櫻井一家と遊ぼう!
「こんにちは! ミウミウ!」
「瑞稀! ご機嫌ようですわ!」
「君が、倉石瑞稀か⋯⋯」
ミウミウのお父さんが私を複雑そうな目で見る。
34、櫻井和馬さんに会う
ーー櫻井和馬。 彼も、この土地においては、有名人の一人である。
彼の妻ーーつまり、ミウミウのお母さんはことねの父親の秘書として同行し、今は海外にいる。
高坂家と同じように、一家で川端家を支えているのだ!
それは、川端の師範に弟子入りしたことから始まりーー
「瑞稀! 長い回想は辞めるのですわ!」
「ごめん、ごめん」
「なんで、休日にその格好ですの?」
「私も後悔してるよ⋯⋯」
「⋯⋯ああ、すまなかったね」
「いえ、お気遣いなく⋯⋯」
「パパ? どうかしたのですか?」
ーーそっか、ミウミウは知らないんだね。
「あの、同行してもよろしいでしょうか?」
「⋯⋯まあ、私は構わないが」
「瑞稀が一緒に?」
「駄目かなぁ?」
「⋯⋯いいですわよ。 着替えてもらう条件付きで、ですわ。 汚れたり、濡れたりしたら大変ですもの! 当然ですわ!」
「美羽! チーズ!」
「パパ! 綺麗に撮れまして?」
「⋯⋯まあまあだな」
私は、ミウミウがよそ見をしている隙に、取った写真を見て微笑む和馬の顔を見て、彼女達の関係を理解した。 これは、ミウミウを写真映えさせることが、今回の私に課せられた課題ね。
「瑞稀? どうしたのかしら? 顔が真面目ですわよ? 服が気に入らなかったのでしょうか?」
「ミウミウはワイシャツとかワンピースを着ているイメージがあったんだけど⋯⋯違うんだね」
「瑞稀。 そんな格好では、ご飯を食べられてませんわ!」
私は、和馬さんの方を見た。 先程撮った写真を見つめていた。
ーー平常心、平常心。
「楽しいですわね、瑞稀! 次は、あそこへ行きましょう!」
「元気でね⋯⋯ミウミウ⋯⋯」
はあ、疲れてきた。 どんだけ元気なのよミウミウ。
「もう! 瑞稀は、貧弱ですわ! ご飯の量が足りないのじゃありませんこと?」
「私は、充分食べてるよ!」
「本当ですの? ⋯⋯昨日だって、あまり食べてなかったですわよ」
「⋯⋯は! 美羽! そうだ説教だ!」
ずっと写真を撮っては、微笑んで、見つめていた和馬さんが、思い出したようにミウミウに迫る。
「美羽! 俺は、お前の体が心配なんだ! 無茶な食事はやめてくれ!」
「パパ。 ⋯⋯お母様にそれを言えますの?」
「ギク!」
ーーなるほど。 わかったよ!
「つまり! 遺伝と言う訳ですか⋯⋯」
「美羽! 程々にするのだぞ⋯⋯」
私は、ミウミウの両親の馴れ初めを知りたくなったのだった。
「楽しかったのだわ! ね、パパ!」
「⋯⋯まあまあだな」
「瑞稀もた⋯⋯まあ、いないよりマシでしたわ」
「はいはい。 私は楽しかったよ」
私が、そう答えると、ミウミウは顔を赤らめてソッポを向く。
わかりやすく照れてるなーー
「ミウミウ。 お願いがあるんだけど」
「なのですの? そんな、改まって⋯⋯」
「生徒会に入って欲しいの!」
「わちゃ、あた、あちゃー」
私の後ろにいた、和馬さんが驚く。
「ななな、美羽が生徒会だと!」
「⋯⋯どうかな、ミウミウ?」
「まあ、別に構いませんが⋯⋯」
「ありがとう! ミウミウ!」
私は、ミウミウに抱きつこうとした。 しかし、避けられた。
「瑞稀! 生徒会一緒に頑張るのですわ!」
「うん! よろしくお願いします」
私達は、握手をするのであったーー
「倉石さん。 今日は、ありがとう」
「和馬さん。いい写真撮れましたか?」
「ああ。 それに、あの子があんなに笑うのは、久しぶりに見た」
「⋯⋯? 二人とも、コソコソなにか話しているのですわ?」
「内緒だよ、ミウミウ」




