新生樹木「光太郎」は考える
7月26日早朝
【神奈川県横浜市神奈川区某所】
人体が溶解した後にゲル状の生体から変化した新生樹木「光太郎」の誕生から5日目、どうやらやっと梅雨が明けたらしく太陽が熱い!
人の身ならば紫外線で日焼けを気にする所だが、今の樹木だと葉緑素が活性化して大変喜ばしい。
そんなことより光太郎はバスからの移動を考えていた。
道路上からマンションに突っ込んだバスだから、樹木の光太郎としては足元が不安定で心配なのだ。
このままでは真夏日に壊れたバスの燃料タンクが高温で自然発火してキャンプファイヤーになりかねない。
早く冷たい地面で落ち着いて根を張りたい、じゃなかった違う!
思考がとかく植物よりしつつある事に抗いながら光太郎は己の心残りを解消すべくやりたい事を思い出す。
私は何としても東京の会社に出社して山岸 夏乃に逢うのだ!そして想いを伝えるのだ!
その為に光太郎は葉緑素をフル回転させて考えていた。
樹木に飛来する鳥や昆虫に伝言とか種を運んでもらうとかお願い出来ないだろうか?
早速実行に移した光太郎だが、朝から飛来する鳩や雀、カラス、昆虫に話し掛け続けたが反応は悪かった。
雀はビックリして逃げる、鳩は無視して小枝や葉っぱを勝手に自分からむしりとって巣作りを始める始末だ。
キツツキが飛来してコンコンつつかれた時には流石にキレて光太郎特製スペシャル樹液(怨マシマシ)を流して溶かしてしまったが……。
カナブンや蟻は樹液を出せとたかられたがこれも溶ける樹液を出して撃退した。
樹木に生まれ変わった光太郎だが虫はやはり苦手なのだ。共生は無理かも知れない。
光太郎がバスの中で悪戦苦闘して太陽が真上に来た頃、3羽のツバメが南西から飛来すると光太郎の枝に休みに来るのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m




