表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/71

其之三|第一章|神様ヘルプ!

「まぁまぁ。タエコさん。それは違いましてよ。オホホホホ。」

「あらあら。そうでしたの?さすがニコちゃん!とし…いえ。物知りですわ。うふふふふ。」

「まあまあ。タエコさん?何を言いかけたのかしら?」

「あらあら。ニコちゃん。お顔が怖くってよ?」

「「オホホホホホホ。」」


 年の功と言いそうになったのをギリギリで止めたと言うのに、理不尽にホッペを引っ張られ、ビローンビローンとニコちゃんに弄ばれる私。


「もっと!もっとだ!マスター!ワインおかわり!!」

「おい!ニナ!おめーは今日も夜勤入ってるだろ!いいかげんにしとけ!このバカ!」


 夜から仕事が有ると言うのに、昼間っからワインでベロンベロンのニナさん。


「あの~?他の方は良いとして~。タエコさんに頼まれて時間を割いているので、休憩はほどほどにしていただきたいのですが~?」


 私に頼まれて色々と教えていると言うのに、すぐに脱線してしまう私とニコちゃんに手を焼くシーナさん。


 そして、そんな様子をニコニコと見ているローズさん。


 その日、私たちは昼間から女子五人でダラダラと女子会を楽しんでいた。

 平日の昼間から優雅にティーパーティー。

 うん。実に優雅だ!


 と、言うワケではなくて。

 私がシーナさんに、あるお願いをして色々と教えてもらって居た所に、ニコちゃんとニナさんが乱入してきて酷い有様になっていた。


 せっかく、シーナさんに色々と教えてもらっていると言うのにニコちゃんが色々とちょっかいを出して来るから何度も中断してしまっている。


 さっきも、休憩中に紅茶を入れながら、シーナさんが「まぁ~。これはまるで優雅なお茶会のようですわね~?」なんて振るもんだから、ニコちゃんがシレっとお嬢様ごっこ的な事を始めて、そんな振りとノリをされちゃー受けて立たないワケには行かないので、そのノリに合わせて、調子に乗りすぎては、シーナさんが困ってしまうと言うパターンが繰り返され、あまり本題は進んでいない。


 ニナさんに至っては、シーナさんの話が面白くない話だと分かると、一人でワインを飲み始め、一人で飲んだくれている。


 これは私にも分かる。

 ニナさんはダメな大人の見本だ。


 とは言え、あんな事を経験してしまった後では、この程度の事はくらいは何でも無い些細な事だと思えてしまう。


 そう。あんなにも激しい戦いを見てしまった後では。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 自称魔王の襲撃から二週間と数日。

 街は平穏を取り戻していた。

 懸念されていたその後の襲撃や自称魔王の再来は全くなかった。

 街の近郊に陣取っていた居た普通のポテトイーターも生息地の山に戻り、警戒レベルが引き下げられたのは五日前くらい前の事だ。


 市長による安全宣言を受けて、他の地域からイベントに参加した冒険者達は自分達の拠点へと戻り、この街の冒険者達も一日中ダンジョンに潜ってはドロップ品を売ると言う、いつもの日常を取り戻している。


「あー。妙子ちゃん!すまん!店はしばらく休まないといけなくなった!」

「え?どうしてですか!?何かまた問題でも発生したんですか!?」


 そう告げられたのは一昨日の事。

 詳しく話を聞いてみるとハルトさんの自業自得すぎて呆れるしかなかった。


 自称魔王との戦いで、そこそこの大怪我を負ったハルトさん。

 あれだけのダメージを受けて一週間もせずに治ってしまったのは、普通に魔法や神術が存在するこの世界ならだと言って良いと思う。


 ただ、問題は骨折。

 肋骨が数か所折れているのと左腕にヒビが入っていた。


 骨折とかも神術で治せないワケじゃないらしいけど、骨折や臓器へのダメージなど体の内部の損傷は、そこそこ経験を積んだ高レベルの司祭でないと治せないらしく、そう言う人に頼むと、それなりの費用を要求されるらしい。


 ハルトさんが言うことにゃ「出せない金額じゃないけど、無駄なお金は使いたくない」と言ってスタコラサッサっと逃げ出して、骨折系の怪我は自然治癒に任せる事になった。


 そう言う細かな所でケチるのは実にハルトさんっぽいと言う感じがするけれど、聞いた話によると、ハルトさんが特別と言う事ではなくて、生活に支障が無いなら自然治癒に任せる事は多いと言う。


 この世界の人達も、魔法や神術に頼りっぱなしと言う事ではないらしい。

 生活や仕事に支障がないなら、薬で症状緩和をしたり自然治癒に任せる人の方が多いっぽい。


 冒険者家業一筋でダンジョンに潜る事でしか収入を得られない人なら、少し高くても神術で骨折を治してもらうのだろうけど、保険など整ってないこの世界で普通に生活をしている人からすれば動けないワケでもないのに、金銭的な無理をしてまで神術に頼って、すぐに治す必要は無いって考え方をする人が多いと言う話だった。


 まあ、ハルトさんの正体を知らななかった頃なら、しがないポーション屋の店主なんだから仕方ないかと納得が出来たのだけど、裏ではあのダンジョンのダンジョンマスターであって、更には街を裏から支配する謎のシティオーナーなのだ。

 ぶっちゃけ、現段階でもお金は腐るほど持っているはずなのである。


『ダンジョンを含めた街の運営費用と、店の運営費や私費はお財布を別にする』と言う、謎のハルトさんルールさえ撤廃すれば骨折を神術で治す費用くらい、いくらでも用意出来るはずだ。


 それこそ、ハルトさんが望むように「働かなくても引きこもって生きて行ける」と言う目標は既に達成できているんじゃない?って思うのだけど、それはハルトさん的に何か違うらしい。


 うん!色々とこじらせた中年のお兄さんが考える事はよくわかんないよね!


