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倉石瑞稀と100のやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
文化祭編

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正義とはなに?

 「お前ら恥ずかしくないのか。 段取りや、場所なんかも外部任せで⋯⋯おい、彩乃。 お前悔しがっていたよなぁ? 文化祭のメニューが勝手に決まって悔しいって⋯⋯そうなったのも、外部に任せたせいなんだ。 取り戻そうぜ、俺たちの文化祭をよ!」


 柳田庶務が、みんなの目を見て熱く語る。


 ーーそう。 あの時、既に外部で開催する段取りになっていたため、私は一足早く、委託責任者の指示通りに従っていたのだ。


 「健太⋯⋯」


 彩乃が動揺しながら、柳田庶務を見ている。 うん? 榊原会計が何か言いたそうにしている。 ーーなるほどですね、伊達に六時間『榊原結衣の説明書講習』を受講した訳ではなかったんだよ私。


 「榊原様はおっしゃっています。 彩乃さん、貴方には是非、舞台劇でヒロインをやって欲しいと⋯⋯」


 「⋯⋯私がヒロイン? なにそれ、最高じゃない!」

 「おいおい。 彩乃?」

 

 ああ、これで三人目だね。 続いて手を挙げたのは、新田善子文化祭実行副委員長だった。


 「ねえ。 この理想学園美人コンテストってなに?」

 「新田さん、さすがですね。 このコンテストは理想学園で一番の美人を決める大会です」

 「ほう、一番⋯⋯なんて素敵なの!」

 「善子⋯⋯俺にとっては、お前はいつも一番さ」

 「⋯⋯竜也」


 次に手を挙げたのは、黒田さん。 彼女も文化委員だったのねーー


 「私はスリーガールズ公演会が気になります」

 「ああ、私も気になってた」

 

 それはそうでしょう、当人なんだから。


 「榊原様曰く、私たちスリーガールズの理想学園ライブのことよ!⋯⋯だそうです。 えー、私も秘書として参加するんですか?」


 榊原会計が「アンタ文句あんの?」って感じで睨みつけてくる。


 「そうですか。 仕方ないですね」

 「頑張るぞ! スリーガールズ!」


 三人とも完全にやる気のようだった。


 「なあ、残りのお前たち⋯⋯俺の気持ちがわかるよな? 胸張りたいだろ? この文化祭は俺たちが開催したって⋯⋯」


 「あ、あの。 質問いいですか?」


 柳田庶務が熱く語る最中、割り込んで来たのはまた、あの子だった。


 「⋯⋯はわわさん。 何か質問ですか?」

 「吉澤ひとみです。 ⋯⋯そんなことより、このジャンケン大会ってなんですか?」

 「やっぱり慧眼ですね。 この模様は、最初のプログラムにしようと思いまして⋯⋯全員でジャンケンをして、勝った一人に特別待遇をプレゼント。 と言う企画です」

 「ゴクリ。 ⋯⋯つまり、それは」

 「ええ、なんでも構いませんよ? ⋯⋯なんたって理想の神がバックについてますから⋯⋯」


 もしかして、この件に噛んでるのエタナ? ーーすると、今まで沈黙を保っていた文化委員が一斉に興奮し始める。


 「お⋯⋯おい、お前たち⋯⋯」


 柳田庶務。 完敗ですよもう。 しかし、最後の抵抗を見せるのが彼なのであった。


 「ざっけんな! 俺は屈しないぞ。 榊原結衣⋯⋯お前が推し進めた政策は毒薬だ。 そんな一時の快楽を得ても、来年はどうなる? ⋯⋯次の代への希望を押し潰すつもりか?」


 柳田庶務の慟哭が響く。 その通りだった、百歩譲って今年はいい。 しかし、来年やさらにその先、果たして理想学園文化祭は安泰なのであろうか?


 会議室が静かになった。 ーーその時、榊原会計が口を開いた。


 「それが、なにか?」

 「なにかだって? 話し聴いてないのかよ」

 「聴いてたわよ。 で、なに?」


 榊原会計のまさかの返しに、怒りなのか、憤りなのか? 口をぱくぱくさせる柳田庶務。


 「世の中ね、正しいことだけじゃないの。 見方によって変わるのよ⋯⋯そう、今のアンタは私にとっては悪ね」


 柳田庶務は会議室を見渡していた。 ーーどうやらここに、彼の味方はいないらしい。 柳田庶務は苦笑いしたのち、お手上げのポーズをとった。


 こうして、彼の正義は別の正義によって完敗したのだったーー

 

 


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