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第52話 命がけの商談④

 挿絵(By みてみん)

まさかの武闘会編…?

第2試合が始まった。

一方は先ほど等々力に絡んできた大企業、関東ゼロエックスの田所。もう一方の名は忘れた。


田所も等々力と似たような力を使って戦うのだろう。もう驚かんぞ。


「それではぁ、第2試合開始ィ!」


「あれは…いかんな…」解説紳士がいつのまにか俺の横に来て呟いた。


「いかん、って…?」


「田所…!?」等々力がリングを見ながら絶句していた。


いつのまにか田所は全身から血を吹き出し、倒れていた。スタッフに運ばれていく田所。


…思考が追いつかない。


「相手が悪かった…」紳士が何か知っている様子だ。


「あれは…なんですか」等々力が紳士に問う。


「あれは外法の一種だ。彼の前世は常夜の世界の外法師の様だね」紳士は険しい顔で男を見る。


「外法師!聞いたことがあります。魂を削って術を使うとか。それがあの技ですか!」等々力が紳士に詰め寄りながら話す。


「…その様だ。あれは肉体から無数の針を出す、山嵐の外法。それもかなり強力な使い手…」


「肉体強化の範疇、ですか…」等々力は悔しそうにする。


あ、そういうのあるんだ。ルール違反的な…それより田所さん大丈夫かな…本当にバトル漫画みたいだ。


正直、俺が居ていい場所じゃない。


何が起きているんだろう。

なぜ当たり前に受け入れているんだろう。転生者が数億人?

じゃあ、なんで今まで気づかなかった?


なぜ?


ボーっとしているうちに、一通り試合が終わり、準々決勝になっていた。


「さあ、次のバトルはぁ…これだ!」


司会者が大袈裟な動きをすると、モニターが切り替わる。


「魔力解放!魔法バトル!」


へぇ。魔法ね。何が来てももう驚かないぞ。


「…え?」


魔法だと?魔法は、この世界では一切使うことが出来ないと女神は言っていた。


いや、待て…俺を襲った間抜けな魔女は魔法の様なものを使って俺から魂を抜こうとしていた。


女神が嘘をついていた…?


ナターリャ。何のために俺に嘘を…


加古先生や、喜多嶋も俺を騙しているのだろうか。


…そういえば。


「コルネリアの魔力はぜんぶ、この世界に残した」


ナターリャはそう言っていた。


この世界の、どこに?


「お前の魂を利用する」

あの間抜けな魔女の言葉。あれは元々この身体に入っていた、コルネリアの魂ではなく…俺の魂…?


魔力をこの身体の中…いや、俺の魂の中に残していたとしたら。


加古医師がこの身体を生かしたのは、手違いではなかったとしたら。


転移者探しは時間稼ぎで、この身体に溜まった魔力をどうにかするためのフェイクだったとしたら…


全て説明が付く。


なんだよ。あいつ。酷いじゃないか。


一緒にパフェを食べに行ったり、女性モノの下着を買ったり。俺が頑張って作った料理を酷評したり…この一か月…結構楽しく暮らしてたじゃないか。


それも全部、嘘か。


この世界でも魔法が使える、それだけで。たったそれだけの事実で全てがわかった。


「課長、この試合…私が出ます」


「東雲…?」


この身体に溜まった魔力をどうにかしたいんだろ。


解放してやるよ。


魔王と恐れられた魔女コルネリア。その魔力の全てがこの身体に詰まってるんなら、何かやりゃあできるだろ!


こうなったら、曽根崎や坂巻と一緒に、ガルガトルに行く術を探してそっちで暮らしてやる。


俺はリングの上に上がる。


「ずいぶんと怖い顔のお嬢さんね。私に敵うのかしら」

スーツ姿の女が勝ち誇った表情で俺を見下す。


「やってみろよ…」


「え?」


「なんという殺気!これはいい試合になりそうだぁ!では第7試合、開始ィ!」


「生意気な子ね!燃やしてあげるわ!」相手の女は手を前に出し、俺に火を放った。


炎は俺の顔面の手前で止まり、一瞬で消え去る。


「魔女王…コルネリア…」リング外で紳士が呟いた。

更新遅れてすいませんでした!

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