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40杯目 魔王の威厳と娘の旅立ち

「うむ。テトテトちゃんが戻るのは、今でもまだ反対であるぞ」


ただでさえ威圧感がある魔王なのに、テトテトがパーティーに戻る話になったら威圧感がさらに増したんだよね。何か特別な理由があるのかな。


「テトテトちゃんグッズの新作がまだまだ足らぬのよ」


ん?


「しばらくテトテトちゃんがおらぬからグッズがマンネリ化したのである。ようやく帰ってきて成長したテトテトちゃんのグッズを作ったら実に素晴らしい出来栄えでな。それからいくつか作成してみたのだが、まだまだ種類が足らぬのだよ」

「パパにだいぶ協力したよね。悪魔的にはもう充分だと思うんだよね」

「いやまだまだ足らぬ。新作を発表してから売り上げがさらに増しての。魔王城への観光客も以前より一段と増えておるのだ。もっと。もっとだ。テトテトちゃんのグッズでこの世界を埋め尽くすのだ」


スパパパパーン!!!!

テトテトが魔王の頭を激しく叩いたよ。


「痛いよテトテトちゃん」

「パパがバカなことを言ってるからだよ。悪魔的には自業自得だよね」


娘のことになると威厳がまったくなくなる魔王だね。

これでテトテトがパーティーに戻ることになるのかな。


「だが魔力が回復していないではないか。そんな身体で再び旅に出るのは難しいのではないか」

「それは・・・悪魔的には・・・大丈夫だと・・・・・・思うよ?」


これまでずっと滑らかにしゃべってたテトテトの歯切れが悪くなったよ。

魔力が回復していないって言ってたけど、身体の調子がおかしいのかな。


「その件に関してワタシたちと一緒にいるほうが回復しやすいと考えているわ」


グリンナが二人の会話に混ざり始めたよ。


「回復しやすいだと?どういうことだ?」

「二人ともタクノミの料理とお酒を口にしたでしょ。身体の調子はどう?」


魔王とテトテトが顔を見合わせてから自分自身の身体を確かめてるよ。


「うーむ。少し調子が良いような気もするな」

「悪魔的には元気が出てきた気がするよ」

「やっぱりね。戻ってらっしゃいテトテト」


そこにゴロンニャとリンコも加わる。


「そうなのにゃ。タクちゃんのお酒と料理は元気が出るのにゃ。ずっと身体の調子が良いのにゃ」

「それに温泉も絶品でござるよ。毎日のように回復魔法をかけてもらってるかのようでござる」


ちょっと言い過ぎなんじゃないかな。


「ワタシは魔力も回復しやすいと考えているわ。せっかく魔王城に戻ってしばらく経ったのに良化してないってことは、新しいことを試してみても良いと思うわ」

「だ・・・だよねー。タクタクのお酒と料理が気にいっちゃったよ。悪魔的にはタクタクともう離れられないって感じだよ」


嬉しいんだけどさ。

そういうこと言うと魔王のパパさんが。ほら。どんどん怖いオーラがね。


「しかしだな。魔族のみなもテトテトに残ってもらいたいと」

「黙って出ていくことはしないよ。明日、魔王城で出発の挨拶をしていくからね」

「あ・・・明日。そんな急に。テトテトちゃん行かないでええええ」


もう魔王の口調が変わっちゃってるよ。

可愛い子には旅をさせよって言うけど、やっぱり娘が居なくなるのはパパさんにとって寂しいんだろうね。


まあいろいろとあったけど、これで本当にテトテトが4人目としてパーティーに戻ってくるのかな。


「テトちゃんまたよろしくだにゃ」

「テトテト殿とまた一緒のパーティーになれて嬉しいでござるよ」

「ずっと待ってたわ」

「みんなただいまー」


4人の女の子が嬉しそうに集まっているのを見ると、とっても微笑ましいね。

その横で怒っているんだか悲しんでいるんだか良く分からないオーラを漂わせてる魔王がいるのが少し変な光景だけどさ。


あれ。そろそろ2時間くらい経つんじゃないかな。

ゴロンニャたちは3時間半いられるようになったけど、ゲストは2時間なんだよね。


「ほらパパ。帰らないと」

「うむ。タクノミよ。なかなか美味だったぞ。また呼ぶように。じゃあテトテトちゃん帰ろっか」

「え?帰るのはパパだけだよ」

「な?」

「テトはパーティーメンバーの扉で入ってきたからまだいられるんだよ。パパばいばーい」

「ななな?それでも一緒に帰ろう」

「嫌だよー。悪魔的にタクタクとまだ一緒にいたいもんね」


威厳のある魔王だけど、テトテトに対してはめちゃめちゃパパさんの顔してるし口調も変わっちゃってるね。

でもさ。自分に向けては魔王の威厳がとんでもないことになってるんだけど。ちょっとそんなに煽らないでよ。


「えー。タクタクはテトと一緒にいるのが嫌なの?」

「いえ。嫌じゃないです」

「なんか固いなあ。もっとリラックスしてよ」


と言ったテトテトは自分の身体を優しくゆさゆさと揺らしてきたんだ。

優しい手つきで凄くリラックスできそうなんだけど、パパさんがさ。ほらパパさんが怖いよ。


「あれ?パパまだいたの?」

「そんな。冷たいよテトテトちゃん」

「もう。じゃあ見送ってあげるから。ほら行くよ」


そんな感じで娘に手を引かれている魔王は凄く嬉しそうだったけど、飲み部屋から出ていくときに自分にだけ絶対に殺気を放ってきたよね。怖いって。


魔王が帰って4人になったらもしかして自分といろいろ何かあったり・・・なんて考えちゃったけど、普通に女の子4人で再会を喜び合ってるだけだったね。うん。そういうもんだよね。


それで話し合いをしてたんだけど、やっぱり明日にはお別れの挨拶をして、そのあとすぐか遅くても明後日には旅立つことになったみたい。

魔族に向けてお別れの挨拶だなんてとんでもない話だなと思っちゃうけどさ。

そんなとんでもないテトテトとこれから少しずつ仲良くなって、テトテトが好きな味とかを覚えなきゃね。


次の日。

テトテトがお別れの挨拶をするときにちょっと異世界に行って様子を見てたんだ。

そしたら魔王城の周りにとんでもない数の人が集まってたんだよ。

それと、魔力で映像を配信するとかなんとかで、こっちの世界でいうテレビとかネット中継みたいなものもあったみたい。


そんな中で挨拶したテトテトは堂々としていて、美しくて、魅力的で、みんなにとても愛されていて。

テトテトの一言一言に集まった人たちが大声援をあげてさ。本当に地震が起きてるように地面が揺れてたんだよね。

集まった人はみんなテトテトのグッズを握りしめて。


そんな中、これでもかとばかりに大量のグッズをもって一番の声援をあげてたのがパパさんだったんだよね。この人、本当に魔王なんだよね。



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