 まあ、あばらが折れていると言っても日常生活に支障が無い程度には動けているみたいだし、ポーション作りとか私がおつかいに出かけて居る間の店番とかは普通にこなせていたし、一昨日までは普通に店を開けて営業していたのだから、高いお金を払ってまですぐに治さないといけないくらいの重体でもなかったので、自然治癒を選択したと言う感じなんだと思う。


 そう。一昨日までは普通の日常が戻ってきたと思ってたのにね。


 現在、お店を休んでいるのには他の理由があった。

 お休みの理由はハルトさんの怪我によるものじゃない。

 それは外的な理由でお店を休まないといけなくなったからだ。


「あ~。妙子ちゃんが店を閉めて買い出しに出かけていた間にさぁ。起きてたら起きてたで落ち着かなくてさ。元気なのに店を閉めてても勿体無いからさ。店を開けて店番してたらさ。王都からの使者はやってきてさ…。俺が元気だってバレた。」


 ハルトさんが何を言ってるのか分からないと思うけど、私にも分からない。

 これまでに起こった事と事情を有りのまま話そう。


 一言で説明するなら「ハルトさんが王都に召喚された。」と言う事。


 召喚と言っても魔法陣で召喚されたとかってワケじゃなくて、自称魔王を討伐した当初から王様に呼び出されていたのだ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 魔王の再来。


 それはどんなに瀕死だろうと王都に直接出向いて報告をしなければいけない程の大事件。

 本来なら、その当事者は無理やりに連れて行かれても仕方ない出来事。


 王は魔王を退ける為だけに存在する。

 魔王の再来に備えるのが一番の仕事なのだと言っても大げさじゃないそうだ。


 そして、魔王が再来した時には全ての種族が一致団結し魔王を撃退する。

 これは、この世界に住む人々の盟約だと言う説明を受けている。


 魔王が現れたと言うなら、この世界の人達は王を筆頭に立ち上がり、フルボッコにする為に決起しては、速攻で決着をつける為の準備は常時しているそうだ。


 今回の件に関しては、ハルトさんが単体で退けた事と、現れた自称魔王が残念すぎてアレが本当に魔王だったのかポテトイーター討伐の参加者たちから得た証言も曖昧で大事にはなっていなかった。


 とは言え、自称だとしても太古の魔王カルキノスだと名乗った以上、当事者のハルトさんは速やかに王へ報告する義務が発生するので、報告のために王都に引きずられて連れて行かれても仕方が無いそうだ。


 ただ、自称魔王が付けた傷の治りが呪いの効果なのか遅かった事と、ハルトさんが骨折とかは自然治癒に任せると駄々をこねたので、市長のエレナさんが尽力してくれて、ハルトさんの体調がある程度治ってから王都に報告に向かうと言う許可を得てくれたのだ。


 また、師匠さんも実は相当の実力者だったらしく、裏から色々と手を回してくれてエレナさんをサポートしていたらしい。


 王都側も、自称魔王が追い返されて以降は魔法による探知に痕跡すら引っかからない事や、エレナさんが仮の姿とは言え魔王を打ち破った重体の勇者に無理をさせて死なせる訳にはいかないとか色々と盛って説得してくれた事でエレナさんの進言を聞き入れてくれたらしい。


「死んだら教会で生き返らせてもらえば良いんじゃない?」


 と、この話を聞いた時に思ったので、ハルトさんに聞いてみたんだけど『死者蘇生』って言うのも万能じゃないらしく、一度失敗すれば死体は損傷し、二度失敗すれば灰となり、三度失敗すれば二度と蘇生の出来ない「ロスト」と言う状態になるそうだ。


 短期間に何度も失敗してロストしてしまうと一般市民にはどうする事も出来ず死者は昇天してしまい、残念ながら蘇生を諦めるしかないらしい。


 多分、エレナさんも、そうなっては証言も得られないと無理やり押し通してくれたのだろう。


 実は、ロスト状態になっても四度目のチャンスは有るらしいけど、聞いた話だと現実的な感じじゃなかった。


 国家予算とまでは言わないものの、かなりの大金を積んで大規模な儀式をすれば、ロスト状態で魂のみとなった人を、現世に引き戻せる可能性も有るらしいけど、それが行われるのは王族だとか大英雄など、失ってはこの世界の人々にとって大きな損失となる人に対してしか行われないらしい。


 それこそ教会のトップに君臨する教皇を筆頭に、教会の実力者を集めて大規模な儀式を行うってだけでも莫大な資金が必要なのだそうだ。


 その上に、故人が元来持つ『運』の要素が大きく関わって来る。


 街の教会などで普通に行われている普通の死者蘇生もそうらしい。

 死者蘇生には個人の『運』が重要な要素となるんだって。


 運が良ければ蘇生し、運が悪ければ消失する。全ては運任せ。


 よく考えれば、人が生き返るなんて奇跡が都合の良く何のリスクも無しに発動するワケがないと考えるべきだった。


 ダンジョンに初めて行った時に、蘇生がどうたらと説明されたから普通に生き返られるんだと勝手に思っていたけど、実際には違っていたい。


 その成功率は年齢によっても変わってくるらしくて、若いほど成功率は高く、年齢を重ねるほどマイナス補正がかかってるらしい。それに、これまでに何度生き返っているかによってもマイナス補正がかかってると言うのは、さっきシーナさんからさっき聞いた話だ。


