魔王の魔手・マッシュとの決戦
……とうとうここまで来たぜ。
色々と面倒な事があったが、すでに勇魔金玉ごと奪われたチンコをメスパーから回収して装着し、目の前の魔王の魔手・マッシュを倒せば魔王の魔手を回収して魔王の力を取り戻す。そしてこのジャスティスシティーを利用して他の大陸進攻しようとしていたマッシュの作戦もここで終わりだ。
「ここで最終決戦だマッシュ。もうお前に逃げ場は無い。ドクマッシュダンジョンも崩壊し、ジャスティス騎士団の信頼も失った。外は深い森と霧のミストジャマーが邪魔して逃げる事は不可能。最後は勇と魔を合わせた存在、この勇者魔王オーマが勝つのさ!」
「マッシュ! マッシュ! そんな事は勝てば官軍なのよ! 勝ちさえすればこの状況は一変する。貴方の身体を奪ったこのマッシュちゃんは最強の存在になるからね。それに私にはまだ秘策があるの。貴方の戦闘データを知り、貴方に復讐したい女の力を使う秘策がねぇ……」
「秘策だと?どんな秘策だろうが、この勇者魔王オーマが叩き潰す!」
「もう勇者魔王に戻れる事は無いのよ。死になさい勇者オーマ!」
瞬間、俺の目の前に金髪巻き髪の幼女が現れた!
この幼女は……死の商人テンパだ。
今更テンパを使ってどうするつもりだ?
「パッパッパッ! 私の登場に驚いているようねオーマちゃん。このマッシュに力を貸していたけど、今度は直接力を貸すわよ。勇者オーマを始末する為にね」
「へっ、今更テンパ如きが出てきてもしょーがねーぜ。オワコンは終わったコンテンツとしてどっかのコンテナに埋まってろドカスが」
「その減らず口がどこまで持つかしらね。魔王の力を使えない貴方への対策を知る私と、魔王の魔手であるマッシュが組んだ力は貴方を地獄へ送るわよ。そしてその身体はマッシュのモノとなるの」
「お前、その俺の身体を奪ったマッシュの身体を更に奪おうとしてないか?」
「そんな事は後の話よ。まず、私とマッシュは勇者オーマを倒す。それだけ。ねぇマッシュ?」
ククッ……と明らかに一時的な共闘という笑みを見せるテンパは緑色のマッシュルームカットの少女を見た。
「そう、テンパの言う通り今は先の事はいいの。まずは勇者オーマどんを倒す。このテンパのパワーを合体して使わせてもらい……私はマッシュルームの天使……マッシュエンジェルになるの!」
何と!マッシュは金血鬼テンパと合体するようだぜ!その合体する二人の女達は空へ飛び上がるーー。
「合体よテンパ! Mモード軸合わせ!」
「パッパッパッ! いいでしょうマッシュ!」
空中で行われるM字開脚のマッシュにテンパがM字開脚でその背中に乗るMモード軸合わせから、二人の魔力が混じり合う緑と金の歪な光が周囲を照らし出す。シュパアァ!というまばゆい光に目を細めてると、逆光の中に天使の羽を広げるシルエットが浮かんで来た。
それは金と緑の翼のキノコ天使。
胸と下腹部をキノコのアーマーで覆い、他は素肌丸出しという機動性に優れた姿をしている。勇者魔王オーマの戦闘データを知り、勇者魔王オーマと一心同体であった者の融合した姿。金血鬼テンパと合体した、魔王の魔手であるマッシュエンジェルが誕生した――。
「本当に合体しやがった……。やってくれるぜ」
周囲の仲間達も、ジャスティス騎士団の連中も唖然としてるな。確かに見た目は相変わらずキノコキノコしてて天使というには……ちと変だからか?
「……だが、マッシュとテンパの合体ってのは、案外上手く行くもんなんだな。テンパの野郎、利用するだけじゃなくて利用される事も覚えやがったな……」
テンパの野郎も死の商人時代とは違う自分で世の中を渡ってやがるな。テンゴク大陸でも裏でコソコソと赤髪魔剣士エミリ達を手助けしてたし、ここでもマッシュの国取りに加担していた。ここで魔手を取り戻したらテンパを消してしまえばいいだろう。ヤツをいつまでも野放しには出来んぜ。そしてそのキノコ天使は言う。
「さぁ、最終決戦よ勇者オーマどん!このエンジェルマッシュがこの戦いに勝利し、この七つに分かれるラルク大陸全土を統括し、支配する!」
「それは想像なら叶うが、現実は残酷なんだよ。決着の時だ魔王の魔手マッシュ!」
そして、勇者オーマである俺と、魔王の魔手であるマッシュの最終決戦が始まる――。
ズバババッ! と俺のマジックウェポン・サブマシンガンがエンジェルマッシュの天使の羽根を削り取るように散らしていく。遠距離では部があるはずの俺の攻撃に耐えられないのか、マッシュは背中の左右の翼を前に持ってきてガードしてやがる。この光景を遠巻きに見ているジャスティス騎士団や仲間の魔女達は冷静に戦況を眺めていた。
「防戦一方だなマッシュ! 合体したテンパとの相性でも悪いのか?」
「それはこれからのお楽しみよ。サブマシンガンはザコ相手ならまだしも、私には致命傷は与えられないわよ。豆鉄砲じゃキノコには勝てないマッシュ!」
「へっ、それはこれを見てから言え。マジックウェポン・ダブルバズーカ!」
ズボゥン! と両手に構えたダブルバズーカが火を吹きマッシュに直撃し、金色の天使の羽根がバサァ! と鮮やかに空間に散り、それが意思を持つようにユラユラと揺れる。それを好機と見た俺はおそらくテンパとの合体に慣れていないであろうマッシュを早めに倒す事にした。
「このまま大口径のスナイパーライフルでマッシュを倒す!」
シュパアァ! とマジックウェポン・スナイパーライフルを生成した。立て膝になり、カチッ……と撃鉄を引いて照準スコープでバズーカの着弾した煙の晴れてきたマッシュの心臓部に狙いをつけ――スナイパーライフルの引き金を引く――。
「終わりだ――」
引き金を引こうとする指が止まる。照準スコープから見えるユラユラと揺れていた天使の羽根が、軍隊のように空中に整列したような陣形を取っていた。
「何だ……あの天使の羽根はまさか――」
「くらえ! エンジェルフェザー!」
その天使の羽根の指揮者であるエンジェルマッシュは奏者達にタクトを振るう。ズバババッ! とエンジェルフェザーの群れが襲いかかる!
