~未改稿~
【首相官邸内 応接室】
簡素な応接室の中で官房長官の須賀と久島兄弟達は向かい合って座っていた。
もっとも、扉の向こう側には重武装のSWAT隊員が須賀の合図次第でいつでも突入出来るように待機し、建物の外では自動小銃やロケットランチャーまで装備した自衛隊員と89式装甲車が砲塔を官邸に向けていた。
アパッチ対戦車ヘリと特殊部隊を載せた強襲用オスプレイは現在こちらに急行中だ。
そんな外の騒動を知ってか知らずか、羊羹と抹茶に舌鼓を打つ一郎達であった。おまけで連れて来られた光太郎は須賀に紹介されることもなく、一郎の手の中から机の上にそっと降ろされ、一郎に出された羊羹の傍らで所在無げに転がっていた。一郎は羊羹よりプリン派なのだ。
「それで久島さん。総理にお話しとはどのような内容になりますか?」単刀直入に須賀が訊いてきた。
「おぬしらは樹木になった人間と話せるかの?」一郎が質問に問いで返す。
「いいえ。専門家を総動員していますが、植物なのか人なのか未だに分かりません。」正直に須賀は答えた。
多分、一郎達には言葉を弄した駆け引きの類いは通じないであろうと長年の経験から直感していた。
「そうじゃろうよ。あれは植物と人間の融合体、【植人】じゃよ。」一郎ははっきりと須賀に告げた。
「じゃから意思の疎通は人の言葉とは別の手段を用いなければならんのじゃ。」
「久島さん達はその手段が使えるということですね。私達にも使う事が出来るのでしょうか?」
須賀は新たな事実に驚愕しながら、それを表情に出さずに質問した。
「儂の手を握ってくれんかの?」一郎が須賀に右手を差し出した。
暫し一郎の手を見つめた須賀は思いきってその手を握った。
その瞬間「これでわかるかのう?」
頭の中に一郎の声が響く。一郎の顔を見ていたが、''口を閉じて''話していた。
手を握ったまま須賀は、
「これで樹木となった国民と話せるのですか?」と頭の中で質問する。
「そうじゃ。厳密には樹木に手を当てて思念を送る感じじゃがのう。」すぐに頭の中に返事が返ってきた。
須賀は、「これから総理に会って頂けますか?」と思念で伝えるのだった。
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