ドクマッシュダンジョンの管理人・キノコパオーン
マジックウェポンで生成したパラシュートでジャスティスキャッスルの地下に作られた魔王の魔手であるマッシュのドクマッシュダンジョンに俺と魔女。そして半魔女メスパーとジャスティス騎士団団長はたどり着いた。パラシュートで地下に降下中に突如、ここのボスであるマッシュからの奇襲を受けつつも何とか無事に地下まで全員健在で降下した。
ただ魔女の体調が悪く、団長と共にドクマッシュダンジョンの入口で待機していてもらう事になった。もし、背後からの敵が現れれば入口前で始末してもらう為と、帰還する時に安全に帰れるようにする為だ。
そして、最悪な事に俺はこの猫女を相棒として行動しなければいけなくなったんだ……黒髪ショートボブの袖無し純黒セーラー服の摩訶不思議な無気力女と。
(魔女がいれば特にメスパーを意識する事はなかったが、やはりこれまで幾度となく戦った敵であった奴と二人でいるのは変な感じだ。魔女も敵であって恨んでもいたが、この異世界に来て凄まじい力を得た存在としてくれた事にだけは多少なりと感謝の気持ちがあったから仲間としてすぐに打ち解けたが、この猫女とだけは精神的にキツイな……リアルでしかも無表情でニャーンなんて言う女はマジでヤバイ! 顔がいいだけにそれが似合ってるのも問題だ。このドクマッシュダンジョンの攻略は……)
「前途多難ニャーン」
「!? お、お前俺の考えを読んでるのか?何の魔法使った!」
「考えなんて読んでいませんよ?ただ、魔王の魔手がこんな地下にダンジョンを作った以上、必ず貴方を殺す算段があるはずです。あまりボーッと歩いてると、後ろから刺されますわよ?」
「フン、お前が刺さない限り俺は誰にも刺されんよ」
と、言い俺はメスパーの前をスタスタと魔王の魔手であるマッシュが生み出したドクマッシュダンジョンを歩く。このドクマッシュダンジョンは以外にキレイな場所だな。ダンジョンらしい洞窟のゴツゴツした感じはあるが、荒廃している風景じゃなくサッパリとしていて歩き易くもある。それに、暗闇に浮かぶ蛍のような緑の粒子が浮遊していて目にも優しいダンジョンになってやがるぜ。
今の所、キノコモンスターが出て来る気配も無い。またマッシュの野郎が奇襲を仕掛けて来るのも一応は頭に入れておかないとな……?
(勇者の超直感が俺に何かを訴えかけてやがる……敵か?)
となれば、機械のようにカクカクとした動きでメガネを無駄にクイッ、クイッと上げている猫女に伝えないとならん。
「メスパー、周囲を必要以上に警戒しろ。何か俺の感覚に嫌なものが走りやがった。敵かもしれん……」
「わかりました。メガネの度を上げて警戒します」
「度を上げて見えなくなるって事は無いのか?」
「問題ありません。私はすでに明日が見えてないので」
「ダアホ! ちゃんとメガネの度を合わせて警戒しろ! お前の明日は俺が照らし出してやる!」
「はいニャーン」
とりあえず面倒なメスパーはこれでしばらくは安定するだろ。敵と戦うのに味方から邪魔されたらやってられんからな。
俺とメスパーはキノコモンスターの襲撃に備えているが、特に地面や天井からキノコが生えてるわけでもない。しばらく歩いても緑の蛍の光のようなキレイな粒子が飛んでいるだけで敵の気配はしない。精神を張り詰めている緊張感からか、隣のメスパーの動きが止まっていた。
「おいメスパー。足を止めるな。敵は止まった瞬間を狙ってるのかもしれん」
「……そう言っても何故か身体が痺れて動きづらいのです。困った困った」
「身体が痺れてるだと……? 確かに俺の右手も微かに反応が悪いな。これは偶然じゃないぞ……」
緑の粒子がやや増え出しているこのダンジョン内に、俺は異様な感覚を覚えた。そして肺の奥に針を刺されたような嫌な痛みを身体が発していた。
「この緑の粒子……この肺の奥を刺激するのはこの粒子だ。――下がれ! これは毒だ!」
「ニャーン」
どうやら空間に毒が吹き出してやがるな……。
俺とメスパーレベルの魔力なら魔力を高めた状態ならこの程度の毒なら耐えられるが、これが戦闘状態なら話は別だ。俺達は魔力を高めて魔力ガードを強くした状態で毒を身体に入れないように抵抗した。
「チィ……ドクマッシュダンジョンとはこういう事だったのか。わざわざ説明してくれてたのに気付かなくて悪かったなマッシュの野郎。とにもかくにも、この毒を吹き出す元凶を始末するか。まずはこの空間で自由に動けるようにならないといけないからな」
