川端ことね思い出写真館
「おやおや。 いらっしゃい、瑞稀ちゃん!」
「こんにちは、雫さん!」
「それと⋯⋯後の二人は?」
「はわわわ⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「こちらの二人は、黒幕さんとはわわさんです」
「えっと? 黒幕さんとはわわさん?」
私が仕方なく自己紹介してあげると、二人とも私を睨んで来た。 自己紹介しない方が悪いんだよ。
ここは、体育館の一角。 神子ーー川端ことねの展示会場である。
ーーなぜ、ここに来たかと言うと。
「⋯⋯すみません。 ことねは、こちらには来れないようです⋯⋯」
「⋯⋯そう。 残念だわ⋯⋯」
本当はここで、サプライズ合流をさせる予定だったのだが、上手くはいかないものだ。
ふと目に入った写真に集中する。
「ええ、かわいいでしょ? これはね三歳の時で⋯⋯」
私は、熱心に雫さんの言葉に耳を傾けていた。
「⋯⋯おい、アカリ。 ⋯⋯なぜだ。 我らは同志のはずじゃなかったのか」
「⋯⋯そんなの思っていたのは、ひとみちゃんだけよ。 私はね、ただ快楽を求めていただけなの。 ⋯⋯こんな結果つまらないわ」
『吉澤姉貴! やはりここでしたか』
「おう。 お前たち! ⋯⋯彩乃はどうだった?」
「それが⋯⋯」
「まあ、色々ありまして⋯⋯」
「吉澤ひとみ!」
突然、彩乃の声が体育館に響き渡る。 私は慌てて、彩乃の方を向いた。
「貴方! よくも私にブーイングしてくれたわね! お陰で傷ついたんだから! 責任取りなさいよ!」
「あら。 いらっしゃい、彩乃ちゃん」
「⋯⋯雫さん! うああん!」
「どうしたの? 彩乃ちゃん?」
雫さんと彩乃が抱き合っている。 二人が知り合ったのは、ミウミウの別荘だったけど、それから密に連絡を取り合っていてーー
「⋯⋯うう」
「⋯⋯ヨシヨシ。 大丈夫だからね⋯⋯」
私も彩乃に近づき、バレないように頭を撫でる。
「⋯⋯瑞稀⋯⋯⋯うう」
「あれ? すぐにバレた⋯⋯」
泣き崩れる彩乃。 まったく誰が、こんなことをしたのかなぁ?
「ギク! ⋯⋯あわわ」
「ジー⋯⋯」
「えっと⋯⋯これは、その⋯⋯」
私の睨みにしどろもどろになる、はわわさん。
さすがにここまで、彩乃が落ち込んでいると思わなかったのだろうーー
たしかに普段の彩乃は、気が強くて対抗心もある。 けど、本当はこんなにも弱い子なんだよーー
「⋯⋯なあ。 桐原さん」
「⋯⋯⋯」
「その、あれだ。 桐原さんがそこまで傷つくなんて思わなかったからさ⋯⋯」
「彩乃⋯⋯」
「え? なんだよ、突然自分の名前をつぶやきやがって⋯⋯」
「呼んで⋯⋯」
「彩乃。 これでいいか? ⋯⋯その、申し訳ございませんでした」
「うん、許してあげる」
彩乃が、微笑みながらはわわさんを見つめる。
他のメンバー? たちが一斉に大喜びした。 めでたしかな? そう私が安心した時、誰かがいないことに気づいた。
黒幕ことーー黒田明里だ。
「嘘! 明里がいない!」
「瑞稀。 あの子なら、さっき体育館から出て行ったわよ? 何かあったの?」
「雫さん! 情報提供ありがとう! 探しに行くので、では⋯⋯」
まったく! なにを考えているの明里。
どうしてこんなことをしたの?
私は、手当たり次第彼女を探すのであった。




