第65話 触れた胸の先に②
ブラジャーの試着室に2人で入った俺と田野島は、胸と胸を合わせて抱き合っていた。
「真理衣ちゃん…」
「しのぶさん…」
「いかがですかー?」外から店員の声。
「は、はい!」
慌てて離れる。
「あ、あー!いい感じです」適当に答える。
「私、やっぱりワンサイズ大きいの試したいんで持ってきてくれますかぁ?」田野島のナイスフォロー。
「かしこまりました」
店員が離れる音が聞こえる。
「と、とりあえずちゃんと試着しよう…」
「はい…あ、私付けますよ…あ、しのぶさん…ふふっ…」
胸を直視され、興奮しているのがバレた。恥ずかしさで顔が赤くなる。
「うう…真理衣ちゃんだって…」
田野島の胸の…先端を見る。田野島も、興奮していた。
店員が戻る前に、俺はブラを着けた状態、田野島は外した状態で
再び密着した。
次は、互いに腕を回して抱き合った。
「真理衣ちゃん…ほんとにラブ、の好きだったのね…」
「そう言ったのに、無防備に私の誘いに乗って、しかも2人で試着室に入ったしのぶさんの負けです…」
「そう、かもね…」
田野島の方が少し背が高い。抑え込まれる様にキスをされる。初めての感覚。今まで、俺より背の高い女と付き合った事は無かった。
「んん…」
ああ…俺は女になっても、こうして流される様に関係を持ってしまうのか…男の時は男の性欲のせいだと思っていたのに、女になっても同じだった。
ーーーーー
ラブホテルの一室。
田野島は全裸でベッドに入り、両手で顔を覆っていた。
「聞いてない…」田野島が顔を隠したまま呟いた。
「ん?」シャワー室から出た俺は、全裸のままベッドに腰掛け、田野島の頭をなでる。田野島…真理衣ちゃんはまだ顔を手で覆っている。
「もう、しのぶさん…上手すぎ…女の子同士、初めてだと思ってリードしようとしたのに…うう…」
詳しくは割愛するが、まぁ、俺も童貞じゃないんで。
「女同士は初めてだよ。でもほら…合わせるのはあまり慣れてなかったでしょ」
…実際、相#棒__・__#が無かったのでやり方に戸惑った。
「いえ…」
「それより私、生理中なのにしちゃってごめんね」
「いいんです…すごく、その…良かったので…」
詳しくは割愛する。
「…真理衣ちゃん、可愛かったよ」
「もう…」
真理衣ちゃんの上目遣い。
あ、ヤバい。また興奮してきた。
男の時と違い、今の俺は特にシチュエーションに興奮するらしく、せっかくシャワーを浴びたのに…
…割愛する。
とりあえず、この件によって魂が男、脳が女でも、健全な男子である事は…わかった…のか?
だが、女の良さを知ってしまい、男へ戻るのにためらいが出てきた。俺は子供にさほど興味が無い。もし、真理衣もそうなら…女同士で良い。
男社会な清光商会での出世を諦めるか、あるいは転職すれば、真理衣をパートナーにして女同士で幸せに暮らせるかも知れない。ナターリャには申し訳ないが、この身体の魔力は勝手に使ってもらっていい。
「真理衣ちゃんって、どっちもいけるの?」
最初に会った時は等々力を狙っていたので、真理衣は男が好きだと思っていた。
「え?あ、はい。でも女の子はしのぶさんで2人目です」
「ふーん…」
「ねぇ、しのぶさん」
「なに?」
「また、してくれますか」
「私が一晩限りにすると思う?」
真理衣にキスをする。
…あれ、これ付き合えるのかな?身体だけなのかな…分からん…
不意に女神フォンのバイブレーションが鳴る。
「ちょっとごめん…あ、ナターリャだ」
「一緒に住んでる留学生の?」
「うん」
そういえば真理衣が転移者かどうか見ていなかった。
履歴を見る。
「転移者が近くにいます」
「転移者が離れました」
「しのぶちゃんへ」
…ん!?
最後の履歴は、メールの様だ。開いてみる。