「となるとマッシュはこの近くで地面から毒を出す事を行っているのですかね……?」
「この毒はマッシュじゃないな。マッシュはあくまでも大元の管理人でしかない。このドクマッシュダンジョンに常駐して管理してる奴は他にいる」
「まだ出しゃばりのマッシュが出てこないという事はマッシュはまだ動けないという事。マッシュがさっき戦いのダメージを回復させてる今がチャンスだ。攻めて行くぞ!」
そして一気にドクマッシュダンジョンを駆ける俺達は魔力ガードを高めたまま次々と現れ出すキノコモンスターの類を始末し、先へ進むと森林のような草木が生い茂った空間に出た。そこはこの緑の粒子の毒が発生している根本の原因である場所で、その奥に巨大なキノコモンスターが存在した。それはゾウのような身体と顔をしていて、一角獣のようなツノには細長いキノコがついてやがるぜ。そんな先端が丸くちゃ敵は刺せそうにないな。俺とメスパーはボスだと確信し、構える。
「……どうやらこの毒を吐き出してる野郎はあの巨大キノコモンスターのようだな。なんかゾウのようなツラをしてやがるぜ。どうなんだデカキノコ野郎!」
「パオーン! 我はキノコモンスター最強のキノコパオーンである! このダンジョンに浸透させている毒をかいくぐりよくここまで辿り着いた。しかしここで死ぬのは必然である。マッシュ様に辿り着く事は無く消えればいいさ……パオーン!」
「何がパオーンだ。キノコだかゾウだかわからん見た目しやがって。とっとと始末して毒を吐けなくしてやるぜ! なぁメスパー?」
「Zzz……ニャーン」
「寝るな! ボスだぞ!」
ドクマッシュダンジョンの深部にはキノコパオーンというモンスターが存在した! ゾウのようなデカイキノコだぜ。
コイツがこのドクマッシュダンジョンの管理人だ。コイツを倒せば毒は止まる。とっとと倒してマッシュまで辿り着いてやるさ。そしてパオーン!と叫ぶキノコパオーンは唐突に質問をして来る。
「我のパオーンはこの額にある一本のツノであるパオーン。お前のパオーンはどんなパオーンなのだ?見せてみぃ」
「……何いってやがる。ここで見せられる代物じゃねーんだよ俺のパオーンはよ。んな事いいからとっとと戦うぞ」
「ククク……お前のパオーンは知っておる。多分、今は水場で魚のように泳いでおるだろう。あんな粗末なモノが勇魔金玉とは聞いて呆れる代物だ。それに付属するパオーンもカタツムリのように縮こまっておったぞ!」
「黙れ! この勇者魔王オーマの金玉は最強だ!」
何でこのキノコパオーンが俺のチンコを知ってやがる?それも魚として泳いでるって何だよ……。そしてようやくヤル気になったメスパーは黒縁メガネをキラリと輝かせ、
「気にせずいきますわよ。チンコは後でどうにかなります。毒のせいで身体の痺れが強くなって動きがさっきより鈍ってるから早めに始末しましょう」
「だな。まずはこのキノコパオーンを倒す!」
※
マッシュの部下モンスター・キノコパオーン戦が始まった!
ゾウのようなデカイキノコだぜ。
コイツがこのドクマッシュダンジョンの管理人で、コイツを倒せば周囲の毒は止まる。そのパオーン! と叫ぶキノコパオーンはまたもや叫ぶ。
「キノコパオーン! パオパオー!」
『!?』
キノコパオーンはその巨体を気にする事なくジャンプし、ズドーン! と凄まじい衝撃を地面に叩き込みやがった!
「うはっ! 地面が崩壊しそうなスゲー地響きだ! とりあえず飛んでおけメスパー!」
「はいニャーン」
「って、俺の背中に乗るな!」
「バレたニャーン」
と、第一オーマスーツ・ギガバーニアンで空中を飛行する俺の背にメスパーは乗って来やがったが緩急をつけて落とす。超能力魔法で空を飛ぶメスパーはキノコパオーンから飛ばされる毒針を紙一重で回避していた。
(周囲の毒の影響を受け始めてるだろうがまだメスパーの動きは悪く無い。でも早めに仕留めねーとコッチがやられる――)
ジャンプすると着地した瞬間に起こる地響き。そして長い鼻から繰り出される矢のような毒針。シンプルな攻撃方法だが自分のスタイルをわかってる奴の攻撃は嫌なものがあるぜ。
自分の部屋だという事も気にせずキノコパオーンは地面を崩壊させるように傍若無人に暴れまわる!
