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シリコンの残光  作者: kyon²


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7/10

【 閑話休題 】 & 第3章(上)

【募集】 どなたか、この原作に歌詞と曲をつけて頂けませんか?

     そして、これらを動画生成AIにぶち込んで、映像メディアの世界へ

     一緒に殴り込み、かけませんか?


     ご連絡、お待ちしております。


 文字数が少なくて、これだけでは投稿できないようなので、

 第3章 に続けちゃいます。



第3章(上): 暗雲のみそぎ


 「永劫えいごう)工場」がその名を冠したのは、ゼダプリがこの地に巨大な地下シェルターを備えた製造施設を築いた時のことだ。どんな災害にも、いかなる紛争にも屈せず、日本の頭脳を製造し続ける――。そんな技術者たちの悲願が、その名には込められていた。


 だが、皮肉なことにその「強固さ」が、敵にとっては最大の標的となった。


 成功の余韻は、わずか数時間で終わりを告げた。

 午前3時14分。突如として工場を包む防護壁の外側で、凄まじい轟音が響いた。送電線の基幹施設が爆破されたのだ。永劫工場は瞬時にメイン電源を失い、非常用バッテリーへと切り替わる。


「敵襲だ! 全員、コア・セクターへ退避しろ!」


 警備責任者の怒号が響く。だが、瀬戸は動かなかった。彼は手元にある試作チップのプロトタイプを、真空パックに入れて懐に深くしまい込んだ。


「ここを守るんだ。ラインを止められたら、二度とこのチップは再現できない!」


 工場の廊下に、黒い戦闘服をまとった影が侵入してくる。彼らはハッキングで内部に入ることを諦め、最も確実で原始的な手段――「物理的な破壊」を選んだのだ。最新の軍用銃器の代わりに、彼らが手にしていたのは、重要回路を確実に粉砕するための高出力熱切断機だった。


「瀬戸さん、逃げてください! 私がここを塞ぎます!」

 若手技術者の田中が、非常用シャッターの制御盤に飛びつく。だが、シャッターは降りない。外部からの遠隔操作でロックされていたのだ。


「誰か、内部に裏切り者が……!」


 侵入者たちが、クリーンルームの入り口に殺到する。彼らの目的は、MOFを組み込んだ製造装置そのものを粉砕し、南山教授の理論を永遠に葬り去ることだ。


 瀬戸は近くにあった重厚な作業用レンチをつかみ、田中と肩を並べた。

「田中、怖がるな。これは半導体作りと同じだ。熱を制御し、構造を守り抜く。それだけだ」


  激しい攻防が始まった。

クリーンルームに充満していたクリーンな空気が、侵入者の乱入で汚染されていく。

高価なシリコンウェハーが踏みつけられ、精密なロボットアームが鈍器で叩き折られる。かつてない静寂と緻密さが支配していた永劫工場が、今は怒号と金属音に満ちていた。


 瀬戸は、侵入者のリーダー格と対峙していた。男が熱切断機を振り上げる。瀬戸はそれをレンチで受け止め、火花が散る。

「なぜ……なぜ? 日本が、この技術を持つことを許さない!」

 男は、瀬戸の言葉に無反応だ。

「日本の主権を犯すな!」


 男は冷酷に笑った。

「主権だと? お前たちは、ずっと『箱』の中で泳いでいればよかったんだ。自分の足で立とうとするから、こうなる」

「この男は、どこの者だ?」。瀬戸の頭に、疑問符が浮かぶ。

 格闘しながら、大陸の某国から差し向けられたのか? マフィアのような振舞いをするあの国が、アペリカンを偽装して来てるのか? それとも本当に……?


 激しい格闘の末、侵入者は撃退した。だが、工場の中心部である「MOF合成ユニット」は、彼らが仕掛けた小型爆薬によって、無惨に引き裂かれていた。


 静寂が戻った工場内。

 瀬戸は、崩れ落ちた装置の破片を拾い上げた。そこには、わずかに原型を留めた「MOFの残骸」があった。


「終わった……」

 誰かが絶望的に呟く。

 電力は断たれ、製造装置は粉砕された。永劫工場という名は、今や廃墟の代名詞に成り下がったように見えた。


 瀬戸は灰まみれの顔で、瓦礫がれきを見つめた。

 チップの設計データは頭の中にあった。だが、それを形にするための「網(MOF)」を焼き付けるユニットはもう存在しない。


「いや、まだだ……」

 瀬戸は震える手で、懐の試作チップを握りしめた。

「南山教授の理論は、この小さなチップの中に刻まれている。……破壊されたのは装置だ。理論そのものじゃない」


 だが、彼の言葉に、誰も返事を返せなかった。目の前に広がるのは、あまりに現実的で、あまりに絶望的な「喪失」だった。

 暗雲は、永劫工場の上空を完全におおい尽くしていた。

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