 それを知った今では、いかにも幸薄そうで、自称魔王戦で運を使い切った、死にかけ状態と報告されたハルトさんが無理やり王都に連れて行かれなかったのも理解できる。


 この世界の人達なら蘇生に運の要素が絡んでくると知っているだろうから。


 市長のエレナさんも雇い主であるハルトさんに大事があってはいけないと、王都への召喚を先延ばしにする為に、ハルトさんは「運が非常に悪い」だとか「ロストしない方が奇跡」だとか、話をかなり盛って報告していたと言うのも効果があったのだと思う。


 もし、王都からの使者の人が、街の人から証言を集めたとしても、ハルトさんが巻き込まれ系の残念な人だと言う証言は山ほど集まるだろうし、唯一の友人っぽい人がリックとその仲間たちだと分かれば涙を流しながら同情してくれるに違いない。


 ただ、頑張ったエレナさんには悪いけど、それは全て無駄になった。

 私もハルトさんと一緒に過ごしていた感じ、運はあまり良くないんじゃないかと思ってはいたけど、そこまで酷くはないだろうと思っていた。

 通常時なら私が感じていた程度なんだと思う。


 でも、今のハルトさんの運は相当悪いらしい。


 私がわざわざ店を閉めて出かけたと言うのに、貧乏性のハルトさんがジッとしていられなくて店を開け店番をしていたタイミングで、ハルトさんの様子を見にお見舞がてら店に訪れた王都からの使者を自ら接客しちゃうとか、どんだけタイミングが悪いんですかって話ですよ。


 ハルトさんが余計な事をした上に、使者さんにベラベラと自ら話しちゃったものだから事態は誰も予想だにしていなかった急展開。


 エレナさんの思いやりも虚しくハルトさんは早々に王都に出向くことになってお店は休業。


「ポーションのストックも、この前のポテトイーター狩りでほとんど無いからさ。俺が王都に行ってる間はゆっくり休んでくれて良いから休暇だと思って楽しんでて良いよ。」


 とか、軽く言ってくれるけど、ハルトさんを一緒に見送った時のエレナさんの「アハハ…。大丈夫です。無理をしないようにだけ注意して下さい。ハルトさん。アハハ…。」と言う、乾いた笑い声を思い出すといたたまれない気持ちになった。


 多分、相当の頑張って無理を通してくれたに違いない。

 エレナさんの心中を察すると涙が出そうだ。

 ハルトさんが戻ったらエレナさんを労うように叱っておこう。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 と、言う事で私は少し遅い夏休みと言うか秋休みを無理やり満喫している状態だった。


 私がポーションの作り方とか教えてもらっていたら、今もお店を開けられたのだろうけど…。

 魔術や魔法の勉強を始めたのは最近で作り方なんて知らないし、ポーションの在庫も自転車操業状態で作ってもらっては売っての繰り返しで、休業を告知した瞬間に売り切れちゃったから、私だけではもうどうにもならない。


 師匠さんも師匠さんで「じゃあ、私も今回のデータを検証するのに一回帰るかね。行ってきます。」とか言って、あっさりと自宅?に戻っちゃったし。


 こっちに来てからと言うもの未体験の連続で怒涛の毎日だったから、この休みが嬉しくないと言うと嘘になる。


 だけど、早起きは習慣になっていて仕事をするのも普通の日常になっていたから物足りない感じがするのも確かだ。


 朝に『本物のタエコちゃん特製弁当』を売ってお小遣い稼ぎはしている。

 けど、暇な日中をボーッと過ごすのには一日で飽きてしまった。


 なので、付き合いの有るお姉さま方にお願いをして、私のための勉強会を開催してもらっているのだが…。


 最初は本当に勉強会だったのに…。

 真剣に、神術やら魔術やらの基礎知識を知りたくて二人にお願いしたのに…。


 最初は、シーナさんとローズさんだけだった。


「気分転換に夢見る冒険者亭でお茶を飲みながらお話をしません?」と言うローズさんの提案によって夢見る冒険者亭に移動したのが悪かった…。


 当然、夢見る冒険者亭に居るであろうニコさんやニナさんが寄ってきてからが…。

 話が脱線しまくったかと思ったら、ニナさんがお酒を飲みだすわで収拾が付かない感じになっている。



 でも、被害だけじゃなくて脱線のおかげで面白い話が聞けたのは収穫だった。


 私が「なぜこの世界のここに居るのか」をみんなには説明しにくい。

 説明しても分かってもらえる気がしない。

 だから、質問をするのにも気を使ってしまう。


 一応、未開の地の出身で師匠さんに拾われて俗世とは切り離された環境で育った世間知らず設定だとは言え、どこまで知らなくても変に思われないかが分からない。


 平気な顔をして聞けば良いのだとは思うけど、シーナさんもローズさんもニコちゃんもニナさん…はリックっぽい部分があるから出来れば関わり合いたくないけど、それでも家族やハルトさんや師匠さんと同じくらい大事な人達。