「……あれだけのガタイだ。下手な攻撃はおそらくダメージを与えられねーな。こうなりゃ一気に攻めて勝つのが一番だメスパー! お前の背に乗せてもらうぞ! イージーアンボビウムだ!」
「え? イージーアンボビウムってブラックアンボビウムの武装コンテナだけがあるイージーバージョンですね? あれは重すぎるので嫌です。私がしんどいので……」
「しんどいもなにも、勝たなきゃ仕方ねーだろ! 頼んだぜメスパー!」
「仕方ないニャーン」
イージーアンボビウムの武装コンテナの全てを使い、一気にキノコパオーンを倒す事にした!
ブラックアンボビウム武装装備――。
近くの敵を始末するビームガン。
周囲の敵を倒し、爆破しつつ牽制もかけるハイパーバズーカ。
敵を巻き取り爆破する爆導索。
基本は三つのリーダーから発する三角形の電磁波で敵を結界内に封じ込め、焼き払うプラズマリーダー
広範囲の敵を蹴散らすミサイルポッド。
対人兵器・フラッシュニードル。
白兵用のハイパビームソード。
そして虎の子である一撃必殺の威力を誇る、五メートルの砲身の大砲・ギガビームキャノン。
そのブラックアンボビウムの外見は、両肩に大型の武装コンテナが有り、右に五メートルの砲身の大砲・ギガビームキャノンがその存在を否応無く示す。左側には魔力を貯蔵する魔力タンクがあり、魔力防御シールドを展開させるジェネレータの役割も果たしている。中央にはそれをコントロールするステイマンが存在する、黒薔薇描かれた出来た巨大な戦艦ともいえるブラックアンボビウムが姿を現した。
そして今、俺がマジックウェポンで生成した簡易版であるイージーアンボビウムには対人抹殺兵器のフラッシュニードルと大型の覇王剣ハイパービームソード。そして魔法防御結界のマジックフィールドは無い。そして、通常のブラックアンボビウムと違いこの兵装をしたら、機動力は一気に落ちる。この兵装は機動弾薬庫だがイージーなだけに高速機動用のブースターは無いからだ。残りの魔力じゃ、ブラックアンボビウムを生成してもブースターを使い続ける魔力は無いからな。
その使い手ステイマンである俺は、両手を広げ、ブラックアンボビウムの存在感をキノコパオーンに知らしめる。本来ならハイパービームソードは無いが、勇者のパワーを合わせて簡易型のハイパービームソードを生み出してやった!
「行くぜ!ハイパービームソードだ!」
ズバー!と巨大な黒剣であるハイパービームソードでキノコパオーンの身体を横一文字に切り裂いた――。
ズザアァァァ……と巨体を地面に叩きつけるようにキノコパオーンは倒れた。
「勝った……これでこのダンジョンの毒が消えるはずだ。そして、マッシュへのルートも確保出来るぜ。行くぜメスパー」
「身体が痺れてしんどいニャーン」
「確かにそうだな……俺の身体もキツイぜ。でもキノコパオーンが倒れたなら毒を発生してた奴がいなくなった以上消えるはず。ここで多少休んでからマッシュエリアへ攻め込むぜ」
確かにさっきより身体の反応がおかしいな……。
もう毒を吸いすぎてるな。
早く正常な空気を吸って体調を戻さないとならんな。
「周囲に散ってる毒のせいで保ってた平衡感覚が無くなって来やがった……それに加えてチンコが無いのがここまで平衡感覚を失わせるとはな」
「根性無しですねオーマ。私はこんなにピンピンなのに……」
「生まれたての子鹿みてーにプルプル震えてる奴が言うことか? 毒の影響は互いにある。ヘタな嘘をつくなよ」
「ニャニャニャ。この痺れでは眠る事も出来ませんよ……」
「お前が眠れないなんてこの毒は結構厄介なんだな。何にせよ、今敵が現れたら大変だ。余計な事をするなよメスパー」
「今敵が現れたら大変か……なら復活したこのキノコパオーンを再度倒すのは不可能という事だな勇者オーマよ!」
『!?』
倒したはずのキノコパオーンが復活しただと!? 何故だ!? 俺とメスパーがそう思っているとブフオォォォォ……! というオーラを放ち巨大なキノコゾウが本当に復活しやがった。
「パオパオーン! 我が復活したのはこのドクマッシュダンジョンの管理者である我の下には魔力供給源があるからだ。そのエネルギーで我は復活したのだよ。簡単に管理者は倒せないという事だよ勇者に半魔女よ」
圧倒的な威圧感……本当にさっきまでのダメージも無く復活しやがったな。
「……ったくめんどーだな。メスパーが奴の相手をしてやれ。オトコだから女の方が喜ぶだろ?」
「ニャーン。私はああいうデカイモンスターなどは嫌いなので無理です。やはり手のひらサイズの小さいモノが好きなのですよ。例えば貴方の……」
「おい! 余計な事を言うなよ! 何かお前もめんどーだから早く二人で倒すか。でも奴の復活の源は何なんだ……?」
「それはおいおいわかるでしょう。私達が死ななければですが……来ますよ」
「へっ、面白い事を言うなメスパー。毒で動きが鈍ってるが、あんな奴には俺達は負けねーだろ。来やがれキノコパオーン!」
またキノコパオーンはその巨体を空に浮かべるようにジャンプしやがった!
