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倉石瑞稀と100の高校生活でやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)
最終章

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ひとみの極秘任務その11

 瑞稀に近づく必要性を覚えたアタイは、瑞稀に近づくことにした。


 遠くから観察するだけじゃ、もう限界だ。 アイツの過去はわかった。 計画もわかった。 だが、肝心の「今のアイツが何を考えてるのか」は、近くにいなきゃわからねぇ。


 だが、どうやって近づく? 今のアタイはただの神子教徒だぜ?


 「ひとみん! 私、思いついてしまいましたの! 校舎の手洗い場をジュースに変えませんこと? ことねも大喜びですわよ!」


 美羽の提案だった。 オメェが飲みてぇだけじゃねぇか?


 だがな。 アタイは閃いたぜ。 これ、使えるぜ!


 施設をいじる計画なら、生徒会の承認が要る。 つまり、生徒会長・倉石瑞稀と直接やり取りする「公式な理由」ができるって訳だ。


 そして、ことねも喜ぶと本人からの太鼓判だ。


 かくして、アタイたちファンクラブは総力を挙げた。 


 ーー見事に完成した蛇口ジュースに、美羽の横でワザとらしいぐらいにリアクションする瑞稀。


 蛇口をひねればオレンジジュースが出る手洗い場。 全校生徒は大喜び、美羽は毎日通い詰め。 文化祭の名物としても注目される始末だ。


 放課後、アタイは見たぜ。 無表情で、ジュース蛇口を見つめる瑞稀の姿をよ。 


 「……なに? ジュース蛇口って? 頭、湧いてるじゃないの? モブ女……」


 ーー愉快だった。


 いつも全部を計算して、全部を掌の上に乗せてるアイツが、蛇口をひねって、出てきたジュースを眺めて、また蛇口を閉めて。 何度もそれを繰り返してた。 


 これで奴は、アタイを強く意識したはずだ。 「読めない奴」としてな。 計画で動く人間には、計画外の人間が一番気になるもんだぜ。


 これに味をしめたアタイは、ふれあい広場に社を建てることに決めた。


 名付けて『ことね神社』完璧だろ?


 ーーこれを、見た時のアイツの顔が楽しみだぜ!


 そして、文化祭当日。 メインイベントのジャンケン大会。 勝ち残り式の、単純だが盛り上がる企画だ。 その決勝戦で、ことねと彩乃がぶつかった。


 最終決戦だ。 勝った奴の願いを一つ叶えてくれるらしいぜ! そのお陰で、会場は大盛り上がりだぜ。


 当然、アタイたちファンクラブは、ことね全力応援の構えだ。 そして応援ってのは、相手へのブーイングとセットなんだよ。


「「「彩乃ー! 空気読めー!」」」

「「「神子様の引き立て役ー!」」」


 アタイたち一行は、彩乃へブーイング行為を行った。


 ーー彩乃を巻き込むのは、戸惑いがあった。 アイツはことねの友達だし、悪い奴じゃねぇのは知ってる。 だが、ファンクラブってのはこういうもんだ。 お祭りの範囲の、様式美ってやつよ。 彩乃も苦笑いで流してたし、仕方ねぇと思っていたのだが。


 ここで、予想外のことが起きた。


 アタイのファンクラブナンバー2ーー黒田明里が、ゴミを彩乃へ投げつけたのだ。


「ッ、明里!?」


 様式美じゃねぇ。 アレは、本気の敵意だ。 声援とブーイングの境界線を、明確に越えやがった。


 慌てて止めに入ろうとして、アタイは気づいちまった。


 ーー瑞稀の奴が見ていやがった。


 瑞稀は、明里の投擲を最初から最後まで、視線で追ってた。


 ーーそして。 瑞稀の奴は、一瞬だけ無表情になった。


 あの顔、アタイは知ってるぜ。 ジュース蛇口を見つめてた時の顔でも、生徒会の営業スマイルでもねぇ。 


 次の瞬間、瑞稀は仮面をかぶって、慌てたフリをしやがった。


 ーー完璧な、倉石瑞稀の対応だった。 あの女が演じているなぁ?


 ーーちょっと、嫌な予感がしやがるぜ。

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