 この世界で、私を認識してくれて、優しくしてくれて、普通の私をそのまま受け止めてくれる人達。


 親友以上 家族未満だと思っている相手に、仕方ないとは言え平気な顔で色々と聞けるほど、私は心臓に毛が生えてるタイプじゃない。


 取り繕っていても胸の辺りがチクチクするのは、この世界で生きている以上は、ずっと続くのだと思う。


 だから、脱線を機に色々と聞けたのは有り難いと言うしかない。


 特に、死や死者蘇生のセオリーなんてハルトさんにちょっと聞いただけだから凄く助かった。

 この世界の人でも信心深くない人は何となく知ってる程度の人も多いらしい。

 だけど、私はそれすら知らないのだから。


 信心深くない人の代表の様なニナさんが、話をかき回してくれなければ、私が面白いと思った話を知る事も無かっただろう。


 後に知ったとしても、それはずっと先の話だったかも知れない。


 ニナさんがかき回してくれたお陰で、この世界の神様について更に詳しく知りたいと思える話が聞けたのだからニナさんには感謝だ。


 今日もニナさんの脱線のお陰で、色々と面白い話を聞けているけど、昨日聞いた話が私の中で一番印象深いだろう。


 老衰の話からニナさんの脱線で広がった、この神様の真実。

 これがあったから私はこの世界の神様についてもっと知っても良いと思ったのだから。



 寿命が尽きた人の蘇生は既に運が尽きていると言うか、全てのステータスが抹消された状態なので蘇生できない状態らしい。

 正確にはコンマ以下でステータスは残っているらしいけど、ロスト状態以上の大規模な儀式をしないといけない上に、その確率はロスト時よりも低いそうだ。


 その話に割って入ってきたのがニナさんだ。


「神様もケチくさいよなー!バンバン生き返らせてくれりゃー良いのによー!」


 それは、私も思っていた。

 神様って言うと全知全能。

 救いを求める人は全て救ってくれれば良いのにって。


 もとの世界から来た私は特に思ってた。

 何らかの理由で、あっちの神様が人間に干渉出来ないのは仕方ない。

 その時点で全知全能じゃない感がするけど置いておこう。


 でも、こっちの神様は人間と関わって存在している。

 だったら、蘇生と言う術を人間に与えているのに、どうして運と言う要素を入れてランダムにして嫌がらせみたいな事をするのか?


 ここからが面白い!

 運の要素を入れたり全ての人を蘇生出来ないのには理由があった。


 この世界の神様は『全知全能じゃない』らしい。


 聖書にもハッキリと、神様自身が『全知全能じゃない』と人間に伝えたと言う逸話がバッチリと掲載されている。


 抜粋して簡単に意訳すると・・・


~~~~~~~~~

   神「おい!優先して生き返らせてやってるからってポンポン死んでんじゃねーよ!」

 大英雄「え?でも、魔王の抵抗が激しくて…。」

   神「激しくてじゃねーよ!こっちも暇じゃねーんだよ!お前だけに構ってられん!」

 大英雄「はぁ…。ただ、今の私の力だけでは…。」

   神「はぁ?甘えてんなよ!こっちも全知全能ってワケじゃねーから魔王の対応をお前らに頼んでるんだろ?よし。分かった。時間を止めた部屋で訓練つけてやんよ!お前ちょっと来い!」

 大英雄「あーれー!」

~~~~~~~~~


 と、言う事みたい。


 原文はもっと慈愛に満ちた表現だけど、シーナさんから聖書を借りて読んだ時には驚いた。

 神様って言うと奇跡とかの圧倒的な力によって信仰心を集める存在だと思っていたのに、自ら出来ない事が有ると正直に言っちゃう神様って…。


 これってどう読んでも、「ヘタレ主人公か戦闘民族が神様のシゴキを受けて立派な英雄に成長させられた」みたいな定番マンガ設定っぽい感じだもの。


 教訓としては「神様は人間を思って注意してくれながらも修行をつけてくれたりと助けてくれるけど努力は大事よ?」的な話らしいけど、本質的には生き抜く工夫も努力もせずに人の好意に甘えてんなよって言う話な気がする。


 でも、ポンポン死んでた大英雄にあきれて死者蘇生を廃止にはしなかった神様って言うのは、きっと相当の人間好きで、人間にはデレデレなんじゃないないかなーって感じだよね。


