20杯目 飲むときは楽しく、パーティーのメンバーは仲良く
お金はゴロンニャたちに任せて宅飲みを充実させる決意してから数日。
思ったよりも毎日がとても忙しいんだよね。
まずは不思議な空間へ繋がる扉を持ち運んで、なるべく外出するように心がけているんだ。
1か月も経てばもうアパートから出なきゃいけなくなるからね。
そうなったときに扉を上手く使えないなんてことがあったら大変だからさ。
少しずつ試してきてたけど、より実践的にやっておこうと思って。
それと必要な品物のピックアップ。
これから異世界の3人が一緒に暮らしていくのにどういうものが必要になって、どれくらいの値段がするのか。欲しいものは挙げたらキリがないから優先順位も考えないとね。
というかパーティーのメンバーはあと2人いるみたいだから5人で計算していかないと。
どんな人なんだろう。ドキドキするけど、あの3人の仲間なんだからきっと大丈夫なはず。
いま頭を一番悩ませているのは部屋の配置と設計。
サクラミが言うには、彼女たちが住む部屋も日本の作りにしたほうが良いって。
たしかに向こうの世界に日帰りだけど行ってきた感じだと、日本の方が生活水準が高そうだからね。
でもこのままだと、自分のアパートと全く同じ部屋を増やしていくしかないんだって。
なんでも日本の建物に関しては自分のアパートの部屋の仕組みしかわからないんだとか。
女神様なんだから知ってるものかと思いきや
『他の人の家を勝手に覗くのは失礼だと思いますよー』
だってさ。たしかにそうだよね。
でも自分だって建築についてまったく詳しくない。
なのでサクラミの参考にしてもらうために、いろいろな設備の本などを探してるんだよね。
どんな感じの部屋をどういう風に配置するか頭を悩ませてるところ。
でもそんなにいろんな設備を作れるなら生活用品すべてを作ってもらえるんじゃないのと思ったけど、そうは簡単にいかないみたいだった。
サクラミが用意できるのは新築の家みたいな感じ。水道や電気やガスの心配はないんだけど、家具が全くない状態なんだよね。
だから、何が必要なのかを考えなきゃいけなくていろいろと最近は悩ま・・・・・・
ん?両方のほっぺたが痛いような
「タクちゃん。また難しい顔をしてるのにゃ。楽しく飲むのにゃ」
そうだったそうだった。今はみんなと飲んでる最中だったよ。
他にもあれやこれやといろいろやらなきゃいけないことが頭に浮かんじゃって、飲むのに集中できていなかったよ。
ゴロンニャはほっぺたをつまむのが気に入ったのかな?
ちゃんと飲みに集中するから、そろそろ手を離して欲しいなあ。
これが漫画だったら、ほっぺたがお雑煮の餅みたいに伸びてるんじゃないのかな。
「タクノミ殿が拙者たちのために一生懸命なのは伝わっているでござるよ。でも今は難しく考えないで欲しいでござる」
「ワタシたちがリラックスさせてもらっているのにタクノミがそんなだと心苦しいわ。ワタシたちが楽しむためにもタクノミに楽しんでもらいたいわ」
リンコもグリンナもありがとう。ちょっと難しく考えすぎていたのかもしれない。
それに気持ちの切り替えも大事だよね。
いま食べてる軽いつまみが無くなりそうだから、新しい料理を持ってくるよ。
今日の料理はめちゃめちゃ手抜きだけど、いろんな味が楽しめる品物。
題していろいろフライの卵とじ。
作り方はとっても簡単。スーパーで買ってきた揚げ物の惣菜を卵とじにするだけ。
レンチンしてふにゃふにゃしたのを食べるのも良いんだけどね。どうせなら、ふにゃふにゃ前提の料理にしちゃえば良いじゃない。
オーブン?まだ慌てるような時間じゃない。
今日の中身はコロッケ、唐揚げ、とんかつの3種類。
これをつまみやすい大きさに切るよ。
コロッケだと縦と横にカットして4つに、とんかつだと細長く縦にカットされてるのを半分にするくらい。
あんまり小さすぎても衣がはがれちゃうからね。
それらをレンジでチン。
卵とじにするときに温めれば良いんだけど、失敗して中が冷たいと嫌だからね。
レンジで先に温めておけば、卵とじが下手っぴでも安心。
ここからはフライパンで卵とじ。
まず水で普通の濃さにした麺つゆ、少量の酒、切った玉ねぎを入れて火にかけるんだ。
玉ねぎが少しやわらかくなってきたら、レンチンした揚げ物たちを投入。
煮崩れないようにやさしくやさしくね。
1分くらい経ったら火を止めた後で溶き卵を入れて軽く混ぜるよ。
上手な人なら火にかけたままでも良いんだろうけど、自分がやると失敗して卵が完全に固まっちゃうかもしれないからね。
まずは火を止めてから卵を入れて、緩い感じだったらまた火をつけて良さげなとこで止める。納豆オムレツの時と同じだね。
さっそくみんなで食べよう。
「同じ味付けなのにそれぞれ別な美味しさを楽しめるなんて素晴らしいわ」
グリンナが頭の上に音符が浮かんでいるかのようにリズミカルに喜んでいるよ。
あれ?本当に浮かんでる?目の錯覚だよね。
ゴロンニャとリンコはもう言葉になっていない声をあげながらゴロゴロとジタバタを融合させちゃったよ。
まるでダンスパフォーマンスのように。
3人のアイドルがステージで曲を披露してるわけじゃないよね。
ひとしきり落ち着いた後に、パーティーについて気になることを聞いてみたんだ。
「あのさ。言いたくなかったら言わなくて良いんだけど、辞めた人がいるって何か問題があったり仲が悪かったりしたのかな」
「そんなことないのにゃ。みんな仲は良いのにゃ」
「拙者たちほど上手くいってるパーティーは他にはなかなかないでござるよ」
それなら良かった。
もしかしたらアイドルグループみたいな裏のギスギスがあったんじゃないかって思っちゃったよ。
「あの人は少し問題があったわね」
あれ?グリンナ?やっぱり問題のある人が居たの?
「ハチャメチャだったのにゃ」
「常識をぶち壊していたでござるな」
あれれ?2人も同調しちゃったよ。
仲が悪い人がやっぱり居たとか・・・・・・
「仲は悪くないにゃ。大好きだにゃ」
「そうでござるよ。自分も好きでござるよ」
「少しやりすぎなところがあるだけで、それ以外はとても感謝しているわ」
そっか。仲は良いみたいで安心したよ。
「ただ、あんまり会うと疲れちゃうのにゃ」
「そうでござるな。たまに会うのがちょうど良いでござるな」
「本当にね。しばらく会わないで良いかもしれないわね」
仲が良いの?悪いの?
でもそうやって大笑いしながら軽口を叩けるのは仲が良い証拠かな?
ただ盛大にフラグを立ててるような気がするんだけどなあ。
やっぱり。数日後にやってきたんだよ。例の人が。
「わっはっはっはっは。こんなところで飲んでたのか。みんな元気にしてたか?」
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