29・喧嘩する猫と楽しむ猪
ミジャのアートに対する一時間の説明も虚しく、私はミジャの説明にたいして「分からない」と答えてしまった。
「という前回のあらすじが入りそうですね」
執事の羊はキリッとして言う。
「だから!前回のあらすじってなによ!」
私は羊にツッコミを入れる。初対面なのに本日二度目のボケとツッコミだ!もしかしたら、私と羊は相性が良いのかもしれない。
それはともかく、ミジャは機嫌を損ねてしまったのだ。
「とても酷いのじゃ!」
ミジャはとてもシュンとしている。本当の事を言ってしまったとはいえ、蛇の彫刻や絵画がたくさんあることはとても不気味なのだ。
(おやおや!私の思っていた通りにおーもーしーろーくー!なってきましたねぇ)
シシミはそう思い、心の中でニヤニヤしている。
「僕様の台詞や出番は無しだぜ!」
1番の用事があった豚の勇者はもはや私達の眼中には無い。
「ミケに問おう!ミジャが好きな蛇は好きかえ?」
ミジャは上から目線で私に聞く。どうやら語尾の「じゃ」はキャラ作りらしい。
「私、蛇は苦手なの。不気味だし」
私はハッキリと言った。
「ま、まぁ、いいのじゃ。こ、ここ、好みなんてひ、人それぞれなのじゃ」
(さすがミジャお嬢様。ここは耐えましたか)
ミジャの大人な対応に感動する羊。
「とーこーろーで!勇者様とミジャ様はどのような関係なのなのですか!?ひょっとしてー、ラブラブカップルなのですかー?」
シシミの質問に豪快に紅茶を吹き出す豚の勇者。
「ゴホッゴホッ!ち、違うぜ!僕様とお姫様は小さい頃からの幼馴染なんだぜ!この屋敷の103号室に来て見回りをしていた時に偶然再会したんだぜ」
むせながら豚の勇者は答える。そっか。豚の勇者の部屋は103号室なのか。
「そうなのじゃ。ちなみにミジャの運命の人はオオカミ様なのじゃ」
ミジャは目を閉じ祈るような手で言う。その言葉に私はピクッと反応する。
「オオカミ様はミジャのフィアンセなのじゃ」
ミジャはそんなことを言いながら幸せそうだ。
「おやおや。そう言っても約束はしてないでしょ?」
クスッと笑い、羊は冷たいツッコミを入れる。
「オオカミ・・・・・。フィアンセ・・・・」
その時、私の奥深くに眠っていた記憶が少し蘇る。
(「オオカミさんは私のフィアンセですわ。」「あら、あなた。オオカミさんに告白して駄目だったみたいですわね?ブザマですわ!」)
お嬢様口調で誰かを馬鹿にする台詞。誰が誰を馬鹿にしているか分からないが、私は何故かと嫌な気持ちになった。
「あなたにはオオカミくんは渡さないわ!」
私は何故かその言葉が出ていた。私はオオカミくんの事はあまり知らない。だが、この人に取られたくないという気持ちもあり、何故そうなのか分からなく、自分自身でも何が何だかわからない。しかし、その言葉を言わないと後悔するような気がした。




