生徒会長の悪巧み
「はい。 田中です」
「倉石で〜す」
「そうですか。 おかえりください」
「どうしてですか! 田中書記!」
「⋯⋯我は、仕事とプライベートはわけるタイプだからだ」
「そんな! 冷たいですよ!」
私は今、田中書記の家の前に来ていた。 理由は簡単。 この前、生徒会室で発見した書物についてだ。
そのノートの名前は『サッチーの暗黒書物』だ。
ーーそう。 この書物は田中書記の私物だ。
そしてノートは今、私の手元にある。 何故かって? 私が適当にノートの存在をでっち上げたからね。
ーーだって、本人の前で私物をぶん投げたんだよ! 知っててぶん投げたことを自白したら、絶対に怒られるじゃん!
だから私は咄嗟に出鱈目を言ったんだけどーー
まさか、彼女もそれに乗るなんて、想定外だったよ。
そして、私たちはそのノートを解読することを約束して、その場は解散になったのだけどーー
仕方ないな。 私は、ノートの朗読を始める。
「我、此処至るは至極の⋯⋯」
「え! ちょっと待って! ここじゃ駄目! 近くの公園行きましょ! そこで、じっくり話し会おうじゃないか!」
「そうですか! よろしくお願いします!」
それなら、早くそう言ってくれたらいいのに〜意地悪な書記さんだなぁ。
さて、二人そろって公園に来たのはいいけどーー
「⋯⋯⋯⋯」
田中書記? さっきから私とノートばかり見て、圧が凄いですよ?
ーーでも、ここで私がノートを先輩の物だと言うと、私は怒られてしまうに違いないよ! どうにか護摩化さなきゃーー
う~ん。 そもそもなんで、彼女はこちらを睨んでいるの?
ーー私、もしかして、田中書記のこと誤解している?
そんなのよくないよ。 夏休みが終わったら、文化祭だよ! 生徒会のみんなで一致団結しないといけないのに!
そうだ! ここは生徒会のメンバーの親睦会をするべきだよ!
そう思った私はさっそく、訝しげな表情の田中書記に話しかけた。
「ワルザベスよ、今宵は、特別な夜になるだろう。 共に祝おうぞ!」
「え? 何? 今夜、なにかするの? 私も付き合うこと確定?」
「ふ、当然だ奏者よ! 信仰者と奏者はセットだぞ! 我ら、エターナルパーフェクト教団の集会だ!」
決まった! 完璧な台詞を言ったね!
これで田中書記の機嫌は取れたはずーー
あれ? めちゃくちゃ怒ってる! どうして?
『瑞稀ちゃん。 こんにちは! 元気?』
「あ、ことね! こんにちは、偶然だね」
ことね! 救世主だよ、ありがとう! 私はことねを神のように見つめる。
『えっと、夜にみんなで集まるの?』
「うん。 今日は生徒会のみんなで集まる予定なの、生徒会の二学期に向けたレクリエーションだよ」
「あの⋯⋯それならそうと、最初から言ってくれませんか? 私も、貴方に合わせたくても、ボケられないじゃん」
ボケる? どう言うことだ?
「田中先輩は、普段はそう言うキャラじゃないんですか?」
「え? 私、いつもそう言う人だと思われてるの? あれはパホーマンスだって! ⋯⋯もしかして倉石、私をそう言う人だと思ってたの?」
「あれ? ワルザベスはそうじゃないの? 私てっきり⋯⋯」
「瑞稀。 人には裏と表があるのよ」
姫様! さすが、説得力ありすぎます。
「⋯⋯まあ。 アンタたちは案外、仲良くなれるんじゃないの?」
「姫様!」
「なにかしら?」
「ありがとうございます!」
「ちょっと、離れなさいよ」
まあ、姫様ったら含みのある発言だけして、いけずですわ。
『とにかく! 二人で話しあって仲良くしてね!』
それだけ言うとことねは去って行った。
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
よし! こうなれば、勢いでなんとかするしかない!
私は、頭の中で作戦を立てるのであった。




