裏で泣き崩れた。
「サッチー上出来よ!」
「まあ、よく頑張ったじゃない」
「おつかれ! サッチー」
柳田健太を含めた三人が、私を励ましてくれた。 そこへ、お客さんがやって来た。
「田中先輩。 お疲れ様です」
「中ニ病が凹んでいるわ」
「はわわ。 彩乃、失礼ですよ」
「ひとみだって、散々中ニ病がとか言ってたくせに⋯⋯」
なんですか、貴方達は。 私にダメージを与えに来たんですか?
「⋯⋯やっぱり。 黒田さんはいませんね⋯⋯」
やっぱり? 引っかかる物言いに、私は顔を上げて二人を見る。
「あはは。 田中先輩⋯⋯鼻水で顔がぐしょぐしょ⋯⋯」
「ちょっと! 中ニ病ちゃんに失礼よ! ブブ」
「⋯⋯お前たち。 そこに正座な。 説教を始めるぞ⋯⋯」
「スリーガールズのライブ。 おわっちゃたか、残念」
「残念なら出れば良かったじゃないですか?」
「⋯⋯そして、かくれんぼも失敗か⋯⋯」
「観念してください⋯⋯明里さん」
「まだまだこれからだったのになぁ⋯⋯」