 神様がどうして死にまくる大英雄に愛想を尽かさずに死者蘇生を残したのか?運と言う不確かな要素は含まれるのか?その真意は聖書にも書かれておらず分からないらしい。


 こっちの神様は「全知全能じゃない」と言い切っているから、人を生き返らせると言う奇跡も、運によってランダムでしか実装出来ないのかも知れない。


 ただ、ハルトさんを軽く死者蘇生について話した時の言葉が思い出される。


「生き返るからと言って、むやみに突っ込んで苦しんだり痛い思いをするなんて何度も経験しない方が良い。」


 蘇生できるとは言え死ねば苦しいらしい。


 そんな痛みや苦しみを人間にさせたくなくて、神様は『運』と言う要素を入れて人間が無茶をしないようにと抑止として『運』の要素を入れたのかも知れない。


 そう考えるとちょっと良い話な気がしてくる。


 何はともあれ、この話を聞いてから、この世界の神様に興味が湧いたのは間違いない。


 ハルトさんが王都に呼び出され、お店を閉めている時間を無駄にするくらいなら、この世界の常識について、この世界の神様について色々と知りたいと思った。

 それは、この世界の神様が正直で好感を持ったからだ。


 これは、私の中で初めての感情だった。

 まさか、私が自分で神様について知りたいと思っちゃうなんて。


 元の世界でもそうだったけど、私は宗教に興味があまり無い。


 お話として聞くと面白い部分も有る。

 だけど、神様って言う存在は基本的に胡散臭い感じがする。


 だって、元の世界の神様って言うと、思い通りにならないからって洪水で全てを洗い流すなんて全知全能と言う割には昭和の頑固オヤジのちゃぶ台返しと同じだし、全知全能ならば他にやり方が有るだろうって事は子供でも分かる話だよね。


 中学時代にその話を知って以来、あまり神様を信じなくなった。


 人間にとっての「救い」と言う点や「セレモニー」として宗教は必要なのかも知れない。

 お正月に神社にお参りに行くし、クリスマスにお祝いもする。


 でも、それは信仰ではなくてイベントだったし、法事とかでお寺に行くのだってお墓の管理をしてくれているお寺への定期的な報酬の支払いだと思っていた。


 私にとっては、元の世界での宗教のイメージと言うと「宗教=ビジネス」と言うイメージしか無かったのだ。


 でも、こっちの世界に来て神の威光を感じたり、神術で助けてもらったり、さっきの様な話が色々と聖書にバッチリ書かれていると言う事を知って認識が変わってきている。


 簡単そうに見えるけど出来ない事だよ。

 自分から「全知全能ではない」って言い切れるなんて。

 こんなに潔く弱みを見せれるなんて出来ないよ。

 これは信用に値すると言って良いよね。


 神は教え導き、時に自身を信仰する人間に力を貸すけど、この世界で何かを成すのは人間自身で、神が全てに介入出来るワケでは無いから頑張れよ!と言うのが、この世界の神様のスタンスなのだとシーナさんに聞いた時には衝撃を受けた。


 それに「神は全知全能ではない」と言い切る逸話が外典と言うなら分かるけど、聖典の中に普通に収録されていると言う事が、この世界の神様と人々の関係性が健全な感じがして、何というか凄いとしか言いようがない。


 だからって、私がこの世界の神様を信仰するかって言うと別の話だけど、地獄がどうとか終末論で不安を煽ったり、他の宗教や風習を取り入れて「最初からうちの宗教の行事ですけど何か?」みたいな態度で平然と一神教とか言っちゃってる宗教よりも信用できる気がする。


 信用が出来るからって信者になるってワケじゃないけど、これだけ神術や神威を目の当たりにすると、その存在を認めないワケにはいかない。


 神様を認める認めないとか人間が判断するのは、元の世界ではおこがましい話だと思う。

 そう。元の世界の神様とかでは考えられない事だと思う。


 でも、この世界の神様が更に凄いのは「人間が神様を認めようが認めなかろうが問題無い」と神様が言ってると言う事。


 もっと、言うと。

 信者になる必要は無いと神様が言ってる逸話が聖書にちゃんと収録されている。


 この世界の神様的には、教会なんてのは人間が勝手に集まって始めた仕組みだから好きにすれば良いと言う感じらしい。

 信じようが信じまいが、教会に属そうがどうしようが、この世界の神様は人間と共に有るそうだ。

 そして、この世界の神様が「自分を信じる気持ちが有るなら人間が個人個人で自分を思って好きに祈ってくれれば良い。自分が人間の事を考えたルールを少しでも守ってくれるだけで良い。」と、まで言ってる。

 神様が「好きでやってる事だから、気にしすぎないで!」とまで聖書に書かれている。


 これは、色々と常識が打ち破られた。

 謙虚過ぎる…。

 この世界の神様…。


 力が有るなら使いたくなるのが普通なのに。

 力を使って他者の優位に立って覇権を握ろうとするのが普通なのに。


 これが本当の神様の姿なんじゃないかと思うくらいに、神様への心象が変わった。


 ただ、それだけじゃなかった。

 ここから、この世界の神様は更なる人間臭さを発揮する。

 人間は他人に「信頼します!」「好きです!」と言われて悪い気がしないだろう。

 人によっては持ち上げられて調子にのって色々と面倒事を自ら背負い込む人も居るだろう。


 そう。神様も人に好かれて悪い気はしないっぽい。


 信頼したり好きだと言って教会に属してまで信仰してくれる人には、信仰心の度合いによって、人間が作った教会組織を活用してシステマチックに神威の一部を使える様に使える仕組みを与えたそうだ。


 そう。それがシーナさん達が使う神術。


 これは、シーナさん曰く「歌姫のファンクラブ会員特典みたいなものでしょうか~?」と言う事らしい。


 信仰なんて人間の自由だし好きにすれば良いと言っても、神様の原動力は信仰心。

 だから、人間の信仰や信頼は有るに越したことはないらしい。

 神様自身が奇跡を起こす分は、何もしなくても充分なエネルギー貯蔵は有るらしいから問題ないっぽいんだけど、人間に一部とは言え自由に神術を使わせるには心もとないらしい。

 だから、神の奇跡の原動力となる信仰心を多く示してくれる信者には、より多く高度な神術が自由に使えるように教会と言う組織を利用して仕組みを作ったそうな。


 つまり、より多くの大枚を落としてくれるファンには、より多くの特典が用意されているって言うのが、この世界の教会と神術の仕組みなのだ。


 もう、なんと言うか…。

 何というか、この世界の神様って愛らしい!!


