*ちょっとまて~エピローグ
ふと、隣に青司がいてベリルはそちらに顔を向けた。
「あんた──」
言葉を選んでいるようで、視線がやや泳いでいる。
「なんで、そんなに」
「歳を取れば解る」
焦らずともお前はそのままで良い。
ささやくように発して、少年の腕をぽんと軽く2回叩き遠ざかった。
全てを悟られているようで青司は少し悔しかったが、何故だか笑みがこぼれた。
それから、ミュゼフという人物がどうなったのか陣たちには解らないが、上屋 宗平についてはあっけなくと言っていいほど穏便に事が運んだ。
穏便にというのは表向きの話で、実際は向こう側の恐怖は計り知れないようだ。御剣財閥を敵に回した事への恐怖心とは別にプラス、ベリルの存在も大いに関係してるらしい。
「潰し屋──?」
絵理とのデートに邸宅に立ち寄った青司は、陣から聞いた言葉に眉をひそめた。
「ああ、その筋には割と有名なんだってさ」
御剣財閥が調べたベリルの経歴が書かれた紙を青司に手渡す。
「麻薬組織やら、こないだの奴みたいなのを潰して回ってるんだとか」
「……暇人か」
「そういう訳でもないみたいだよ」
人気取りやら平和貢献やらでベリルにはスポンサーが何人かついていて、その資金を元手に動いているらしい。
青司の意識からすれば、「そんな欲が見えるお金なんか」と思うかもしれない。でも、少なくともそれで救われる人々がいる。
「個人の意識なんかどうでもよくて、要はどうお金を使うかってとこなんだろうな」
重要なのはその部分だとベリルは考えているのだろう。
「実際、あいつはどこまで知れてるんだ?」
青司の問いかけに陣は生ぬるい笑みを固めた。
部分的に見て、不死だと知られていないと無理な事もありそうだ。
「公然の秘密だな、たぶんだけど。あ、そうそう」
陣は手元にあった封筒を青司に差し出した。
「ベリルからだよ」
怪訝に思いながらも、中の紙を取り出して視線を落とす。
「──なんだこれ」
「残った罠の場所」
「それをどうして俺に」
「青司が解除しろってさ」
「はぁ!?」
思わず立ち上がる。
「オレも理由は解らないけど、青司にやらせろって」
「ではそれを終えてから出掛けよう。待っているぞ」
準備を済ませた絵理が割って入り、青司は何も言えずに庭に向かった。
その背中を見つめながら絵理はソファに腰掛ける。
「時折メールをしているとか」
「うん、そうみたい」
どんなやり取りをしているのかは解らないが、青司はベリルと時々メール交換している。どうせ専門的な質問やらだろうと陣は溜息を吐く。
それでも最終的には打ち解けた事に絵理も陣もほっとした。
「出来れば終わってからじゃなくて最中に打ち解けて欲しかったんだけど」
「それは仕方がなかろう」
優雅にフレーバードティを傾ける絵理に口元を緩ませたあと、陣は少し神妙な面持ちなる。
「それはいいとして……。大丈夫かな」
庭に視線を送った。
「うむ」
同意するように絵理も目を向ける。
いくら解除方法も記されているとはいえ、歴戦の傭兵が有効的に設置したブービートラップだ。
怪我をしない事を知っているためそれについての不安は無い。
しかし──
「ギャー!」
庭に青司の叫びがこだました。
END
*お付き合いいただきありがとうございます。
※作中に登場した一部の団体名や社名、武器関係などは創作に基づく物で実際のものとは関係ありません。
なお、御剣財閥などその他、陣、青司に関するキャラクター等は天沢 祐理架さまの著作権下にあります。
読んでくださる皆様、コラボしてくださった天沢 祐理架に感謝です。
2013/12/06 河野 る宇





