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ペットショップを異世界にて~最強店長の辺境スローライフ?!〜  作者: すかいふぁーむ


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015 大金

「さて、本題に入るか」

「そうね」


 調査依頼のゴール。金塊の回収だ。


「じゃ、ほのかがやるか」

「大丈夫でしょうか……?」

「大丈夫……だよな?」


 並の使い手なら心配はいらないんだけどな……。ほのかの魔力だと目的のものを破壊する可能性は十分ある。


「加減くらいはできるでしょう」

「じゃ、任せるか」


 師匠がそう言うなら大丈夫だと信じよう。

 2人に任せて新たに仲間になったリオンとともに周囲の警戒に集中した。


 ◇


「これは……」

「思ってたよりすごいわね……」


 掘り出された金塊。正確には鉱物の塊。この世界の各硬貨の素材だ。

 ほのかだけは価値がわからずぽかんとしている。


「エリス、ほのかにわかりやすく説明を頼む」

「そうね……アツシの店の年商よりも大きいわ」

「それは! えっと……どうなんでしょう?」

「やめろ、こっちを見るな」


 大した額になっていないんだから……。


「まあそんなものと比較するのは馬鹿らしいくらいの額ね」

「宝くじの1等前後賞くらいはあるんじゃないかな。年末のあれくらい」

「え……それって……」


 そう。豪遊していても下手したら生涯困らない額。それだけに困る。


「ギルドに何ていうかな……」

「そもそもこれだけの鉱石を持っているのもね……換金したいけれどこんな金額を持っている組織なんて……」


 1つ心当たりはないことはないが……こちらから首は突っ込みたくはないな。


「ま、いずれにしてもしばらくはお蔵入りにせざるを得ないわけだ」

「そうなんですね……じゃあどこに保管すれば……?」

「アツシの家でいいわ。あそこより安全な場所、大陸を探してもそうないもの」

「そうなんですか?」


 エリスの言葉に驚いたのはほのかだけではない。


「そうなのか……?」

「自覚がないわけ……?」


 エリスが呆れたという顔をするが全く覚えがない。


「あれだけの戦力があの密度に集まっている場所、王城でもないわよ」

「まぁ……戦力はそうか」


 1匹で小隊くらいなら蹴散らせる竜たちや、下手をすれば軍団レベルとやりあえるハクなんかがいるわけだ。

 ある種人間軍の辺境伯のような立ち位置かもしれない。


「じゃあ、大丈夫なんですね!」

「ええ。アツシに任せておけば安心よ」


 こちらの意志は関係ないらしい。まぁ、それ用の魔物をピックアップして保管を任せればいいか……。


「じゃ、一旦これで終わりだな」

「お疲れ様」


 ほのかはハクに、俺は新たに加わったリオン、エリスはいつも通りオオムカデに乗る。


「帰るか」


 ◇


「あ! アツシさんたち! 調査はどうでしたか?」


 冒険者ギルドにつくとリリアさんがいち早く気づいて声をかけてくる。


「それが……ちょっとここじゃあれだな」

「わかりました。中の部屋を確認してきます」


 要件も聞かずに部屋を開けてくれるのはありがたい限りだ。


「アツシさん! こちらへお願いします!」

「ありがとう」


 ほのかとエリスとともにカウンターの奥にある部屋へと導かれるまま入っていった。


「で、わざわざこちらを指定されたということは、何かあったんですね?」

「そちらこそ、何も聞かずにここに通したということは、何かある可能性を把握してたってことか?」

「ふふふ……そこはほら、冒険者ギルドも捨てたもんじゃないってことで」


 得意げなリリアさんは耳がピンと立っていてわかりやすい。


「まぁいいけど、あれ中途半端なやつを行かせてたら危なかったぞ」

「え? だからなんの変哲もない調査依頼にわざわざBランクを推奨にしたんですが……もしかして?」

「そのもしかしてだ。俺たちで良かった」

「そうだったんですね……それは……本当に助かりました。ギルドマスターに連絡して改めてお礼を」


 先ほどとは打って変わって急速にシュンと耳がたたまれる。面白いなこれ。


「いや、それはいい。むしろあんまり話を大きくしないでくれたほうがありがたい」

「わかりました。それで、調査結果は?」

「見せたほうが早いな。まずは見つけたもんだが、エリス、頼む」

「ええ」


 エリスが風の魔法で隠しながら浮かせて持ち運んでいた鉱物の塊をドサッと部屋に広げた。


「これは……!?」

「えーっと……見せたほうが早いか。サモン」


 ある程度広さもあったのでリオンを部屋に召喚した。


「この子……もしかしてってこの子だったんですか?!」

「やっぱりギルドは把握していたか」

「周囲の魔物のことはある程度定期的に調査をしていますので……ですが……」

「というわけで、噂が立ったのに誰も手を出せなかった理由も合わせて、そういうことということで」

「なるほど……。いえまさか、周辺を支配するSランク相当の魔物が近くにいたとは……。ご協力感謝いたします」


 リリアさんがいつになく真面目な口調だ。Sランク相当は言い過ぎかも知れないが、それに近いというだけで普通の冒険者にとっては死を意味する驚異だ。ギルドとしては大切な冒険者を失う可能性があった。リリアさんの声音から深刻さが見て取れた。


「それで、この鉱石はどうしますか? ギルドで換金する場合少しお待たせしますが……」

「少しでいけるのか……?」

「いえ……ちょっと王都や周辺ギルドと連絡を取り合う必要がありますが……」

「とりあえず交換できるだけは頼みたいから、細かいもの、できるものだけはお願いするか」

「はい!」


 この作業、もちろんギルドに手数料も入る。金額が金額なのでギルドにとっては良かっただろうな。


「アツシの心当たりに頼むとどのくらい持っていかれるのかしら?」

「タダだと思うぞ」

「ならそっちにすればいいじゃない」

「いや、だからこそ嫌なんだよ……」


 タダより高いものはないからな。


「ま、どっちにしても全部は無理だろうから、しばらくはもっとかないとだなぁ」

「アツシさん、銀行みたいですね」

「いっそ銀行でもやったら儲かるかも知れないなぁ……」


 Sランク冒険者が守るというだけで預けるに値するし、貸付のベースとなるお金もエリスと本気で数年冒険者活動をすれば貯まる気がする……。


「真面目に考えるとペットショップやってるのが虚しくなるからやめよう」


 実際に始めれば色々大変だろうしな。


「アツシさんはペットショップが似合ってますしね!」

「そうか? そう言ってもらえると安心だな」

「いいのか悪いのかって感じだけどね」


 エリス(お得意様)の辛辣なツッコミを受けながら、リリアさんを待った。

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