影は光に照らされた ーー黒田明里視点
「はい。 桐原です」
「⋯⋯えっと黒田明里と申します。 彩乃さんはご在宅でしょうか?」
「姉ですか? 少々お待ちください⋯⋯」
私は、二人と別れた後ーー桐原さんの家に来ていた。 登校を再開する前に、改めて謝罪をしたかったからだ。 でないと、私の気持ちが落ち着かない。
「黒田さん、こんにちは」
「彩乃さん、文化祭の件について改めて謝罪に参りました。 ゴミを投げつけて申し訳ございませんでした!」
深々と頭を下げる。 私は元より、貴方に対して、嫌悪感を持っている訳ではなかった。 ーーただ、偶然貴方だっただけなのだ。
「うん。 私は、あの時傷ついた。 ⋯⋯でも、もう大丈夫だから。 それよりも、お願いがあるんだけど⋯⋯」
お願い? 私は彼女を見つめる。 彼女はコックの衣装だった。
「えっと。 料理を作りすぎちゃって⋯⋯今、美羽も呼んだけど、彼女が来るのは、時間がかかる見たいで⋯⋯」
モジモジ、顔を赤らめながら言う彼女に、私は応えるのであったーー
「お邪魔します〜ですわ! ご飯、ご飯~」
「ミウミウいらっしゃい」
「来たわね、美羽⋯⋯」
「どうも、櫻井さん」
私が挨拶すると、驚く櫻井さん。 そうよね、邪魔だったかしらーー
「アカリンですわ! 聴いてくださいまし、貴方の妹さん失礼ですのよ」
「え? ⋯⋯凛が、粗相を?」
「違うよ、明里さん。 ⋯⋯ミウミウ、適当なこと言わないで! ややこしくなるんだから」
彩乃さんの妹ーー舞香さんの話しによると、今日は三人で食べ歩きをしていたらしい。 その時、櫻井さんが食べる様子を見て、凛が「正直、ありえない。 引くわー」などなど、彼女を罵倒したのだと言う。
「ムキー! ですわ! ぷくぷく」
「えっと⋯⋯伝えておきます」
私にしては、言い返しだったと思う。 ーーさて、彼女も来たし、邪魔者は退散しますか。
「⋯⋯では、そろそろ失礼させていただきます」
「⋯⋯え? もう帰っちゃうの?」
「ええ。 長々と居ては悪いですから⋯⋯」
「せっかく、用意したのに⋯⋯」
そう言うと、悲しい顔をする彩乃さん。 もう、そんな顔をされたら、帰れないでしょう! ーー結局、私は長時間居座ることになるのであった。
「遅い! アンタ、いつまで私を待たせるのよ!」
「結衣! えっと、ごめんなさい⋯⋯」
私が、家に帰ると、結衣が待っていた。 ーーどうやら、学校の課題などを持って来てくれたようだ。
「私、暇じゃないんだけど? このあと、アンタのパパンに呼ばれてるからさー」
「本当にごめん!」
「⋯⋯で? いつ登校するのよ?」
「明日には、登校するよ」
「休日休みなんだけど? 善子と三人での練習をすっぽかすつもり?」
「え? ⋯⋯あはは。 曜日確認してなかった⋯⋯」
通りでみんな、来る訳だ。 窓からの夕日が眩しい。
「ふん。 次のライブは海外だからね! しかも、大舞台! 私たちはスターの仲間入りよ!」
ーーそう。 私たちは、海外へ行く。 そこで、パフォーマンスをするのだ。
「明日から、ビシバシ練習するから、覚悟するように!」
「はいはい、わかりました」
夕日の中で微笑む、結衣に私は照らされるのであった。




