混沌とする終業式 エピローグ
「動画はこれからだから! そうこれから⋯⋯」
「瑞稀! この先は問題ないですわよね?」
近いよミウミウ! 圧が強すぎるよ!
「諦めよ、ミウミウ。 時は戻らん」
「そうだな⋯⋯」
(倉石生徒会長名誉挽回に期待!)
ふう、なんとかなった。 危なかった。
「次は俺のシーンか⋯⋯うん?」
「なんですの⋯⋯この演出!」
「え? いいでしょう、最高だよね」
「盛りに盛っておるな」
(⋯⋯観客から、歓喜の悲鳴が聞こえるよ)
席を見ると一部の生徒達が、柳田庶務の活躍に感動しているようだ。 しかし、それ以外の生徒が疑問を口にする。
「なんで冬服なの?」
「会社での活動? 学校関係ないし⋯⋯」
至極真っ当なご意見ですね。 さあ、それで終わりですか?
「瑞稀が開き直りましたわ!」
「木を見て森を見ず? 木を隠すなら森の中?」
「⋯⋯誤魔化す気満々かよ」
(⋯⋯次私だよ)
教室に一人でいる榊原会計。 彼女の美しさに生徒達は目を奪われる。
「あれ? 誰も冬服のことにツッコマないぞ?」
「アイドルですからね、当然ですよ」
「危険だ! 我々は奴の呪術にハマっておるぞ!」
ーー失礼だな、呪術じゃないですよ。 感覚を麻痺らせているだけです。
(⋯⋯段々狙いがわかって来たかも)
「榊原先輩! どういうことかしら?」
「次は我の番か⋯⋯」
画像には、決めポーズを取る田中書記の姿がありました。
「あれ? サッチーあの後、先生に怒られてたよね」
「⋯⋯うめちゃん」
田中書記の画像も一部を彼女からコピーして使用しましたがーー
おやおや? 彼女のクラスの人達から指摘を受けていますね。 厄介な中ニ病が大人しくなったので、そろそろ最後の締めに行きますか。
『こんにちは! 新生徒会長のマスコットキャラのミウミウです。 みなさん生徒会をよろしくお願いします!』
「瑞稀! どういうことですの! なんですのあの見た目は!」
「ちょっと、デコり過ぎちゃった! てへぺろ」
いやー、編集しているうちに、ドンドン加工したくなって。 生徒達からも声が届く。
「ミウミウちゃん明らかに口パクだよね! ⋯⋯ミウミウなの?」
「この声⋯⋯瑞稀ちゃんだね。 上手いよアテレコ!」
そして、終わり。 私は全校生徒を見る。 きっと拍手喝采に違いないと信じて。 しかし、聞こえてきたのは、ブーイングでした。
ーーやれやれ。 まったくわかってないな~、みんな。
私は壇上に上がる。
「みなさん! 私たち生徒会役員は、発足して時間はあまり経っていません! ⋯⋯そのため、みなさんに私たちのことを知ってもらおうと、あえてこのPR動画を作成しました。 若輩者の私ですが、二学期から頑張りますから、どうぞよろしくお願いします!」
理由を説明した生徒会長の発言に、納得した生徒たちは拍手で応えたーー作戦成功! 大丈夫! 二学期には、楽しみの文化祭も開催するし、ちゃんと生徒会長として働くから! それよりも明日からなにして遊ぼうかな?ーー
生徒会長は見事に、自分の怠惰を隠蔽することに成功するのであった。
「で、終わる訳ありませんわ! 瑞稀! これから反省会ですわ!」
「えっ、パス。 これから予約済みのゲームを受け取りに行くから」
さあ! 期待に胸を膨らませて! 私の夏が始まるよ!
「⋯⋯ハア、俺達はまんまと隠れ蓑にされた訳か⋯⋯」
「倉石生徒会長⋯⋯貴方はこれから何をするのです?」
(あ! 瑞稀ちゃん! 私との約束忘れないでね!)
50、無事に一学期を終える
「ふう。 一学期が終わった!」
私は、ニコニコしながら帰路に着く。
帰り道で考えることは、一学期に起きた出来事だった。
「生徒会長にもなれたし、それにことねともお友達になれたし、最高!」
ついつい、嬉しくて鼻歌を歌いたくなった。 その時ーー
「このままじゃまずいわ! どうにかしないと⋯⋯」
「彩乃。 どうしたの?」
「倉石。 貴方、この土地のどこかに祠があるらしいの! どこにあるか知ってる?」
「祠? あの山の山頂にあるけど⋯⋯ボロボロらしいよ?」
「それだわ! 情報提供感謝するわ!」
そう言うと、山の方へ走って行ったーー あれ? もしかして、私余計なことを言った? まあいっか!
「ただいま!」
「おかえり瑞稀」
家に帰った私は、特に気にせずのんびりと過ごす。
ーーこの夏は、一体何が起こるかな?




