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26杯目 決戦!マルマルコロリンVS過保護

とうとうマルマルコロリンと再び戦う時がやってきた。

簡単にできるかなと思ったけど、みんなの協力で念入りに準備をしてきたんだ。


本当に念入りだったよ。準備に5日間もかけたからね。

1日3時間だけ行ける異世界では、初心者向けダンジョンにこもりっぱなし。


まずは初心者向けの説明が博物館のように大量に設置されている1階で知識を習得。

順番に見ていたら時間が足りないので、グリンナとマンツーマンで要点を絞って回ったよ。

グリンナの説明がとても分かりやすくてね。楽しく勉強することができたんだ。


それから2階の実技の階。ここはあまり使わなかったな。

なにせお手本を見たいならゴロンニャ、リンコ、グリンナの3人がいるんだから。

それでも3人とは違う技術も知っておいたほうが良いからってことで、ピンポイントで実技も見物したよ。


そしてあの3階。ここで3人に実践を教えてもらったんだよね。

少し離れたところでマルマルコロリンがころころと転がっているのを横目に特訓したよ。

体力もないし、いきなり技術が上がるってものでもないけどさ。

だけど最低でもマルマルコロリンを倒せるくらいの技術は身についたんじゃないかな。

この世界では子どもが遊び相手にするくらい弱いモンスターみたいだけどね。


夜の飲み会でも冒険者の心得と戦い方についての話ばっかりしていた。

そんな感じであっという間に5日が過ぎたよ。


すぐにでもスナシーの街から出発できたはずなのに、自分のためにわざわざ滞在する期間を延ばしてくれたんだ。

絶対にマルマルコロリンを倒してやるぞ!!!



うーん。みんなは何で自分の前に居るのかな。

マルマルコロリンは丸くて緑色のモンスターなんだけど、姿がみんなに隠れて全く見えないよ。


「もしものことがあったら危ないのにゃ!」

「そうでござる。タクノミ殿にケガを負わせるわけにはいかないでござる!」

「これが最適なフォーメーションよ。何があってもタクノミを守るわ!」


いや。ありがたいんだけどさ。

みんなが自分を大切にしてくれて嬉しいんだけどさ。

でもこれじゃ、自分がマルマルコロリンに攻撃することもできないよね。


「タクちゃんもパーティーのメンバーだにゃ。ゴロンニャたちに任せておけば一緒に倒したことになるにゃ」


いやいや。そうじゃなくてさ。

自分ひとりの力で倒したいなあって。

え?何その顔。みんな魔王でも現れたみたいになってるよ。


「どどどどどうするにゃ」

「タクノミ殿を守れないなんて拙者は絶対に嫌でござる」

「これは想定外ね。念入りに計画を立てて1か月後に挑戦してもらうなら何とかなるかもしれないわ」


えー。みんな過保護すぎ。本当に本当にありがたいんだよ。

だけどさ。これまで準備してきたんだから大丈夫だって。そんなに自分は戦えないくらいだった?


「そんなことはないのにゃ」

「そうでござる。タクノミ殿の努力は確実に実を結んでいるでござるよ」

「そうね。それならばこの作戦でいきましょう」


えーと。何をやっているのかな。


「これならタクちゃんに飛び掛かる心配はないにゃ」

「安心するでござるよ。ゴロンニャ殿がしっかり捕まえているでござるから」

「ここよ。その伝説の武器『皆殺しの棒』でここを叩くのよ」


それじゃダメでしょ。ひとりで戦うことにはならないよ。

というか、この棒って伝説の武器だったの?そんな凄いものを持たされていたの?

めちゃめちゃ怖い名前なんだけど大丈夫だよね。呪いの武器じゃないよね。


「みんな。ここは辛いけどタクノミを信じましょう」

「そうだにゃ。タクちゃん信じてるのにゃ」

「タクノミ殿ならやれるでござるよ」


マルマルコロリンってめちゃめちゃ弱いモンスターなんだよね?

子どもの遊び相手になるくらいなんだよね。

そりゃ最初に出会ったときは攻撃されてケガしたけど、ちゃんと準備してきたしひとりで大丈夫さ。


3人は捕まえていたマルマルコロリンを地面に置き、少し離れたところへ移った。

そこでめちゃめちゃ応援してる。恥ずかしいくらいに応援してるよ。


でも心配してくれるのも背中を押してくれるのも本当に嬉しいことだもんね。

いざ勝負!!!


マルマルコロリンはいつもコロコロと転がっているだけのモンスター。

そのときに素早く攻撃すれば楽に倒せるんだって。でも自分はそこでは倒さない。

前回やられた攻撃をかわしたいんだ。


おっ。自分を敵として認識したみたい。

コロコロしている動きがだんだんと鈍くなってきたよ。

そして止まった。今だ!


自分に向って一直線に飛び跳ねてくるのと同時に、横の方へおもいっきり避ける。

これまで何度も練習してきたタイミングだよ。

でも緊張してたのかちょっと転んじゃった。そんなことかまわない。

すぐに起き上がって棒を握る手に力をこめ・・・・・・過ぎちゃダメだったんだ。

振りかぶるときはリラックスして握って、振り下ろすときに力をこめてエイッ!!!!!!!!


ドッパアアアアアアアアアアアアアアンンンンンン!!!!!


勢いよくマルマルコロリンがはじけた。え?こんなにはじけ飛ぶものなの?

そして何だか地面が揺れているような気がする。気のせいじゃない。実際に揺れてるよ。


と思ってたら3人が駆け寄ってきておもいっきり抱きついてきたんだ。


「良かったのにゃー。倒せたのにゃー」

「無事でなによりでござるよ」

「本当に良くやったわ」


何だか褒めすぎじゃない?

嫌じゃないけどさ。みんなの柔らかさはありがたすぎる報酬だけどさ。

まだ地面が揺れてるよね。みんなが動いてるわけじゃないよね。


「きっと『皆殺しの棒』の威力のせいね。もうすぐおさまるわよ」


え?そんな攻撃力を出しちゃったの?

というかめちゃ怖い武器なんだけど。もう持ちたくないよこれ。名前も怖いし。


そんな感じで宿敵との戦いに勝利したよ。

その日の夜は3人にこれでもかと褒められながら飲んで、次の日にはとうとうスナシーの街から旅立ったんだ。




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