第43話 本当の家族とは
「礼治様。私達と服屋で別れた後、雑貨屋以外にどこに行かれてましたか?」
フールは礼治にそう問い詰めてきたのであった。
「何言ってんだフール?俺は雑貨屋にしか行ってないぞ」
フールの突然の問い詰めに内心では驚き、焦りながらも表情には出さずにフールには今日のことを隠そうとした礼治。
「惚けないでください礼治様‼︎あれは礼治様がしたんですよね‼︎」
しかし、フールはすごい剣幕で礼治に再度問い詰めてくる。
「だから俺は雑貨屋以外はどこにも行ってない!」
礼治は必死に隠そうとするが為にフールに対して強い口調で否定してしまう。
「礼治様。今、完全に嘘をつきましたよね?」
この時のフールの剣幕から放たれる強い視線はまるで先が鋭く尖った刃物のように感じられた。
「礼治様がそこまでシラを切るおつもりでしたら言わせてもらいますが礼治様は嘘をつく時には必ずと言っていいほど首に左手を当てますよね」
「!?」
フールがそう言った瞬間、礼治は自分の左手の位置を確認した。
するとフールが言っていたように礼治は左手を首に当てていた。
その時、礼治は初めて自分の癖に気づいた瞬間であり、礼治は小さい頃から今は亡き母親や昔はよく遊んでいた幼馴染に嘘をついても直ぐにバレていたことを思い出した。
この癖があったから二人は礼治の嘘が判ったのかと今になって気づく礼治自身であった。
「全部お話してくれますか礼治様」
そんな自分の癖に今頃になって気づいた時にフールは改めて礼治を問いただしてきた。
「やっぱりフールには敵わないな」
フールに嘘をつくことが無駄な足掻きだと分かり、礼治は素直に話すことにした。
服屋を出た後で雑貨屋に行き買い物をし、それからワザと裏路地に入り狼の牙を含む冒険者達をおびき寄せ、人生で初めて人を殺したことを全て話した。
礼治が全てを話した後、フールは徐に俺に近づき。
<パチン>
フールから左の頬を手のひらで力一杯にビンタを喰らった。
礼治は叩かれた頬を自分の右手で抑えてからフールの方を向くとフールは大量の涙を流していた。
「礼治様は何で私達に何も相談をしないで一人で行動されるんですか⁉︎私達は家族なんですよね⁉︎何で今回は私達に頼ってくれなかったんですか⁉︎何でですか⁉︎どうしてですか⁉︎家族なら沢山私達に頼ってくださいよ‼︎……う…うう……うわ〜〜〜ん」
フールは礼治の胸板を両拳で叩きながら自分の思っている全てを言葉にして礼治にぶつけ、最後には床に腰を落とし両手で今度はとめどなく流れる涙を止めようと必死になって拭い始めた。
(ビンタを最後にくらったのって確か幼馴染を一人で助けに行って帰った時に母さんから叩かれたのが最後だったよな)
礼治はこの時、元の世界で十四歳の頃に幼馴染が誘拐された時に誰にも相談せず一人で救出し幼馴染と無事に二人で帰ってきた時にまだ病気で倒れる前の母親に頬を力一杯に叩かれたことを思い出した。
(なんでビンタは普通に痛いだけじゃなくて、心臓が、心が締め付けられるほどに痛いんだろうと思ってたけど理由は簡単だったな)
礼治もその場にしゃがみ込み、そしてフールを優しく抱き締める。
(ビンタで心が痛くなったんじゃなくて、母さんが俺のせいで泣いたと分かったから苦しくなったんだよな。そして今、心が苦しいのは俺が家族を本当の意味ではまだ信じていなかったこと、そのことに泣いているフールの思いに気づいたからなんだよな)
「ヒクッ……スス…礼治様?」
フールは抱きついてきた礼治の顔を見ていた。
その時礼治はフールと同じくらい泣いていた。
「ヒクッ……ごめんなフール…家族を心配させないようにしようとして、逆に心配をかけさせちゃったよな。これからはちゃんと頼るから、絶対にフール達に頼るから」
「はい、礼治様。どんどん私達に頼ってください。私達はいつでも礼治様を支える側であり、また礼治様に支えられる側でもありますから」
礼治とフールは互いに支え合うことを心の底から深く誓い合った。
「あ、あの、レイジ様」
「「‼︎‼︎」」
そんななかで突然礼治を呼ぶ声が聞こえ、それに驚き声のした方を振り向くとそこにはベットに座り込んで泣きながらも真剣な眼差しでこちらを向くシルフィアがいた。
「どうしたんだシルフィア?」
礼治は突然会話に入ってきたシルフィアに驚きもしたがシルフィアの眼差しに何か強い信念のようなものを感じたので尋ねてみた。
「私はレイジ様とは今日から家族になりました。それに今はまだフェンリルの力に目覚めてなくてレイジ様達に頼ることが沢山あると思います。ですが必ずレイジ様を支えていけれるよう強くなっていきます!だから‼︎」
シルフィアはそう宣言した後でベットから飛び降りて俺に抱きついてきた。
「私はレイジ様が大好きです!カッコよくて優しいレイジ様が家族としても異性としても大好きです‼︎だから失礼します‼︎」
<チュウ>
シルフィアは礼治にいきなり告白した後で自ら礼治の唇にキスをしてきた。
(えっ⁉︎何で⁉︎え?ええっ〜〜‼︎⁉︎)
礼治の脳内ではシルフィアのいきなりの告白とキスに驚きながらもシルフィアの柔らかい唇の感触を楽しんでしまっていた。
「プハァ、レイジ様。改めてレイジ様の家族としてよろしくお願いします」
十数秒で唇を離したシルフィアは感情が高ぶっているようで尻尾をブンブンと振りながら改めて礼治に向き直りよろしくと言ってきた。
「ああ、これからよろしくなシルフィア」
俺は未だにシルフィアの行ったことに頭が追いついてなかったが取り敢えずシルフィアに自分からももう一度よろしくと伝えた。
そこで今気づいたが何時の間にか礼治もフールも涙が止まっていた。
「さあーて、礼治様。夜はまだまだ長いのでよろしくお願いしますね♡」
「えっ⁉︎ちょっと待ってフール!今日は流石に疲れてるから今日はこのままゆっくり寝ようよな!頼む‼︎」
話がひと段落ついたところでフールが明らかに夜の営みをほのめかすことを言ってきたので礼治は慌ててフールに今日はゆっくり寝ようと提案した。
「ダメですよ礼治様。今日はしっかり反省の意味を込めて気持ちよくさせてくださいね♡」
そう言いながら礼治をベットに連れて行こうとしていくフールであった。
「でもほら今日はシルフィアもいるし!今日はこのままゆっくり寝ような!な‼︎」
礼治はそんなフールから尚も抗おうとシルフィアに助け舟を求めた。
その結果は……
「あの…レイジ様。私はこれが初めてなのでお手柔らかにお願いしますね。////」
シルフィアは顔を真っ赤に染めながらもフールと一緒に礼治をベットに連れ込む手伝いをしていた。
(なんでそうなんのーーーーーーーー‼︎‼︎)
結果は回避失敗に終わり礼治は心の中で強く叫びながら二人と夜遅くまで営みを楽しむことになってしまたのだった。
この時、礼治は明日もこうなった場合はフールは異空間に強制帰還させて、シルフィアには命令を使い明日はしっかりとした眠りをとろうと決心したのだった。
次回からは週一投稿を守りたいと思います。




