41杯目 楽な移動と4人の日常
統合首都。
そこが次の目的地みたい。
他に名前があるわけじゃなくて統合首都って言葉が名前のように使われているんだってさ。
名前の通り異世界の政治の中心地なんだって。魔王も良く行くんだとか。今回は同行しないけどね。
だから魔王城から統合首都までしっかりとした道が整備されてるし、魔王が所有する立派な馬車もあるんだって。
それを使って移動しているんだけど、馬車50台、護衛200人の大規模な部隊になっちゃってるよ。
どこかの偉い人みたいな扱いだよね。てか新たにパーティーに加わったテトテトは魔王の娘だからどこかの偉い人そのものだっけか。
自分のためじゃないって分かってるんだけど、それでも何だか緊張するし偉い人にでもなった気分がしちゃうよね。
最初はこんな大規模にするつもりはなかったんだ。
でも少人数で馬車に乗ると、どうしても自分の家の存在がバレてしまうんじゃないかってことになってさ。
どうせなら大規模な部隊にしちゃえって。そのほうがパーティーのプライベートな空間には誰も入ってこなくなるからってさ。
実際にその通りで、4人が使ってる立派な馬車の中には誰も入ってくることが無いんだ。夜はそこで寝てることになってるから、自分の家で気兼ねなく飲めるってわけ。
そんな感じで移動しながら毎日自分の家で飲んでるよ。
「ウミウミは本当に可愛いねえ。温泉も本当に気持ち良かったもん。悪魔的にはウミウミはとってもとっても素晴らしい子だよ」
「ウーミウーミ!!!」
テトテトとウーミは会ったらすぐに仲良くなったんだよね。
今はテトテトがウーミをなでくりまわしながら飲んでるよ。
風呂上がりのテトテトはますます色っぽいよ。
「今回の移動はこうやって飲むことしか楽しみがないのにゃ」
「大規模すぎて寄り道するのも大変でござるからな」
「だいぶ楽だから、それだけ特訓がはかどってるわよね」
なんでも昼間は何もすることがないんだって。贅沢な悩みだよね。
だから強くなるために特訓してるんだとか。
移動している馬車を走って追いかけながら戦う練習をしてるんだって。凄いよね。
「今回の馬車はゆっくり動いてるから、追いかけるのは簡単なのにゃ」
大規模だからそんなに速くないんだって。
それにしても凄いよね。
「ずっと追いかけてるわけではないでござるよ。馬車の中で訓練することもあるでござる」
手先の感覚を鋭くするためにいろんなものを持ったり投げたり取ったりするんだって。
あれかな。大道芸人のジャグリングみたいな。
それにしてもみんなはとっても強いんでしょ。
それでもまだ特訓して強くなろうとしているなんて本当に凄いよね。
その間に自分がするのは、酒とつまみを用意すること。
今日も用意していたメインの料理を出すとしますか。
今日の料理は餃子。とはいっても自分で作ったやつじゃないよ。冷凍餃子を買ったの。
餃子やラーメンのチェーン店で冷凍餃子を持ち帰ることができる店が結構あるんだよね。
しかもお店で食べるより安いの。安いところだと1個20円で売ってたりするから。
その分、いっぺんに30個とか50個とか大量に買わなきゃいけないけど、冷凍庫に入れておけば持つからね。
それに自分の場合はみんながいるから、それくらいは普通に食べちゃう量だし。
まずは簡単に水餃子。茹でるだけ。
水がたっぷり入って沸騰した鍋に冷凍の餃子を1つずつ入れるよ。
冷凍してるからお湯は冷めてしまって、火をかけっぱなしでもまた沸騰するまでにある程度の時間がかかるんだ。
再び沸騰してきたら、そこに少し水を入れてまた水の温度を下げるよ。
びっくり水って言われてるけど、どこまで効果があるか自分にはわからないんだけどね。
それでまたまた沸騰させて餃子がぷかぷかと浮いてきたら完成・・・なんだけど不安だからとりあえず1つ試しに食べてみるよね。
うん。中まで熱々。これなら大丈夫そう。
次に焼き餃子。これはちょっと面倒くさい。
フライパンに油を少し入れて熱々になったら火を止める。そこに餃子を1つずつ入れてくよ。
火をつけっぱなしで餃子を素早く並べられるほど料理が上手じゃないからね。
餃子を並べたら再び火をつけて1分くらいかな。軽く焼き色がつくまで焼くんだ。
そしたら、そこにお湯を入れるよ。餃子が半身浴するくらいまで。
水を入れると温度が一気に下がっちゃうからお湯で。お湯を入れたら蓋をして蒸し焼きに。
焼いてるんだか蒸してるんだか茹でてるんだか不安だけど、そこは何とか餃子とお湯が頑張ってくれるはず。不安だったら応援しよう。頑張れ。
4~5分すれば水分もだいぶ少なくなるから蓋をとって強火で水分を飛ばしちゃう。
水分が結構残って蒸発しなさそうなら水分は捨てちゃっても良いよ。
最後に再び油を入れて餃子をカリッと焼いたら完成。
安い餃子と自分の力量なんだから、ちょっぴり下手でも文句はありません。
「カリッとしてジュワッとして美味しすぎるのにゃ」
「こっちの柔らかいのもさっぱりして美味しいでござるよ」
「どちらも素晴らしいわね。同じ食べ物のはずなのに全く違うものになっていて飽きないわ」
「こんな美味しいものを毎日食べてたなんてズルいよ。悪魔的にはもっと早くパーティーに戻れば良かったよ」
好評なようで良かった良かった。
自分はお店で食べる餃子を知ってるから、本当はもっと美味しいはずなんだけどなって思っちゃうけどさ。
せっかくだからもう1品。スープ餃子も作っちゃおう。
鍋の中に水、刻んだショウガ、刻んだニンニク、餃子のタレ、鶏ガラスープの素を入れて火にかけるよ。
餃子のタレは味付けに使ってもなかなか良い味になるんだよね。
変に自分が勝手な味をつけるより、元から餃子に合うように作られてるタレの味にお任せしたほうが美味しくなるはずだし。
沸騰してきたらそこに冷凍餃子を入れるよ。
あとは水餃子のときと同じように餃子に火が通るまで茹でるだけ。
最後に刻んだニラを入れたら完成。スープ餃子の出来上がり。
「にゃー!これはこれでまた別の美味しさなのにゃ!」
「餃子を崩してスープと混ぜるとまた違った美味しさになるでござるよ」
「まさかまた別の楽しみ方ができるだなんて驚いたわ」
「悪魔的には3つともおかわりするよ!!!」
さすが餃子。美味しいもんね。みんなが喜ぶはずだよ。
魔王もこれを食べたら喜んでたのかな。
「パパは食べられなくて当たり前だよね。悪魔的には自業自得だよ」
「え?何かあったの?」
「テトに行ってほしくないからって、お別れ祭りを1か月も開いてるんだよ。テトはそんなことは関係なく出発しちゃったけどね。始めちゃったからやめるわけにもいかないだろうし」
「お別れの挨拶をするときに盛り上がってたけど、あれも祭りの一部だったのかな」
「そうなんだろうね。それでパパが言い出したことだから抜け出せないみたいでね。そんなことしなきゃ一緒に統合首都まで行っても良かったのにね。まあ悪魔的には気兼ねなく旅ができて嬉しいよ」
そうだったんだ。もしかして魔王って残念な感じなのかな。
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