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猫はふて寝する  作者: 山神ゆうき
さよなら猫とありがとうミケ
81/83

71・病院の人々とリハビリする人

ピッ・・・・・ピッ・・・・・ピッ・・・・・。


最初に気付いた時はその音だった。


(これは、何の音だろう。あっ、心電図モニターの音だ。)


私は目を閉じている事に気付き、私はゆっくりと目を開ける。


眩しかった。


長く目を閉じていたので、目を開けた瞬間に一瞬視界が真っ白だった。目が馴れてきてまず視界に入ってきたのは涙目になっている大神(おおかみ)くんの顔であった。


「オオ・・・カミ・・・くん?」


私はゆっくりと口を開いた。喋るのも久しぶりな感じがする。


恵聖(けいと)!」


私が目を開けたことに驚いたのか、大神くんは少し強く私の名前を叫んだ。


「き、奇跡です!奇跡が起こりました。先生を呼んできますね!」


今気付いたが、大神くんの隣にいた胸が大きく、その胸元に『佐次田(さしだ)』と書いてある看護師が急いで私がいる病室から飛び出していった。


私はまだ頭がボォ~っとしている感じがする。そして、ハッと我に返った。


「なんで大神くんがここにいるの!?」


私は顔を赤くして驚いた。


「ご、ごめん。恵聖!俺、お前の事が好きで・・・・・。それを伝えたくてここに来たんだ。」


大神くんも顔を赤くして言う。


「私を振ったのに・・・・。」


私は頬を膨らました。


「ごめん・・・・。」


シュンとする大神くん。それはそれでなんか可愛かった。


「じゃあ、しよ?」


「えっ?」


下を見ていた大神くんはすごい勢いで私の顔を見た。


「私も大神くんの事が好きだよ!だから、リハビリを早く終わらせて退院する。その当日はデートをしよ?」


私は笑顔で大神くんの顔を見た。


「お、おう・・・・・・。」


照れているのか、大神くんは私から目を反らした。


ーーーー(幕間)ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


私が目覚めて数日は絶対安静であった。しかし今はほとんどが車椅子で移動しながら、歩くリハビリも進んでおり、現在はなんとか私がいる病室の211号室の周囲だけ壁を伝って歩けるようになった。


ゆっくり、ゆっくりと私はある物を持って歩いていた。そして目的地に辿り着く。


トントントン。


私はそのドアをノックした。


「は、はい。どうぞ!」


中から女の子の声が聞こえた。


「失礼します。」


私はゆっくりとドアを開けた。

部屋には金茶の髪を後ろでおさげにして、前髪は目にかかるくらいで丸い眼鏡をかけている女の子が患者の服を着てベッドに座っていた。

ここは215号室であり、ドアのところには『根津(ねづ) みかみ』と書いてあった。


「だ、誰?」


みかみちゃんはビクビクしながら聞いてきた。


「初めまして。私は恵聖だよ。211号室に入院しているの。よろしくね。」


「よ、よろしく。」


おどおどしながらみかみちゃんは頭を下げた。私はテーブルに目を向けると、そこには"魔法少女アイドル@スリー"の黄色と青のステッキが置いてあった。


「魔法少女アイドル@スリーが好きなんだね。」


「う、うん。」


みかみちゃんはすごく私を警戒していた。それは当たり前であった。なぜなら、ここでの"みかみちゃん"と会うのは初めてだからだ。私は用事だけ終わらせて帰ろうと思った。


「ねぇ、みかみちゃん。私が持っているこの赤のステッキをあげる。」


そう言って私はみかみちゃんに赤のステッキを渡した。


「えっ?いいの?あ、ありがとうございます。」


みかみちゃんは少しだけ微笑み、お礼を言う。私はニッコリと笑って部屋から出ていった。


自分の部屋に戻るときに213号室で一旦止まる。どうやらここは今は空室のようだ。この世界にもクルミちゃんは居たのだろうか?今の私には分からないことである。


けど、居たんだと思う。だって、みかみちゃんが黄色と青のステッキを大切にしていたもん。


ーーーー(幕間)ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


更に数日が経った。私はリハビリを頑張り、なんとか車椅子を使わなくて済むくらいに回復した。

私の回復にはヤブ医者・・・・・じゃなく、國矢部(くにやべ)先生も驚いていた。


お陰様で明日には退院出来るみたいだ。


今日の私は1階にある売店へと足を運んでいた。


「いらっしゃいませ!」


売店のおばちゃんが笑顔で言う。売店にいるのは肩にウサギを乗せた商人かと思ったが、違うみたいだ。(あとから聞いた噂では、病院の道具や備品、売店の商品も持ってくる人が肩にウサギを乗せているとか乗せてないとか・・・・・。)


私は売店には何が売っているのか見て回る。売店には食料や雑貨や入院で必要な物とかいろいろ売っていた。

本もいろんな種類があり、コミックや小説も置いてあった。


「あっ!『お花のお姫様』の7巻が置いてある!」


私は思わず、手を差し伸べる。私と同時に手を差し伸べた人がいた。私の手と触れそうになり、びっくりして手を止める。相手の手は白い手袋をしていた。


「おや、これは失礼しました。」


私が横を見ると、執事の服に白い手袋、右目には片眼鏡をしており、髪型は茶色のミデイアムウルフの男性がいたのだ。(ひつじ)の角は・・・・・あるわけないよね。なに考えているんだろう私。


「ご、ごめんなさい。貴方もお花のお姫様は好きなんですか?」


私は頭をペコペコ下げた後に聞いた。


「いえいえ。(わたくし)はお嬢様に頼まれてその隣にある。『蛇大図鑑』を取りたかったのです。」


笑顔で言う執事。もう一度本が並んでいる場所を見る。確かに『お花のお姫様』の隣に『蛇大図鑑』が置いてあった。


「買い物の邪魔をしてしまいましたね。お先にどうぞ!」


「いえいえ。レディーファーストです。どうぞ!」


そう言って執事は一歩下がった。


「じゃあ、遠慮なく。」


私は手を伸ばし、『お花のお姫様』と『蛇大図鑑』を手に取った。


「どうぞ。」


私は執事に蛇大図鑑を渡した。


「お心遣い、とても感謝します。」


執事は受けとると、深々と頭を下げた。


「もしよろしければ、この後、お嬢様のお茶の相手をして貰えませんでしょうか?」


執事は思い出したかのように言った。


「えっ?いいのですか?」


私は目を真ん丸にして聞いた。


「ええ。私のお嬢様は日量(ひばかり)家財閥の次期当主候補の一人のみじゃお嬢様でございます。みじゃお嬢様は毎日『退屈なのじゃ!』と駄々をこねておられたところです。」


そう言うと執事は苦笑いをした。


「じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔しようかな。」


この後、私は執事の主であるみじゃと楽しくお茶をした。例の蛇のアートが飾っている部屋で。


そして、ついに退院の時が来たのであった。

ご愛読ありがとうございました。


次は一気に2話アップします。

次の投稿で完結します。


最後までお付き合いよろしくお願いします。

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