事情聴取をしよう
開会式の後ーー 私は彩乃に、罵声を浴びせた人たちに集まってもらった。
ーー集めた理由を伝えずだが。
「⋯⋯倉石さん。 なんですかこれ? 早くしてくださいよ。 私はこの後、用事があるんです!」
明らかにイラついているのは、はわわさんだった。
「⋯⋯貴方達を集めた理由に、心当たりがないんですか?」
「はあ? まったくありませんね!」
『そうだ! そうだ! 早く解放しろ!』
自分たちに非はないと思っている彼女たちに、私は怒りを隠しきれなかった。
「⋯⋯私! 見てたんだから! 貴方達が彩乃に、罵声を浴びせたのをね」
私がそう言うと、まるでどうでもいいように、平然とする彼女たちーー
「それで? ⋯⋯もう、用事がないなら解散でいいですか?」
「⋯⋯⋯」
彩乃にした悪意を、私は許せない!
「彩乃に謝って⋯⋯」
「ああ、はいはい。 ごめんなさい。 ⋯⋯これで満足ですか?」
「私にじゃない! 彩乃に謝ってよ!」
私は、怒鳴り声を上げた。
騒ぎに気がついた、一部の生徒たちがこちらを見る。 しまった! 穏便に済ませようと思ったのにーー
「ああ、うるさいですね。 ⋯⋯それで? 桐原さんはどちらにいるんですか?」
「⋯⋯その前に、事情聴取をします⋯⋯」
私は、出来るだけ怒りを抑えるために、深呼吸をする。
「倉石さん~? まだですか~? 早くしてくださいね~」
「⋯⋯なぜそんなことをしたんです⋯⋯はわわさん?」
「⋯⋯⋯」
私が、彼女の名前を呼ぶと、彼女はさっきまでの余裕な表情をやめて、こちらを静かに睨んで来た。
「⋯⋯あの、倉石会長。 すみませんでした。 桐原さんに謝ってきます」
「彩乃さんを探しに行きます。 ⋯⋯ですので、この辺りで私達は失礼させていただく⋯⋯」
「吉澤姉貴⋯⋯ここは引き下がりましょう」
はわわさんの取り巻きたちが、なんとかこの場を納めようとし始める。
「⋯⋯そうですか。 彩乃はこの時間、クラス模擬店のシェフをしています。 ⋯⋯すみませんが、謝罪は午後からお願いしますね」
「それならそうと、ささっと言ってください」
「まだ、全然事情聴取が終わってないですよ」
「⋯⋯ことね様に勝って欲しかった。 それだけですが? なにか」
あくまでも、そう主張するはわわさん。
ーーついでにもう一つの件について聴いてみた。
「二人がじゃんけんをしたタイミングで、何者かがゴミを投げ込みました。 それは、貴方達の仕業ですか?」
「はあ?」
「えっと⋯⋯貴方の差し金ですか? はわわさん?」
私が尋ねると、彼女は私に掴みかかって来たーー
やめて! 苦しいよ。
慌てて、彼女の取り巻きが彼女を抑えてくれた。 怖かった。 私は足元が若干ふらつきながらも、なんとか立っている。
「離せ! このアマはシメてやる!」
「グ、ゴホォ。 ⋯⋯それが貴方の本性ですか? 吉澤ひとみさん」
「⋯⋯ふん。 今更名前をフルネームで呼ぶなんて⋯⋯ワザとアタイを怒らせたかったのか?」
「⋯⋯そうだと言ったら?」
「面白い。 ⋯⋯もういい。 暴れたりしないから離せ!」
解放された、吉澤さんは私を睨むと、発言を続けた。
「⋯⋯アタイはな、イラついてんだ! 誰だ! ゴミを投げ込んだ奴は! ことね様の勝負の邪魔をしやがって」
「⋯⋯私、犯人を目撃しました」
「はあ? おい倉石! さっさと吐け。 神子様に荒なす者に、裁きの鉄槌を与えてくれる⋯⋯」
「えっ、嫌ですけど?」
「ざっけんなよテメ!」
また、突撃してくる吉澤さん。 取り巻きの人、助けて!
「ゴホォ。 ⋯⋯あれです。 ここまでは、犯人はおそらく罪を認めません。 ですので⋯⋯徹底に追い詰めないと」
「ああ? んなもんチンタラやってられっかよ? ボコれば終わりだろ?」
やめてよ! 文化祭で傷害事件なんて起こさないで!
私は、なんとか吉澤さんの機嫌をとるのであったーー




