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倉石瑞稀と100のやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
文化祭編

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間話 私と『私』の話 後編 ーー川端ことね視点

 高校入学式の前日。 春の涼しさを感じる夕方、部屋の中で制服のスカートをひらりと揺らしながら『私達』は鏡の前で制服の試着をしていた。


 鏡の前でニコニコ微笑みながらポーズをとっていると『私』が私に話しかけてくる。


 『よし、これで完璧。 湊の視線は私に釘付けだね!』

 「はいはい」

 『あれ? 反応が薄いぞ! どうしたの?』

 「私は湊の前では、恥ずかしいくてこんなポーズ出来ないよ⋯⋯」


 私は顔を真っ赤にして塞ぎ込んだ。


 「⋯⋯私は、湊とまともに話すことも出来ないのに、湊の前でこんなポーズを取れる訳ないじゃない⋯⋯」

 『そう言うところだよ! 湊の前で照れたらいいじゃん!』

 「⋯⋯でも、湊の前では平然としていたいかな⋯⋯」

 『全然出来てないよ!』

 「ぐ⋯⋯」


 私は更に塞ぎ込んでしまった。 鏡の中の私が悲壮感に溢れていた。


 『⋯⋯うん? この景色見覚えがある。 あれ?  川端ことね?⋯⋯私が今、いるのは?』

 

 『私』が突然、私の名前を叫んだ。 今までにない『私』の発言と表情に驚く。

 

 「どうしたの? ⋯⋯貴方らしくない反応ね」

 『⋯⋯うんっと。 実はね⋯⋯』

 

 そうして、『私』の口から聴かされた内容に、私は驚いた。 『私』が言うには、この世界は小説の世界であり、『私』は前世にそれを読んだとーー

 

 そして、私はその小説では、悪役の生徒会長として君臨。 学校を支配して、生徒たちを駒にするらしい。 そして、湊とヒロインの手によって成敗されるのだとーー


 『話したらスッキリした! うん、大丈夫! なんとかなるよね~』

 「⋯⋯ちょっと。 どう言うことなの? ねえ?」


 私の気持ちを置いてぼりにして、『私』は部屋を飛び出して、湊の元に向かう。


 「湊~どう? 似合う?」

 「おう、似合ってるぞ。 サイズも丁度良かった見たいだね」

 「じゃあ私を見て! ⋯⋯ドキドキする?」

 「するよ、とっても」

 「やった! ⋯⋯さすが、悪女の実力だね!」

 「悪女? ことね、なにを言っているんだ? ⋯⋯それより早く着替えて、晩ご飯を食べようか。 今日の晩御飯は、ことねが好きなカレーライスだぞ!」

 「本当! 嬉しいなぁ。 じゃあすぐに着替えて来るね!」


 湊と楽しそうに話す『私』。


 私はそれどころじゃないんだけど!


 それから色々なことがあったーー 


 「アンタは、そうやっていつまで、猫を被っているの! なによ!⋯⋯私は犬派よ! って違うわ! そうやってとぼけて! ⋯⋯私、知っているのよ貴方の本性を。 ⋯⋯ねぇ『理想』の使者さん」

 

 ヒロインと教えられた彼女ーー桐原彩乃。


 「やっぱりですわ! ⋯⋯貴方、ことねですわね! 困りましたの、読み分けられませんわ! 私、どうすればいいのかわかりませんわ!」


 私のライバル? らしい彼女ーー櫻井美羽。


 「ことねちゃんこそ! 推しの魅力を理解しているね! ⋯⋯これからはちゃんと、『ことね』と『姫様』に分けるからね!」


 『私達』と意気投合した彼女ーー倉石瑞稀。


 原作ではなかったらしい、出会いと行事を経験をする私達。


 ーーそんな中、私は『私』の存在が消えかけていることに気付く。 二学期、彼女はあまり表に出て来なくなった。 湊との会話に困っていると、出て来てくれるが、それも続かない。 


 ーーその様子はまるで、『私』の役目が間もなく終わろうとしているかのようだった。



 私はいつものように、鏡に向かう。


 「文化祭明日ね⋯⋯」

 『うん! 明日は楽しもうね!』

 「『私』もしかして⋯⋯消えるの?」

 『⋯⋯ふふ。 わかる? そうだね。 多分消えるかな』


 私にとって、『私』はとても大切な存在だった。 いつも、寂しい時に見守ってくれる存在。 困っていたら助けてくれる、お姉さんみたいな存在ーー


 でも、私は思った。 『私』は私だと。


 たしかに、考えていることも違う。 理解出来ないこともあった。


 それでも、私は私だからーー


 『⋯⋯お願いがあるんだけどいいかな⋯⋯』

 「なによ、今更貴方らしくないわよ」

 『ありがとう、私⋯⋯ごめんね』



 『おはよう! 瑞稀ちゃん!』

 「え、ことね! 帰って来たの?」

 『もう! 瑞稀ちゃんたら! 私はどこにも行ってないよ!』

 「⋯⋯そっか。 ことね、ようこそ! 文化祭へ!」


 私は今日ーー『私』として生きる。


 ごめんね、私ーー今日が最後だから。

 


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