70・大きな私と小さな私
こんにちは。
最終章になりました。
そう、近津 恵聖ですべてを思い出した私は周りを見渡すと真っ白な世界に立っていた。
「恵聖お姉ちゃん。」
突然女の子の声が聞こえて私は前を向く。
そこには小さい頃の私が立って微笑んでいた。少し違うところは小さい私に黒い猫耳と尻尾があった。
「ねぇ。恵聖お姉ちゃん。オオカミくんが恵聖お姉ちゃんの事を好きって言っているよ?やっと願いが叶ったね。」
小さい私は笑顔で言った。
「ねぇ。小さい私。」
「ん?何?」
私が声をかけるときょとんとして首を傾げる。
「今までありがとう。私のわがままを全部押し付けちゃったかな?」
私の目から涙が溢れてきた。そして、優しく小さい私の頭を撫でる。
「ううん。そんなことないよ。とても楽しかった!けど、もう私の役目は終わりだね。さようなら、恵聖お姉ちゃん。」
小さい私はそう言うと私にギュ~っと抱きついてきて消えていった。
「ありがとう。」
私は消えていく小さい私に『さよなら』ではなく、お礼をいうのであった。
小さい私が暮らした屋敷の記憶が私の中に入ってきた。そのとき、小さい私は幸せだったんだなと思った。
小さい私が消えた後に、足元で光る玉みたいなのが現れた。私は不思議そうに見ていると、光が消えると同時に1匹の黒猫が現れた。
「みみゃあ~。」
そう、その黒猫はミィちゃんであった。
「ミィちゃんもありがとう。小さい私を助けてくれたんだね。」
私はそう言ってしゃがみ、ミィちゃんの首の下を撫でた。ミィちゃんはとても気持ちいいよくな顔をした後に後ろの方を向き走っていく。
私が目で追っているとミィちゃんは誰かの足元で止まった。私はいきなり現れた人物に驚き、その人物が誰なのか確かめるために顔を上げる。
「・・・・・おばあちゃん。」
そう、その人物はおばあちゃんであった。おばあちゃんは足元まで来たミィちゃんを拾い上げると、私の方を見てニッコリ笑った。
私は小さい私とおばあちゃんとミィちゃんに助けられたのだ。
「お、おばあちゃーん。グスン。ほ、本当にありがとーう。」
私は泣きながら大きな声で結構離れているおばあちゃんに向かって叫んだ。
おばあちゃんは満足そうに再びニッコリ笑ってどんどん薄くなり消えていった。
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おばあちゃんが消えて、数秒後に景色が変わった。私はあの屋敷の玄関側の庭にいた。
玄関の出入口にはメイド長の雲木、メイド副長の引田、私の面倒を見てくれたメイドの五月や宇美や他数名のメイドが立っていた。
「ミケちゃん。・・・・・・いいえ。恵聖さん。あなたは旅立つ事になりました。さぁ、あの門から自分の場所に帰りなさい。」
雲木はそう言って門番がいない方、色とりどりの木が植えてある山が見える側の門を指を指す。
私は無言で山々を眺めていた。
「あれは人の人生を現しているの。」
雲木が口を開く。
「春、夏、秋、冬。四季巡る1年に登坂みたいにキツい時もあれば、下り坂みたいに楽な時もある。どんな時でも一生懸命に生きないと駄目なんだよ。」
雲木は優しく言った。
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「みなさん。お世話になりました。」
私は雲木達に深々と頭を下げた。
「け、恵聖ちゃん。元気でね。グスン。」
そう言って泣いているのは小さい私の面倒を見てくれていた五月であった。
「ありがとうございます。お世話になりました。」
私は五月にもお礼を言った。
メイド達に見送られながら私は門の方面へ歩いく。私は屋敷の住人に挨拶をしてないことを思い出したが、ムードを壊したくないので、歩く足を止めなかった。
そしてとうとう門の目の前までやって来た。近くで見たのは門番がいる門の方だったが、やはり門は大きくて見上げるほどである。
しかし、こっちの方には門番はいないみたいだ。
私はゆっくり門に触れてみる。
ゴゴゴゴゴ・・・・・。
すると門はゆっくり開き始めた。門の向こう側は眩しくて分からなかった。
門が全て開くと私の体は光に包まれた。




