信じたくない事実
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マキが魔力吸収に苦戦している中、みんなは、辺りの魔物を倒していた。その中で人影を見つけていた。
「この階に誰かいる?さっき、人のような影が????あっちの方に」
エメダは指を指し逃げたであろうは方向を指す
「あっちに何があるんだ?魔物も多いしゴブリンでも見間違えたんじゃないか?」
ガルジは、あまり信じていない様子だった
「あっちの方に逃げていった気がします。保護しないと」
エメダは結構本気で探し、逃げていった方向へ駆け寄っていく。
「魔物が多くて大変だが、探してみるか」
エメダの熱心さがガルジを動かし、人影を探し始める。
だが、周りには魔物もいっぱいいる。倒しながら、少しずつ指刺した方向へ移動していく。
あまり時間をかけていては、助けられるものも助けられないかもしれないジレンマと戦いながらもなるべく早く魔物を倒し、移動していく。
「生き残りが?女の子かな」
ニウテは、女の子にしか興味ないようだった。さすがのガルジも飽きれてニウテを叩く。
探していく中で、やっとの思いで近づくことができたようだった。
「あ!いました。男の人。一人見たいです」
エメダは、見つけてみんなと連携を取る。
敵かも知れないので警戒は怠らない。
だが、ガルジが近づくと、どこか見たような面影があった。
「どこかで見たことあるな。レンじゃないのか・・・どうしてこんなところに」
ガルジは、変わり果てた姿になっていたレンを見たが、面影は残っていたのとマキからも話を聞いていたのですぐに気づいた。
「見つかってしまったか」
レンは、やれやれといった感じ。手には結界を張る魔道具を持っているようだった。
だから、逃げ延びられていたようだ。
レンを見つけたとの声に反応しマキは、駆け付ける。
「やっぱりこの魔道具を置いたのは、レン?」
「そうだよ。何もかも壊したくて」
レンは当然だろう、とでも言いたげに口元を歪める。その目には、燃え盛る憎悪の炎が宿っていた。
「ポーターを壊してもまだ足りないの?許せない」
ユキは、故郷を思い出し怒りをあらわにする。
「俺の故郷を、許せない」
ガルジもまた、拳を握りしめた。
「……許してもらおうなんて思っていない。許しなんか必要ない。お前たちに理解されるつもりもない」
レンは低く呟き、ゆっくりと彼らを見据えた。
「俺は家族にも捨てられ、周りからもひどい仕打ちを受けて生きてきた。そして、すべて……奪われた。そんな俺が、この世界に何を望めというんだ?」
言葉を吐き捨てるように言うレンの顔には、深い憎しみと諦念が交じり合っていた。
「だから……俺はすべてを壊す。それしか、俺には残されていないんだよ」
その言葉とともに、レンはわずかに口元を歪めた。まるで、自分の運命すらも嘲笑うかのように
「優しかったレンさんは、どこに?」
マキの瞳には、涙が浮かんでいた。
彼女の脳裏には、町の外で嵐に遭った日に助けてもらった記憶がよみがえる。
あの時のレンは、迷いなく手を差し伸べてくれた。あの温かな笑顔は、どこに消えてしまったのか。
しかし、レンの表情は冷え切っていた。
「・・・利用できるものを・・・利用したまでだ」
まるで過去のことなど取るに足らないとでも言うように、レンは淡々とした口調で答える。
その言葉には、何の感情も宿っていなかった。
「この間の冒険者の人は?」
マキは、共にいたはずの冒険者たちを心配し、恐る恐る尋ねる。しかし、その答えは無情なものだった。
「あ~あいつらは、死んだよ。この魔物の量だよ。倒し切れなかった。それだけのことだよ」
レンの声音には、まるで興味も関心もない。ただ事実を述べているだけといった風だった。
マキは唇をかみしめ悲しみをこらえながらも、それでもなお問いかける。
「仲間じゃなかったの?助けようとはしなかったの??」
「仲間?そんなもの、とうの昔に捨てた。俺にとっては、魔道具と同じ、利用価値のある道具に過ぎない」
レンの言葉は氷のように冷たかった。それは、かつて優しかった青年の面影を知る者には、あまりにも残酷だった。
「ひどい。昔はそんなんじゃなかったはず、私たちを助けてくれたのに」
マキの声は震え、涙が頬を伝う。それでもレンは変わらず、冷淡な表情のまま繰り返す。
「利用できるものを利用したまでだ」
しかし、その言葉はどこか……微かに揺らいでいた。
レンはふとかつて助けたことを思い出していた。マキのお店を訪ねた時の暖かい感じを思い出していた・・・。
だが、その記憶を振り払うように、目を伏せる。
「……それだけだ」
そう言い捨てた声は、ほんのわずかに震えていた。
次回の投稿は、6月13日を予定しております。




