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倉石瑞稀と100のやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
文化祭編

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83/120

役者を説得しよう

 「嫌ですわよ! なんでまた、着ぐるみを被らないといけないんですの」

 「しょうがないじゃん。 ミウミウ役はミウミウしかいないって」

 

 舞台稽古の時間、私は主役である、ミウミウを説得していた。


 「⋯⋯じゃあ、そのままの姿で舞台に立てるの?」

 「そ、それは、無理ですわね⋯⋯ ちょっと待ってくださいまし、裏方ではいけませんこと? 私、表立って出るのは苦手ですわ⋯⋯」


 さすがミウミウ、人見知りだね。 


 「でも、ミウミウ⋯⋯裏方は忙しいよ? もしかしたら、ずっと働かないといけないかもよ? それでもいいの? 文化祭のご飯が食べられないよ?」

 「だ、駄目ですわよ! 私は文化祭の出店の食事を、楽しみにしていますの!」

 「そうなんだ~ じゃミウミウ頑張ってね!」

 「くぅ。 わかりましたわよ⋯⋯」


 私は、なんとか出鱈目を使い、ミウミウを説得することに成功した。


 さて、次はどこかな。


 「ドルワル様に縋り付くなんて、身の程を知りなさいよ」

 「ガルル」

 「そんな! 酷い⋯⋯」

 「なにが酷いのです。 ドルワル様の婚約者は、このお方⋯⋯ユイベル様に決まっているんです。 突然現れた貴方なんかには務まりませんわ」

 「ガルル⋯⋯」

 「そんなことないわ。 私とドルワル様は、運命によって導かれているの。 そう、共に魔王を討伐する運命にね⋯⋯」

 「まあ、汚らわしい女。 そうやって媚びて、他の男を虜にしたのかしらね?」

 「ガルル⋯⋯ なあ、俺はずっとガルルしか台詞ないのか?」

 「健太。 今、演技中よ。 静かにしてね」

 

 どうやら、私の出番のようだね。


 「柳田庶務。 自分の役にご不満が?」

 「大有りだっての! なんだ、このかぶりものは!」

 

 私は、彼を凝視した。


 「ぶ。 とても素晴らしいコスチュームだと思いますますよ」

 「おい、笑っただろ。 おかしいってわかっているよな」

 「いや、そのかわいいですよ?」

 

 彼が被っているのは、ケルベロス。 


 しかし、これは、犬のぬいぐるみだ。


 「俺に合ってねえよ! 他にあるだろう? 例えば、王子様とか⋯⋯」

 「はあ? アンタが王子? 最悪だわ」

 

 声を上げたのは、令嬢役の榊原会計だ。


 「アンタは、犬役として地面に這いつくばって、吠えてなさいよ負け犬」

 「⋯⋯なんだって」


 一触即発の雰囲気が、場を支配する。 二人は、また睨み合いだ。


 「⋯⋯健太、決定事項だ。 無駄な言い争いはよせ」

 「明里には関係ねえだろ」

 「見苦しぞ健太。 お前は拒否権があったはずだ。 ⋯⋯それなのにここにいる。 わかっているんでしょ、本当は」


 三人が真剣に話し合っている中、気まずそうにポツンとしている彩乃に話し掛けた。

 

 「健太が王子様役じゃないのよね⋯⋯」

 「⋯⋯というか、王子様がいませんけどね」

 「そして、兼役なのよね?」

 「彩乃もそうでしょう」


 田中書記曰く、本当は二冊の台本から、どちらかを選んぶ予定だったのだが、ゆいゆいと彩乃が揉めて。 最終的に両方ともすることになったのだ。


 そのため、一部のカットや兼役が行われることになった。


 「ねえ、増員しない?」

 「駄目。 みんな他に仕事があるから⋯⋯」


 嘘は言ってない。 嘘はねーー


 「⋯⋯ちぇ。 男だったら、掴みかかってたのに⋯⋯」

 「こっちこそ、女だったらビンタをくれてやったわよ」


 二人はお互いにソッポを向いて解散した。


 「⋯⋯明里。 二人って仲がいいと思っていたんだけど⋯⋯」

 「瑞稀。 それは、サッチーのお陰よ。 彼女がいないと、いつもこんな感じになるのよね」


 私たちは二人して、ため息を吐くのであった。


 

 「ここはこうして⋯⋯」

 「⋯⋯サッチー」

 「うむ。 健太ではないか。 どうした?」

 「俺に人間役をくれ!」

 「えぇ。 目立ちたがり屋だな健太は⋯⋯」

 「だって、悔しいだろ。 ゆいゆいの奴、俺を煽ってくるんだぜ、なんとかしてくれよ~」

 「仕方ないな~健太は。 わかった検討しよう」

 「よし! それでこそサッチーだぜ。 じゃあな!」

 「⋯⋯あぁ。 また組み直しか⋯⋯」

 「田中先輩」

 「⋯⋯君は吉澤さんか」

 「はい。 台詞についてよろしいでしょうか? ⋯⋯ここを⋯⋯にしたいんです。 その方がいいかと」

 「まあ、それぐらいなら問題ないからいいよ」

 「ありがとうございます! では失礼しました。 ⋯⋯痛った。 ドアに激突しちゃったよ、うぇーん⋯⋯」

 「はあ、そそっかしい子だのう。 さて、どうするかな⋯⋯」

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