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復讐鬼・赤髪魔剣士エミリとの出会い

 半魔女への進化した魔法少女漆黒のメスパーを撃破した俺は、オーマスーツ第一兵装・ギガバーニアンのフルスピードでメスパーが俺の作った核弾頭を探すのに協力していたという謎の赤髪野郎を追跡していた。

光の白い線を描きながらメスパーの言っていた方向の大陸へと飛び、地面を歩く人間や動くモノを見つめるが中々赤髪野郎を見つける事が出来ない。


「……どこだ? どこにいやがる赤髪野郎。俺の作った核弾頭はもう使わせないぞ。ゴミ袋ステルスで奇襲をかけ、そのまま落下して背後から一撃だぜ!」


 敵も核弾頭の恐ろしさをわかっているから村や街が無い荒野のルートを一人で運んでやがる。

 俺しか使えないはずの核弾頭を起爆させたのは明らかにおかしい。俺の魔力が注入されないと何をしても起爆しないように作ったはずなんだがな……。

 地面が湿った沼地になる場所になり、低空飛行で俺は魔力レーダーで索敵する。モンスター達の群れを発見するが、俺の姿を見ただけで一目散に逃げ出す。


「おかしいな……知能の無いゴブリンが捕食対象でもある人間を見て逃げるだと?俺が勇者魔王だからと言っても逃げるほどの事はあり得ない。理由は一つあるが……」


 俺はゴブリンの不可解な動きを見て、コイツ等は最近誰か人間と接触したなと思った。それもかなり強い人間とだ。そして、もう少し沼地を低空飛行すると何かの肉片が転がっている。


「リザードンやゴブリンが殺されてるな……それも鋭利な刃物で殺されている。これはおそらく赤髪野郎の仕業だな。すると、ここを一直線に飛べば奴はいる!」


 俺はモンスター達が殺されている殺害現場を追いかけながら、その直線上にいるであろう赤髪野郎を追跡する。奴は高速で駆けながら人間を食らうモンスター達を斬殺してるんだろう。おそらく赤髪野郎は剣士。俺のように銃火器を使う人間とは相性は最高であり最悪だ。間合いに入りさえしなければ、剣士などは怖くない――が、どうせこの異世界の剣士なんて魔法剣士だろう。遠距離は弱くても中距離を得意とするのが魔法剣士。それさえ頭にいれとけば大した敵でもあるまい。


(テンパより強い敵がいるとも思えないが、核を平然と使用目的で運んでいる胆力だけを考えるとテンパ並みに恐ろしい敵という覚悟はしないとならんな。……人影が一つ。あれか!)


 殺されたばかりのリザードンの群れの前方に高速で駆ける黒笠の野郎を発見した。

 すぐさま左眼の魔王の魔眼を発動させ、赤髪野郎か確認する。赤い魔の瞳が、俺が切り札のマジックウェポンとして生成した核弾頭の反応と、ポニーテールの赤髪野郎の横顔を確認した。ニィ……と俺は口元を笑わせる。


「……見つけたぞ赤髪野郎! すぐに追いついてやる!」


 俺はギガバーニアンのフルスピードで荒野を駆ける黒笠をかぶる赤髪野郎を追跡した。地上の相手に物凄い音で接近してる事でバレる事も気にせずに猛然と迫る。ここまで来ればもう逃げられないからな。それに、勇者魔王に勝てる奴などこの世界には存在しない。高速で追撃する俺の目に、駆けていたはずの目標が動いていないのが映る。


「何だ? 止まったのか? 俺に気付いた?いや……」


 赤髪野郎は頭の黒笠を外し、地面に置いた。

 そして黒笠に乗って、一気に加速した!?

 あの笠がブースターのような役割をしてるのか? 空を自由に飛ばれたら厄介だ……そうだなーー試してみるか!


「ギガバーニアンフルバースト!」


 ブフオォォォォ!と俺はギガバーニアンのブースターポッドから魔力粒子を全開で噴出させ、一気に加速した!

