第41話 取引先の正体を探れ!②
天衣社総務課長の毒島が使ったと思われる〝外法〟ーーー
それは魂を削って使う、魔法の無い世界でも使える特殊技能。しかも、他者の魂を使う事も出来るという。
「確認しますけど、他人の魂で外法を使うには…前世と今世、どちらも術者と同じ世界で生きた魂が必要なんですよね?」
「おおよそ、そうね。要するに魂の性質が似ていればいいの。魂の性質は生きた世界に合わせて少しずつ変化するから」喜多嶋は指でハートマークを作り、その指を曲げてハートを歪ませて見せた。
「じゃあ、しの…コルネリアの魂はどうなんスか?」
「見たことないけど、多分どの世界に行ってもずっと同じ形と色。それくらい強い魂なんでしょうね」
「なるほど…実は…」
俺は曽根崎と魔導師の話をした。
「ほうほう。前世が同じ世界の人間を集めてるのね…でもその曽根崎さんが真っ先に狙われてもおかしくないんじゃない?」
「あれ?そうですね。なんでだろ?」
「便利な手足として使ってる、とか…」
「その人の魂がチョー強くて、会うたび削られてんのに気づいてなかったりして」
確かに、彼女の前世の仕事や性格を考えると、あり得なくもない。
「とにかく、曽根崎さんに確認しないと。ガルガトルの魔導師の名前を…」
「え!?ガルガトルなの!?その人!」
坂巻もガルガトルの出身だ。
「ああ、そっか。そう、ガルガトルの人らしいんだ。そう言ってたよ。騎士団長だったとか」
「…もしかしてその人、敵の罠にかかって森の中で死んだ?」
「そう言ってたな」
「ユーリーだわ!」
「ウソ、知り合い!?」
「間違いねーし!アタシが10歳の時に死んだ騎士団長のユーリーだよ!」
「マジかよ!?」
「じゃあその魔導師もガルガトル人!?」
「そう言ってた」
「…でも毒島は私の国に出入りしてた魔導師じゃないし…あー!もうわけわかんない!とにかくユーリーが危ないのね!助けなきゃ!しのぶ君、行こう!」
「私はここにいるから、何かあったら連絡してね」喜多嶋と坂巻は連絡先を交換した。
「おけ、あざっす!行くよ!」
俺は坂巻の勢いに引きずられる様に曽根崎の家に向かった。
ーーーーー
曽根崎は自宅にいた。今日はハムスター柄のトレーナーを着ていた。
「やあしのぶさん!…と、どちら様?」
「えっと…ココアです。あなた、今は女みたいだけど…ユーリーでしょ?」
「なぜ私の名を…ん?ここあ…ココア姫!?」曽根崎は飛び上がった。
マジで知り合いだった。世間は狭いというが、異世界を横断して知り合いがいるとは…。
「貴方が死んだ時は国中が悲しみに包まれました。誰にでも優しく、忠義も厚く、そして誰よりも強かった…皆があなたを悼み、涙しました」坂巻の口調が変わった。姫様っぽい。
「姫…なんともったいないお言葉…」
2人は思い出話を始めた。
どの王女よりもおてんばだったココア姫と、彼女を見守る騎士団長の思い出話…はいいのだが、それより大事な話があるだろ…
「心愛、そろそろ曽根崎さんが危ないかもしれないって話を…」水を差す様で申し訳無かったので、少し待ってから言ってみる。
「あー!そうそう!それが先だよしのぶ君!言ってよ!」
言いたかったんだよ!
「私が危ない?」
「そうです、曽根崎さん。あなたの魂が危ないかもしれない」
俺は毒島の事を曽根崎に話した。
「そういう事だったか…それならば合点が行く…と言いたいところだが、あの魔導師は転生ではなく転移してきたはずだ。最近転移してきた者が大企業の課長にはなれないだろう」
「確かに…」
「しかし、奴とその毒島という男が繋がっている可能性はある。機を見ようと思っていたが、これはもう、あの男をここに誘い出すしかないな」