「別に無理して入信してまで俺を信じなくて良いからさ…。俺の事を思うならちょっとした時に思い出してくれれば良いよ。俺はお前たちの事を思って作ったルールを少しでも守って健やかに生きてくれれば、それだけで俺は嬉しいんだからよ…。」


 とか、言いつつ


「でも、お前らが入信してまで俺を支えたいってんなら、もっと力を貸してやんよ…。」


 とか、きっと胸元はだけさせてながら頬を赤らめて…


 キャーーーー!!


 って、感じなんですよ!?


 きっと!!


 そりゃ、神様系の薄い本も色々売ってるワケですよ…。


 信者だけは多いのに、何もしない上に気に入らないとちゃぶ台返ししちゃう様な、どっかの神様の事を考えると好意に値するし、自分が入信しなくとも興味は湧くよね!!


 何というか神様なのに実に人間っぽい感じがして面白いよね!!


 それに、信者が使った神術で救われた人が、救った信者に感謝する事でもエネルギーとしての信仰心は得られるし、信者が居なければ居ないで何とかなるから無理に入信させようとしないでねと神様が言ってったって聖書に書かれている逸話とか実に可愛い!!


 なんて言うの?エモい?エモい感じ?

 なんか薄幸系な感じで萌える!!


 全知全能じゃないって言ってるのに、狂信的に信仰されても神様的にも困ると思うし、調度良い距離感で付き合えるからこそ、この世界の神様は機能している気がする!!


 私もこの世界に多く居る『信者じゃない人』と同じく「まあ、そう言う事なら、私としても存在くらいは認めてあげても良いよ!」と言うスタイルでなら神様と付き合っていけそうな気がする!


 って言うか、色々と創作出来そうで怖い!!


 まあ、それは置いておいても、昨日今日と少し話を聞いただけでも結構面白かった。


 神術とか神の威光とかで、神様って存在を感じちゃってる以上はある程度は知っていて損はないだろうと思って、話を聞き始めたのだけど、もっと他にも面白そうな話が有るかも知れない。


* * * * *


 と、言う事で本日の女子会開始から三時間。

 脱線しながらも、やっと本筋に辿り着いた感じだ。

 シーナさんが信奉する双子の女神の話に。

 きっと、シーナさん的には早く自分の所の神様について語りたかった事だろう。


 この世界で信仰されている神様は主に四柱が崇められているらしい。

 双子神の父であり、ソル教団の主神で太陽を象徴とする「太陽神メビ」

 双子神の母であり、ティエラ教団の主神で大地を象徴とする「大地神リミ」

 そして、双月を象徴とするルナヘメロ教団の双子の女神「ニナ」と「ニコ」


 さっきまでの話は「太陽神メビ」と「大地神リミ」の話。

 主にお父さんがやらかして、お母さんがフォローするみたいな話が多くてホームドラマ的な短編小説を読んでいる感じだった。


 色々と人間との関係の基礎や人間が神術を使える様な仕組みを築いたのは「太陽神メビ」なんだそうだけど、太古の魔王との戦いの際にもお父さんが色々とやらかしちゃって、見るに見かねた娘の「ニナ」と「ニコ」が参戦し、人間に多大な恩恵を与えて太古の魔王を討伐した事から、現在ではシーナさんが信奉するルナヘメロ教団が最も信者を抱える宗教団体になったそうだ。


「へー。じゃあ、ニコちゃんの名前ってシーナさんとこの女神様の名前と一緒なんだー。」


 言ってから「名前について何度も聞かれてウンザリしてるかな?」と心配になったけど、ニコさんにとっては新鮮な質問だったらしく目を丸くしている。


「まあね。私の名前は夜になると見える月の方の女神ニコ様から付けられたそうね。でも、双子の女神の名前を女の子に付けるのは、この国じゃありふれた事なのよねー。タエコちゃんの住んでた北方辺境やエルフとか他種族は事情が違うらしいけど、この辺りの人間には多い名前よ。ホント。だからって恥ずかしい二つ名を付けて個人を分別する習慣だけは勘弁して欲しいのよねー。まったく…。」


 恥ずかしい二つ名と言うと「夢見る冒険者亭の昼の天使」の話だろう。


 ニコちゃんの営業スマイルはマジ天使級だから仕方ないんじゃないかなぁーっと思うけど、本人としては気に入ってないらしい。



 まあ…。ニコちゃんの年齢を考えるとオバ…もとい…、随分とお姉さまだからキツイのは分からなくもないけど。



「あら。タエコさん。今、凄く失礼な事を考えていなかったかしら?」


 私の頭を読み取ったのか完璧な営業スマイルで、私のこめかみをグリグリされりゅ。

 マンガだったらニコちゃんのこめかみの辺りにシャープマークが浮かんでいただろう。

 地味に痛い…。


 でも、先日の自称魔王騒ぎの事を思い返すと、こんな日常が普通に幸せだと感じる。


 あの戦場で起こった事も、この世界で起こりうる現実。

 そう感じたからこそ、余計に今が幸せなのだと実感しているのだと思う。


 そんな私達のじゃれ合いを本気で心配してしまったのかシーナさんが口を開いた。


「まあまあ~。ニコさん。タエコさんもニコさんの事を本気でオバさんだとは考えていないと思いますよ~。つい口に出てしまっただけで~。」


 どうやら、私は無意識に口に出してしまていたみたいだ…。

 そりゃー、グリグリされても仕方ない…。

 って言うか、シーナさん!余計な事を言わないで!

