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25杯目 残り物には肉がない

ゴロンニャたちの異世界の扉が持ち運べるようになったと聞いて、グリンナの判断は素早かった。


「スナシーの街から出ましょうね。ありがとうね」


詳しくは翌日に検討するということでこの日はお開き。

3人がスナシーの街を出るお祝いにまた牛肉を食べたいと言ってきたので、お酒を買わなければねと伝えたら急に顔から表情が消えて


「「「ヤッパイイデス」」」


と返事をして帰っていった。

そうだよね。お酒が重要だよね。いっぱい飲むもんね。



そして翌日。

いつものように飲み会をしながら聞いてみたら、やっぱりスナシーの街から出ることで決まったみたい。

まだパーティーメンバーの2人が集まってないけど、こっちから迎えに行くことにしたんだってさ。


この不思議な空間の自分の家にゴロンニャたちの3人はまだ1日に3時間しかいられない。

それでもスナシーの街を出ていくことに決めて大丈夫なのかなと思ったけど


「そもそもワタシたちはここで飲む前に普通にあちこちを行き来してたのよ。何の問題もないわ」


だって。

それに自分たちの持ち物も小部屋にすべて入れることができたんだって。

異世界のものを飲み部屋には持ち込むことはできない。

だけど、飲み部屋と異世界の扉の間にある廊下と小部屋には何でも持ち込めたみたい。


「いろんなものを簡単に持ち運べて前より便利になったのにゃ」


そうだよね。

自分も買い物したときにすぐにこの空間に物を入れられるようになって凄く便利だったもん。


「タクノミ殿にも拙者たちの世界を少しずつお見せできるでござるな」


そう。

異世界側の扉の持ち運びができるようになった以外にも凄い進歩があったんだ。


自分が異世界に毎日いけるようになったんだよね。

ただし1日3時間が限度なんだけどさ。

それでも凄いよ。毎日のように異世界に行けるようになるなんて。


ゴロンニャたちは、スナシーの街から出て残りのパーティーメンバーがいる場所まで旅をするんだってさ。

自分もいろいろな場所を見ることができるんだよ。凄く楽しみだ。


そんな感じで今日のつまみはいつも通り。

昨日は贅沢しちゃったからね。しばらくは無駄遣いしないように心がけなきゃ。

でも少しだけ、昨日の余韻に浸る1品を。


実は昨日のすき焼きに使ったタレ。

最後に牛丼にしたけど、半分くらいとってあるんだよね。それを使うよ。


残ったすき焼きのタレにニンジン、タマネギ、厚揚げ豆腐、冷凍のポテトフライを入れて火にかけるよ。

ポテトフライ?って思うかもしれないけど、肉じゃがだって似たような味付けなんだから大丈夫。

というか肉じゃがを作ったんだ。肉は入ってないけどね。


「昨日の美味しいが復活したのにゃ」

「野菜のホクホクと濃い目の味付けが合うでござる」

「この厚揚げという食べ物に少し濃厚さがあるせいか、肉が無くても問題ないわ」


さすがに昨日の喜びには負けるだろうけど、そこそこ好評で良かったよ。


「美味しいのにゃ。今日の料理も本当に美味しいのにゃ。あのお肉にはちょっぴり負けるけどにゃ」

「とても美味しいでござるよ。昨日の満足度と同じでござるよ。いや少しだけ昨日の肉のほうが上回っているでござるが」

「さすがね。昨日の特別さを今日も楽しめているわ。ただ肉そのものには少し敵わないわね」


ちゃんと褒めてくれてありがとう。

でもやっぱり肉の美味しさのことを考えたら、みんな正直な気持ちが出ちゃってるね。

まあね。そうじゃなきゃご立派な価格の牛肉を買った意味がないからね。


そして話はまたスナシーの街から出ることについて。


「出発する準備が整い次第この街から出ていくわよ」

「ゴロンニャはいつでも良いのにゃ」

「拙者も問題ないでござる」


そうなんだ。みんな急なことでも対応できるんだね。

冒険者として活動してるから、身支度が早かったりするのかな。


「ワタシも準備はできてるけど、本当に扉がちゃんと持ち運べるのか確かめてみたいわね。それが確認できたら出発しましょうか」


確かに大事。扉が使えなくなったら怖いもんね。

それに周りの目も気になるし。


「それはあまり問題ないわね。魔法やアイテムを使うのはワタシたちの世界では当たり前よ」


そんなもんなんだね。こっちの苦労とはえらい違いだ。

じゃあ扉の確認ができたらこの街ともお別れだね。初めて異世界に行った街だから感慨深いものがあるな。

でも自分には用なんてないし、これからどんな世界が広がってるのか楽しみで・・・・・・あっ!

ちょっとお願いしてみようかな。うん。してみよう。


「ちょっとだけ良いかな?」


みんながこっちを覗き込んできた。


「もしだよ。もし良かったらなんだけど、マルマルコロリンを倒してみたいんだよね。ダメかな?」



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