「地震と爆弾の連鎖で死んで行け! キノコボンバー!」
ズウゥゥゥン! という凄まじい地震と、デカイ鼻から射出したキノコ爆弾の群れを空間に炸裂させ、身体の感覚が鈍る俺を守るようにメスパーが俺の盾になった……!
「メスパー! 俺に構うな! 死にたいのか!?」
「死にたくないからここにいるのです……勝ちますわよオーマ」
その俺に振り返るメスパーの顔は絶望では無く希望しかない微笑みだった。その顔を見た俺は全てを察する。
「ならちゃんとこの勇者オーマ様の盾になりやがれ! 頼んだぞメスパー!」
「はいニャーン」
ズゴオオオッ! という地震から発生した地面の陥没に落下したメスパーはそこに数多のキノコ爆弾の爆撃を受けて生死不明になる……! 俺はキノコ爆弾に当たる事なく、上手く陥没する地面の不規則な動きからダメージ無くやり過ごした。クククッ……とメスパーを倒した事で余裕があるキノコパオーンの野郎は言いやがる。
「キノコボンバーの大爆発に巻き込まれたのぅメスパーは……。これで残るは勇者オーマ一人。わざわざマッシュ様の手を煩わせる事も無い。主も早く地獄に送ってやろうぞ!」
「地獄ぅ? バカ言ってんじゃねーぜ。このアンダレスビーチはパンツをはかない女だらけの楽園だぜ。お前がいなければな!」
ズバババッ! と高速でキノコパオーンの長い鼻から放たれるキノコ毒針を回避しきれずにカスってしまう。このままだといずれ直撃を受けちまうな……。キノコパオーンはそれを察しているのか冷静に俺を分析してやがった。
「やはり動きに俊敏性が足りん。勇者のパワーがあっても基本的な人間としての平衡感覚が無い人間に勝てる道理は無い。そろそろ終わろうぞ」
「そうだな。そろそろ終わろうか。我の勝利でな!」
「ぐおおおおっ!」
ダメージを受け、キノコの触手に身体を拘束された。これじゃ何も出来ねーな……。勝ちを確信したキノコパオーンは圧倒的な威圧感で俺の最後を見定めていた。
「パオパオーン! もう無駄口は叩けないのか勇者オーマ?」
「ぐうぅぅっ……!」
「まぁいいさ。これでマッシュ様の手を煩わせる事も無い。このドクマッシュダンジョンは新しいダンジョンだ。ここでお前が死ねばこのダンジョンにも箔がつくものだ……死ね勇者オーマーーーっ!」
傍若無人な死の一撃はーー放たれた。
ブフォ! と頭から血が吹き出し、まるでシャワーのような鮮血が吹き出た。キノコパオーンの鮮血が――。
「……どうしたキノコパオーン? トドメを刺さないのか?」
「貴様ぁ! もしや地下の魔力供給源を攻撃してるな? そこから我の神経回路も攻撃してる……ふざけるなー!」
「別にふざけちゃいないさ。敵の弱点を突くのは戦術の基本中の基本。それを卑怯と言うのは殺し合いをした事の無い奴だけだ。戦いは勝ってこそ価値があるからな」
「確かに……敗者には惨めさと絶望しかない。だがそれは貴様が味わうはずだった! こんな事をするとは……」
「卑怯……なんて言うなよ?」
「黙れーーーっ!」
このキノコパオーンの言う通りさっきの攻撃で生死不明になったメスパーは地下から攻撃していたんだ。
対峙するキノコパオーンはようやく、ある一つの可能性に気付いた。
「まさかメスパーは……死んだと思っていた生きて行動してたと言うのか?」
「お前が自分で地下からのエネルギーで復活したって言ったんだからそりゃ地下のお前のエネルギー供給源を断つだろ? 口は災いの元だぜキノコパオーン?」
「黙れーーーっ!」
「叫ぶな叫ぶな。その巨体で叫ぶと耳が痛いぜコノヤロー」