 これでカサライダーを使う赤髪野郎にもう数秒で追いつける。

 その前に威嚇射撃をしておくか。瞬間、一気に赤髪野郎のカサライダーがブースターを使ったように一時的に加速した!


「更に加速した!?ブースターも付いてるのか!?」


しかもブースターから出る煙がメスブースターと出てるがどういう事だ!?まさかメスパー開発なのかあのカサライダーは?


「だが速さで俺のギガバーニアンと勝負など笑止!」


 絶対にスピードで負けてたまるかと勢いを出して飛行しつつ、カチッと俺は魔法防御さえ撃ち抜く威力のあるショットライフルを構え、ズバババッ! と放つ。その弾丸は赤髪野郎を追い越し、その先にある大きな岩に直撃した。


(奴は高速で加速してる。あの向かって来る大岩の残骸を回避するには空へ逃げるしかない……さて、どうする?)


 しかし赤髪野郎はそのまま岩の残骸に向けて突っ切った! 何故か空中に逃げない事で俺との距離はそこまで縮まっていない。だが、多少は岩の残骸にかすったようだな。上空に避けて時間がムダに取られるのを考えたわけじゃなさそうだ。


(……となると、どうやら、あのカサライダーにも欠点はあるようだな。ならばこれは俺の勝ちだ)


 と、未だ逃げ続ける赤を基調とした和装の赤髪野郎を見て思う。


「あのカサライダーは地面スレスレで飛んでるだけで空は飛べないようだな。流石に魔女や魔法少女レベルの人間じゃないと空らは飛べないよな。そう、それが当然なんだ」


 と、当たり前の事を思い出す。

 最近は変な強敵との戦いでこの異世界の感覚すらマヒしてたぜ。この赤髪野郎には感謝する!


「お前のカサライダーは確かに早い。だがこのギガバーニアンこそが異世界最速!」


 ブフオォォォォ! と肩のブースターポッドから白い魔力粒子をフルパワーで吹き出した!

 凄まじいスピードで加速する俺は、赤髪野郎を追い越す。奴の剣の間合いに入らないように追い抜いた俺は言う。


「スピードは俺の勝ちだ。いい加減諦めろよ赤髪野郎」


「……」


 巻き上げる風が赤髪野郎の髪を舞い上げ、顔を隠す。とうとう諦めたのか、赤髪野郎は足元にある黒傘から降り、また頭に乗せて顔を隠す。と同時に駆け出した。


「諦めがいいやら悪いやら」


 そして勝ちの見えたチェイスも、ようやく終わりを迎える。


「――赤髪野郎の足が止まった? とうとう諦めたか。覚悟を決めたなら散らしがいがあるかもな」


 ゴミ袋ステルスで奇襲をかけ、そのまま落下して背後から一撃だぜ!なんて考えていたがそんな事にはならなかったな。まぁいいさ。どうやら敵は逃げられない事を覚悟したらしく、黒笠赤髪野郎は立ち止まったまま空を飛行する俺を見据えていた。そして、俺はとうとうこの喜劇の主役である相手の目の前に立つ事になった。


(どんな醜悪なツラをしてやがるんだ? 俺の核兵器を使おうとする赤髪野郎はよ……その欲にくらんだ汚ねえツラを拝んでやるぜ……)


 長い赤髪ポニーテールのムサイおっさんを想像しながらパッ! と強襲機動兵装・第一オーマスーツのギガバーニアンモードを解除し、赤茶の地面の荒野に着地した。乾いた風が二人の髪を撫でるように流れる。モンスターを殺した返り血を浴びてるのか、血生臭い匂いが俺の鼻を刺激する。俺は攻撃された際にすぐさま反撃出来るように全身を隠すブラックマントの中でサブマシンガンのトリガーに指をかけながら赤髪野郎を見据えた。


「……」


「……」


 その無言のままの黒笠赤髪野郎はまるで侍のような赤い着流しのような服に腰の帯にソードを刀のように帯びていた。足は黒い足袋に下駄をはいていて背中には黒いリュックサックを背負っている。