「ぐおおっ!」
構えていたスナイパーライフルを投げつけ、俺は真横に飛んだ。ゴロゴロ! と転がりつつもマジックウェポン・サブマシンガンを生成し、そのサブマシンガンで襲いかかるエンジェルフェザーを一つ残らず撃ち落とす!
「ちと焦ったがこのエンジェルフェザーは所詮細かい羽根でしかねー。威力としては弱いんだよ!」
「それでいいのよ。かかったわね!」
「何!?」
無数のエンジェルフェザーは一つの巨大な羽根へと融合した! ビッグエンジェルフェザーか!? そのビッグエンジェルフェザーが隕石のように俺に降り注いだ――。
右手を突き出し、その甲に浮かぶ五芒星の勇者烙印のパワーを上げる俺は言う。
「……予想通りだ。エンジェルフェザーを重ね合わせた一撃で来ると思ったぜ!」
あらかじめ右手の勇者烙印の聖なるパワーを高めておいた俺は光の防御壁・ライトシルードでビッグエンジェルフェザー耐えた!
そしてマッシュに反撃の一撃をかます事になる。
「ビッグエンジェルフェザーまで読んでいたの? 勇者の超直感の力は意外に厄介。でも負ける気はしない」
「お前は負けだよ。さっき、スナイパーライフルを生成する前に生成して放ってたダブルバズーカからブッ放しておいたホーミングミサイルだ。空を一周させてから狙いをつけてたんだよ。あばよ!」
「ホーミングミサイル? ――あれは!?」
ズゴーン!と先程もしもの時の為に放っておいたホーミングミサイルをエンジェルマッシュに叩き込む!
『……』
蹂躙するような一方的な勇者オーマの攻撃に、周囲の観客は見とれてやがるぜ。
「そろそろ観念しろよ。テンパと合体した程度で俺に勝てると思うなよ。この異世界で最強なのは俺だけだ」
「やっとこのエンジェルモードに慣れて来たんだから、もっと楽しもうよオーマどん……」
「へっ、またエンジェルフェザーか。芸のねー奴だぜ」
空中に飛び上がるマッシュはまたエンジェルフェザーで攻撃して来る。
(ライトシルードで防ぎつつ、一気にトドメをさすか……。皮を切らせて骨を断つでいくとするか――)
瞬間、マッシュに向かって飛び上がろうとする俺の目の前に瞬間移動したかのようなエンジェルフェザーの群れがあった!
「!? エンジェルフェザーが――加速しやがった!?」
どういう事だ!? と思いつつも咄嗟にハンドガンと背中のヒートソードで迎撃する。
「くそっ! エンジェルフェザーのケツにキノコがついてブースター!?」
「そう、これこそがマッシュとテンパの合わせ技。キノコエンジェルフェザー!」
急速なキノコエンジェルフェザーの加速に反応が追いつかず、俺はそのキノコエンジェルフェザーの直撃を浴びてしまった。
「ったく……サタンの義手が死んだぜ。これで右腕一本だ。ま、これぐらいのハンデはお前には必要だろマッシュ?」
「そんなハンデはいらないよ。コッチはテンパと合体している。だからソッチも魔女と合体していいよ。そうすれば一度で勇者と魔女が倒れて後が楽でいいわ」
「別にコッチは魔女と合体して戦う必要は無いけどな」
「え~やろうよ。やろやろ?」
腰をウネウネさせながら魔女は言う。
マジか……?
ここまで魔女がやる気になってるのは珍しいからそのやる気をゴミ袋のように利用させてもらうぜ。
と、まぁそんなこんなで魔女と合体して戦いそうだぜ。つか、合体しても強くなんのか?
なら左腕の魔手が無い分を魔女の力を利用して補ってパワーアップしてやるか!
「わかったぜ! やれるな魔女? 合体だ!」
「オッケー! やれるだけやってやるわよ!」
俺も敵を真似して魔女と合体する事になった!
合体には合体で対抗するしかねーぜ!