 ニコちゃんのグリグリが強くなるから!!


「まあ、良いわ!人間の時間ってのは過ぎ去ったら取り戻せないのよ! いつかは、みんなババアになるんだからね! あんたもあっと言う間なんだから!」


 と、人生の真実を告げてニコさんはグリグリから開放してくれた。

 まあ、そうなんだろうけど、十代の私にそんな事を言われてもと思う。

 けど、そんなニコちゃんが可愛らしいと思ってしまうのは、ニコちゃんが年齢を重ねても本当に可愛らしい人だからなのだろう。


 けど、本気でグリグリされて凄く痛かったからニコちゃんの喜びそうな事は言ってあげない!


 まあ、口に出してオバさん呼ばわりした割には、思ったよりもアッサリとグリグリから開放されたのは嬉しいけど、シーナさんが余計な事を言うから逆に余計なダメージを受けた気がする…。


「そう言えば、ニナさんのお名前も双子の女神のお名前ですね? 二人でペアを組まれていた頃には話題になったのでは? 女神の名を持つ方は大半が聖職者に就く方が多いのに、正反対の冒険者家業だなんて。」


 私とニコさんがジャレる様子を見てニコニコしながら紅茶を飲んでいたローズさんが別の話題に切り替えようとしてくれたのか、ニナさんに話を振る。


「ローズ。お前なぁ? 私に名前の話が来ない様に大人しく黙ってたんだから、それくらい察してくれよ。 生まれてからずっと名前で散々弄られてきたんだから。 仲間内で名前弄りは勘弁してくれよ。マジで。」


 相当、名前に関する話には触れて欲しくないのかニナさんの顔がウンザリここに有りと言う顔をしている。


 具体的に言うと眉をひそめて、目は細くなり、鼻は上向きで、口はへの字。


「すっごいブサイクになってる。」


「あ~ん?タエコ!上等じゃねーか!」


 今のは自分でも分かった…。

 口に出して言っていたのを。


「ごめんなさいーーー!ギブ!ギブですー!」


 本気だった。

 ニナさんのグリグリは凶器だった。

 ニコさんが技の戦士なら、ニナさんは力で戦うパワーファイター。

 質が違った。


 ニコさんのグリグリにはある種の気持ちよさがあったけど、ニナさんのグリグリはただただ痛い!


「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!ダメ!ダメですって!ホントに!ニナさんごめんなさび!!」


 グリグリの激痛で転がりまわっているのにすんごい力でロックされて逃れられない。


「うははははは!今のお前の顔もブサイクだ!私のブロークンハートを思い知れ!!!」


 絶対、この人ってば傷ついてたりとかしてない!

 何となく、グリグリしてるのが楽しくなってるだけだ!


「まあまあ~。ニナさん。それ以上はタエコさんが気絶しちゃいますよ~?もし、これ以上の弱者虐待を行うと言うなら、教義に従い女神ニナの名においてお仕置きをしなくてはいけなくなりますよ~?」


「チッ。わかったよ。ニナの試練はヤバイからな。タエコ?立てるか?」


 シーナさんが止めてくれたおかげでグリグリの激痛から開放された。

 その上、ニナさんが優しく手を差し伸べて立たせてくれた上にホコリを叩いてくれると言うオマケ付きで逆に怖いんですけど!?


「ニナの試練って何ですか!?程よく酔っ払ってて楽しくなっちゃったニナさんがあっさり開放してくれたんですけどーー!!!しかも、あのニナさんが優しく立たせてくれて怖いんですけどーー!!」


「おま!くっ…。お前も経験すれば分かるさ…。あんなの乙女が口に出来るか!!」


 ニナさんもいい歳だから乙女かどうかと言う事を言及したい所だけど、ここはグッとこらえた方が良い様な気がする…。


 それ以上に、ニナさんが黙ってしまう程の「ニナの試練」の方が気になって仕方がない。


「ニナさんも口にしたがらない試練っていったい…。」


 私の小さなつぶやきを聞き漏らさなかったシーナさんが喜々として説明を始めた。

 相当、説明したかったのか、その嬉しそうな顔は幸せそうだ。

 だけど、ニナさんの様子を見る限りでは幸せな内容じゃない気がするんですけど…。

 って言うか、聞かないほうが幸せな気がして仕方がない。


「そうですね~。ニナ様はとてもオチャメで遊び心のある女神様なのです~。 普段は外周を回っておられて、四半期に一度しかお目見えしない事もあって~、ニナ様は人と関わる機会が有ると嬉しくなって~、度を越して色々とヤってしまられる事が多くて~。 ゆえに山盛りの効果が全て届かずにランダムに効果が発動する神術が多いのです~。 特に敵へのデバフや攻撃系の神威にはランダムで効果が発動する神術が多いのですけど~、それには とてもとても楽しい効果が含まれるのです~。 例えば「ニナの試練」ですと~、前にニナさんが受けた効果『ランダムで決定された時間、体の穴と言う穴からジワジワと汁が出てが止まらなくなる』を始めとして、他にも様々な試練を外敵に与えて下さるのですよ~♪ それは時に余興の罰ゲームとしても利用されるのです~♪」


 シーナさんはさらっと言ってのけるがこれは酷い。

 何の汁かは知らないけど、穴と言う穴ってどんな範囲で言ってるのか分からない…。

 と、言うか分かりたくないんですけど…。

 って言うか、これがホントの罰ゲームですか…。


 罰ゲームで乙女の穴と言う穴から、何かも分からない汁がジワジワ出て止まらなくなってしまってはシャレにならない感じがするんですどけ!!