(背中のリュックサックに俺の封印した核弾頭を入れてやがるな。残念だがここで回収させてもらう。そして、人のいない大きな海などで発動させて消滅させる。お前が使う事は絶無だぜ赤髪野郎……)


 と、赤髪野郎が聞いたらキレる事を心の中で呟く。そして、核弾頭を起爆させる事が出来る可能性のある敵に対して多少のプレッシャーを与えながら言った。


「よぉ、赤髪野郎。俺は勇者魔王オーマ。突然だが、お前が俺の作った核弾頭を使った奴だな?」


「……」


 その赤髪野郎は頭の黒笠を外さず、無言のまま腰を屈めアゴを引いてソードの持ち手に手をかけた。返事も無しかよ……と思う俺は敵の野郎の黒笠の下にある鋭い瞳と、柔らかく赤い唇のアゴの細さに違和感を感じた。


(……コイツ侍か? しかもこの野郎……いや、この顔つきは……)


 まるで日本の居合抜きのような構えに出る黒笠赤髪野郎に対し、俺は今思っている事を素直に告げる。


「……お前、女侍か? しかもその腰にあるのはソードじゃなくて刀だな?」


 異世界のソードは常に西洋刀と同じく両刃の直線系の形状。これは俺が死の商人テンパに依頼した日本刀と同じく曲線を描いた片刃。俺の腰にあるショートソードと同じ形状だ。


(にしても……ここはテンパの基盤としてた経済圏じゃないんだぞ? ネット通販も無いのに物資の流通がここまで早いとは恐ろしいな)


 テンパに開発させた刀がもうここまで他国の人間の腰にまで収まってるとはな。もういないがテンパの死の商人の営業能力は凄いって事か? それにしても無言だな。突然現れて警戒するのはわかるが、話さないなら女だろうが子供だろうがこちらも無言で散らすぜ?


「名ぐらい名乗れよ。異世界の侍なんて初めて見たからな。しかも女だ。散らしても墓は建てないが、どっかで覚えておいてやるよ」


「……」


「核兵器は危険すぎるモノだから、死を持って償ってもらうぜ……。無言のまま名乗らず死ぬのも一興。勇者魔王オーマの名の下に、天誅を下す」


「……勇者魔王オーマ。名を知りたいなら教えてやる。この核兵器を作ってくれた例だ」


 警戒を解かぬまま、その女侍は顔を隠していた黒笠を外し、赤髪のポニーテールの毛先を揺らすように話し出す。その女侍の声は以外にも野太く無く、柔らかで優しいピアノの旋律のような声色だった。


「私の名はエミリ。赤髪魔剣士という通り名でも呼ばれているわ」


「刀は振っても愛想は振り向かない。まるで新選組だな」


「新選組? それよりもあの女はしくじったか。まぁいいわ。核をここまで運べれば第一段階の目的は終わる」


「第一段階……?」


 というエミリの言葉が記憶から消えるほどの衝撃を俺は受ける。

 美しい女だ……。

 目鼻立ちはハッキリしてて、瞳は赤い真珠のように透き通っている。唇はやや厚めの情念を感じさせて、個性的な和のような感じの服装は異世界でも際立っていて男を視覚でも新しい刺激を与えてくれる女だ。

ハッキリ言って美少女だな。

 ……って見とれてる場合じゃねぇ!

 相手の名前と顔を知ればもういい。

 後は一応このエミリの核弾頭を使う目的を教えて貰えば、問答無用で散らしてもいいだろう。使用目的なんてどうせ復讐やら何やらでありきたりで、それに他人を大量に巻き込んでしまう核兵器を使おうなんて最低な野郎……いや、女だぜ。