ヘヘッ……と笑う俺と地下で暗躍するメスパーに次第に追い詰められるキノコパオーン。これでもう勝負は見えて来たな。
「おいおい、どうしたキノコパオーン? さっきまでの勢いはどうしたよ?」
「ならば残りの魔力を全て使い、最大最強のキノコボンバーで貴様等を地獄に送ってやるわ!」
「うーん。最高の攻撃はいいが、コッチのメスパーの最後の攻撃はもう終わってんだぜ?まぁ、ゆっくり寝とけ」
地下からのメスパーの攻撃はすでに完了していてキノコパオーンへのエネルギー供給源を絶っていた。それを察して動きが止まるキノコパオーンは俺の第三オーマスーツの簡易バージョンを見て絶句する。
「ぬおおっ……我の魔力がもう無いのか? マッシュ……マッシュ様ーーーっ!」
「うおおおおおーーーっ! 切り裂けーーーっ!」
イージーアンボビウムのハイパービームソードが今度こそ本当にキノコパオーンの身体を横一文字に切り裂いた!
キノコパオーンの核を破壊し、キノコパオーンは消滅した。
「キノコパオーンを倒したら環境も変わったな……このダンジョン全体の魔力反応にも変化があった」
「それは具体的にどのような変化なのです?」
「俺の勇者の超直感が言ってるぜ……お前に奪われて次にマッシュに奪われた勇魔金玉はこのダンジョンのどこかにあるってな」
「! そうならば早く探して処分するニャーン!」
「はぁ!? 何で処分すんだよ! 回収してまた装着するの! アレが無いと調子が出ないんだよ! 男はな!」
「でも勇魔金玉にはもう魔力は無いし、すでにゴミのように捨てられていてもおかしくないですわ。あんなものはもう生ゴミですよ?」
「チンコが生ゴミであってたまるか! 何でもいいから勇魔金玉を回収して俺の股間に装着する! そして魔王の魔手であるマッシュも倒して俺の左腕に装着する……これでこの魔王魔手事件は全てクルッと解決だぜ!」
このまま勇者のパワーだけで戦うのは問題無いが、チンコが無いせいで平衡感覚が衰えてるのがキツイ。マッシュと出会うまでに勇魔金玉を回収して、このハンデのある状況だけは脱しないとな。すると、メスパーは俺の下半身の前でしゃがみ込んで俺を見上げていた。
「……? な、何だ?」
「股間の匂いを嗅がせてもらいます。匂いで勇魔金玉を探しのが一番でしょう。空間の毒が消えた以上、匂いで足跡を辿れるはずです」
「に、匂い? あまり嗅ぐなよ……って何でそんな匂いがわかるんだ……?」
「私は天才ですニャーン」
確かにコイツはある意味天才だ。
天災とも言えるが、今は黙っておこう。
少なくとも今は仲間だからな……ムダに敵を生んでいい状況じゃない。魔女と団長もこのドクマッシュダンジョンの入口で警戒させたままだしな。
「……確かにお前は天才だ。なら頼んだぜ……チンコが無いけど恥ずかしいが我慢だ。今はメスパーと同性みたいなもんだからな。任せたぞメスパー!」
「はいニャーン」
ズボンごしに俺のすでに甘酸っぱいはずの股間の匂いをメスパーに嗅いでもらう。メスパーは猫系女だから匂いには敏感なようだぜ。これなら早く俺の勇魔金玉がある場所にたどり着けそうだ。何か知らんがケツの匂いも嗅がれてるような気もするが……ま、いいか。
「どうだメスパー……? 勇魔金玉の在り処はわかりそうか?」
「微かに勇魔金玉の匂いがするわ……コッチだニャーン」
「なら行くか!」
そしてメスパーの勇魔金玉の匂いを辿って毒の霧が消えたドクマッシュダンジョンを進んで行くと、とある空間にたどり着いた。そこは一面の海だった――。




