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第64話 触れた胸の先に①

 挿絵(By みてみん)

しのぶは割と重い方なんですってよ。

田野島と、下着の店に行く事になった。


そう。これは俺が健全な男子であることを確かめるために必要な行為なのだ。


必要なのだ!


「お待たせしましたぁ」


田野島がロッカー室から出てきた。おかしい。

なんだか、今まで嫌なヤツという認識だったから何も気にしていなかったが、これから一緒に出かけるとなると、変に意識してしまう。


田野島の下着姿が脳に浮かぶ。

小ぶりな胸。控えめなくびれ…


「う、うん」


「どうしたんですか?顔赤くないです?」


「いや?べ、別に?」

動揺するな、俺!童貞じゃあるまいし、女の下着姿や裸なんて何度も見ただろ!妄想するな!


「そうですか?」

田野島が俺の額に触れる。田野島は俺より少し背が高い。俺の眼前に田野島の唇が迫る。

少し厚めの唇。


「熱は無さそうですけど…体調悪いならまた今度にします?」

田野島の鼻。低いが、それがいい。


「いや、大丈夫だよ」

冷静を装った。目を見て話す。

田野島の目。小さい目をメイクで大きく見せている。きっと、メイクを落とした方が俺好みだ。


「それならいいですけど…」


「は、はやく行こう!」


ーーーーー


下着店はショッピングモールの少し奥まったところにあり、有名店の割に穴場的な雰囲気を醸し出している。


「で、何を見たいの?」


「ブラです。最近、きつい気がして…」


きつい気がするのか!そうかー。育ったねぇ。


「そ、そうなの」


「さっきから変ですよ?しのぶさん」田野島は怪訝な顔をする。


まずい。


「ごめん!実はトイレが近くて!すぐ戻る!」


俺はトイレに駆け込んだ。


個室に入って、ついでなので用を足そうと下着を下ろす。


「え…」


生理だった。


あー…


ついこの間エルヴィンにブチ切れてガンガン蹴り上げたの、生理前でイラついてたから?いや、遠すぎるか?


なんかさっき妙にムラムラしたのも、生理が来たから?


ダメだ…わからん。女になってまだ生理は3回目。俺の生理経験値は小学生並みなんだ…勘弁してくれ…腹が痛くなってきた…




生理用品をがっちり装備して店に戻ると、田野島は店員と会話していた。


「ごめん、遅くなって」


「いいんです。大丈夫ですか?」

田野島と店員は心配そうに俺を見る。


「なんか変だなと思ったら、いつもより早く生理来ちゃって」


「あー。そうでしたか。すいません。気づかなくて。大丈夫ですか?」


「うん。でも、その…店員さん…私、ここで上下買ってくので、履いて行っていいですか…」


「あら。汚れちゃいました?ならぜひご購入ください!」店員のテンションが爆上がりした。


「お客様はお胸が大きくていらっしゃるから、可愛いデザインが無いと思ってませんか!?」


「え?あ、ああ。まあ…」気にした事が無かった。


「でもこちらの新しい商品は、多数のサイズからお選びいただけ…」


店員の説明が耳に入らない。ぼーっとする。


ーーーーー


気づくと俺は、試着室の中で田野島と一緒に乳を丸出しにしていた。


「ふぇっ!?」


「どうしました?」


自分を含め、目の前に乳が2セットある。いい眺めだが、やはり興奮しない。


これが女脳か…不思議だ。


「や、あの…ぼーっとしてた。今これ何してんの…?」


「大丈夫ですか?しのぶさん…今は…お揃いのブラを試着しようって入ったところです…ねぇ、しのぶさん…」


「は、はい…」


互いに上半身裸の状態で、田野島が俺に密着する。胸と胸が合わさる。互いの心臓の鼓動が伝わる。


「お、そ、ろ、い…ですよ。ふふっ」密着した状態で田野島が俺にささやく。


あっ…


興奮した。


これだ。


女脳が興奮するのは視覚ではない。シチュエーションと聴覚と触覚…


ああ…ヤバい。


「ねえ…」俺は言ってはいけない事を言いそうになっている。


「はい」


「真理衣ちゃんって呼んでいい?」


「…はい」

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