「単刀直入に言おう。背中のリュックサックの中身の核弾頭・アトミックフレイヤをどこでどう使うつもりだ? 答えによってはお前はここで散らす。いや、散らす気満々だ」


「わかってるわよ。そんな殺気むき出しじゃ言葉に出さなくてもわかるわよ勇者魔王」


「フン。ならやるか赤髪魔剣士エミリ。勝つのは俺だがな」


「強がりを言う奴ほど弱いのよ。つまり貴方は弱いの勇者魔王」


「エミリ。ハデに散らしてやる」


「散らす?処女を散らすという事?つまりは……妊娠させたいの?変態が!」


「はぁ!?バカかテメーは?ド派手に散らす!」


と、何故か勘違いする赤髪魔剣士エミリに驚きつつ、俺はコイツをド派手に散らす事にした。処女をじゃねーぞ?いや、処女も散らしたいけど……今は我慢だ。そう、我慢だ……。まぁ、勝ったら散らしてもいいだろう。何せ俺は世界を蹂躙する勇者魔王オーマだからな!フハハハッ!




 荒れ果てた荒野に一陣の湿った風が流れる――。

 そこにいるのは黒髪黒衣のマントで身を包む、現代兵器を駆使するこの世界の勇者と魔王の力を同時に宿す勇者魔王である俺、オーマ。

 対するは赤髪ポニーテールで赤服の和装のような感じがする美少女。赤髪魔剣士エミリ。

 目の前の美少女の絶対領域であるクロスレンジに入らない事だけを考えつつ俺は思う。


(……剣士とも言えどもこの世界の人間は基本的に魔法を使うのが当然。このまま奴の得意とするクロスレンジに入らない距離を取りつつゴミ袋のように始末してやる。奴の背中のリュックサックにある核弾頭に注意しながらな)


 エミリは一足飛びで俺の間合いの中に入り、赤い血に飢えた腰の刀・ブラッディーソードを抜いた――。


「――チィ!」


 ほぼ同時に俺も後方に飛びつつサブマシンガンを射出し、左手で背中のヒートソードを抜く。光が光っただけのような早さの斬撃をヒートソードで弾きつつ、サブマシンガンで攻撃を仕掛けた!凄まじい違いの攻防は周囲から見れば音と光によってしか構成されてなく、何をしてるのかもわからないだろう。それほどにこのエミリという赤髪魔剣士は早い。


(スピードは俺より上か!? いや、ただ身のこなしが素早いだけだ。本能的な反射だけで動いてやがる。なら、意識的に動いた時が勝機!)


 ブンッ! とヒートソードを投げつけ、俺は空いた左手でマジックウェポン手榴弾を生成し、地面に投げつけた。爆発と砂煙が上がる中を両手サブマシンガンで射撃しつつ距離を取る。素早くブラッディーソードを旋回させて倍に増えた弾の雨を完璧に防いでやがる女に俺は驚嘆した。


(この距離でもまだ魔法を使わないのか? 戦闘して一分も経てば絶対、距離を縮める何かをしてくるはずなのに……魔法を使わないという事は魔法剣士じゃないのか?)


 なら、勝機を掴む隙を生み出す為に死を贖うとするか――。


「小細工は無しだ。行くぞエミリ! クロスレンジでお前に勝つ!」


「クロスレンジは私の絶対神域! クロスレンジにおける私の不敗神話は、勇者魔王オーマの死によって完成する!」


 その絶対的な自信を漲らせるエミリに対し、左眼の魔王の魔眼を解放する俺は赤い瞳でエミリの動きを注視しつつ、絶対神域であるクロスレンジへと侵入した。

 スッ……と瞳を閉じる赤髪魔剣士は居合抜きの構えに出た。完全に心が落ち着いてやがる。この落ち着きで闘争心は衰えず、おそらく技の発動と共に抑えていた感情を爆発させて技の糧となるようにしてるんだろ。それを魔王の魔眼と勇者の超直感で悟る俺は赤髪ポニーテールの先を揺らす美少女の身体の動きを感じた。


(……いい構えだ)


 グッ……と腰を沈めアゴを引き、左の親指で刀の鯉口を切り、その右手は本人の両眼のようにカッ! と力を発した。エミリの赤い瞳にはZの文字が浮かび上がる。


(――来る!)


 瞬間、赤いZの光が流れた――。


ゼータスラッシュ!」


「――!」

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