「何というか…。想像を絶する感じですね。ニナ様酷い…。」


 私が、ある種の地獄の様な罰ゲームの実体を聞いてテーブルに伏せていると、シーナさんが私の頭を撫でながら話し始めた。


「本来「ニナの試練」は敵の集中力を削ぐ為のデバフですから、この話を聞いてニナ様を嫌いにならないで下さいね~? ニナ様は人間の為に、この星を中心として外周を楕円形に回っては、外敵からの脅威を退け守護して下さっている優しい女神様ですから。サービス精神旺盛でとても愛らしい方なのですよ~?」


 その話を聞いてニナ様が、人の良さそうな女神様なのは何となく伝わってくる。

 まだ、双子の女神様に関しては触りしか聞いていないけど、シーナさんが言うニナ様の話を聞いた感じだと、お父さんの神様と同じく面白そうな神様に違いない。

 ニナさんが受けた「ニナの試練」も使い方を間違えなければ問題ない気がするし…。



 と、言う事は…。

 人に対して、そんなモノを使ってしまうシーナさんに問題が有るんじゃないだろうか…。



「あらあら~。タエコさん。さすがに私もリックやニナさんの様に手のつけられない方にしか使いませんよ~? でも、何度も思っている事を口に出しちゃうタエコさんにもお仕置きが必要なのかもしれませんね~?」


「あぁあぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 どうやら私は、また口に出して言ってしまっていたらしい!!


 顔ではニコニコ笑っているシーナさんだったけど、その背後には『ゴゴゴゴゴゴゴ…』と言わんばかりの黒い何かを背負っている気配がした。


「え~い!ニナの試練!!」


「うぐぅぅ!!」


 この星の外周を回る月の女神ニナ様が見ていらっしゃったのかは分からない。

 これがニナ様のオチャメなのかは分からない。

 私は奇しくもニナさんが受けた効果と同じ効果が発動し二時間苦しむ事となった。


 乙女の名誉の為に言っておくと、汁がジワジワ出たのは顔面からだけでした。

 それでも、酷い…。


 ケタケタと笑い転げるニナさんの声を後ろに聞きながら、お家に逃げ帰る事しかできなかったのであった。


 私は今日の事を教訓としてしっかり覚えておき、今後の発言には気をつけるべきだろう。

 シーナさんは意外とトリガーハッピーなんだと。

 あぁ…。だからリックのパーティは分解せずに成立しているのだと。

どうも。となりの新兵ちゃんです。


と、言う事で「其之三」の本編開始です。

肉体的にも精神的にも厳しい状態が続いていたので、週に一回はアップしたいと言う個人ルールを守れずにお待たせしてしまいました。


まあ、待ってる方が居るのかは分からないのですが(´・ω・`)


今回の話はこの世界の神様のお話でした。

初めに言っておきますが既存の宗教とかを批判するワケではなく創作の話だとご理解頂ければと。


私も宗教とか詳しくないから、妙子ちゃんが感じている様な疑問や考えは個人として持っていますが、人間が先の出来事から考えて、学び、良い人生を送るためのツールやルールが宗教の本質の一部だと思っているので、神様を信じて信仰する方は、聖書や経典を参考により良い人生を送って頂ければと思います。


今回の話に関しては、ハルト達が居る世界の神様はこんな感じで、死者蘇生も万能じゃないよって事を今は覚えておいて頂ければ。


ちなみに神様一家は、お父ちゃんがヤンチャだけど努力家で家族や友人を大切にするタイプ。お母ちゃんはホワホワ系で包み込む感じ。双子はお転婆だけど猫かぶってて、姉のニナはヤンチャ系でキツそうに見えて色々気にするタイプで、妹のニコは清楚系に見えて意外とサディスティックな感じで意図的にいたずら好きな感じを、現段階ではイメージしています。


どちらかと言うと、ギリシャ神話的な人間臭さの有る神様たちですね。

まあ、ゼウスの様な破天荒さは無くて、人間にフレンドリーで凄く気を使ってる感じですけど。


そんな、優しき神々はお互いを支えつつ、この世界の三大宗教として信仰されています。

基幹システムはお父ちゃんが作り、そのメンテナンスや調整はお母ちゃんがして、双子の娘たちが人間との架け橋となっている感じで上手く行っているみたいなので、お父ちゃんやお母ちゃんの出番はあまり無いと思いますが、双子の女神にはいずれ降臨してもらいたいですね。出す予定は今の所有りませんが…。


と、言う事で今回は設定の説明回みたな感じになってしまいましたが、次回は「ハルトさん王都に行く」「ハルトさんとアーノルドさん」「衝撃!ローズだけが知っている!」の三本でお送りする予定ですが、どうなるのかは未定なので、気長にお待ち頂ければ幸いです。


と、言う事で今回もお付き合い頂きありがとうございました。

それでは、またいつか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