20・危険なメイドと危機猫
まさかエレベーターの前で最悪なコンビに会ってしまった。メイド長の雲木とメイド副長の引田が睨み合っていた。
「フフフフフ・・・・・」
「アハハハ・・・・・・」
2人とも殺気を放っているが、引田は木刀を持ってなく、雲木も構えてはいない。場の雰囲気とは別にそこまで大きな乱闘は起こらないような気がする。それは、前回の乱闘を見た私だから分かることだった。クルミちゃんもミカミちゃんもいつ乱闘が起こるかと息を飲み見守っている。
そう思っている間に2人の乱闘が始まった。
「ねぇ、引田。私はデザート用のスプーンとティースプーンを別々に分けるって言ったわよねっ?」
雲木はその「ねっ?」を強く言って同時に引田の足を強く踏む。
「いってぇ~!なにするんだよ!スプーンを分ける?はぁ?見ればわかるからいいじゃねーかよ!」
引田はそう言いながら雲木の頬をつねる。
「あれ?私が見たときはこんな優しい乱闘じゃなかったのに!なんで?」
私は前に見た乱闘と今、目の前で起こっている乱闘の激しさに差があることに驚く。クルミちゃんとミカミちゃんは目の前の乱闘が大きな乱闘と思い、微妙に震えている。
「その質問に、私が!私が!こーーのーー私がお答えしましょう!」
その声にびっくりして後ろを見ると、いつの間にかクルミちゃんの隣にシシミがいた。
「えっ?シシミ?いつの間に!?」
私は驚きシシミに聞いた。
「いやぁ~。あなた達が私の部屋を通りすぎた後に見つからないように尾行していたんだよ!あなた達からとーーーーっても面白い情報のオーラが出ていたからねぇ!」
シシミは右手を挙手して言う。
クルミちゃんとミカミちゃんは「だれ?」という顔をしていたのでシシミの説明をした。シシミも「よろしくね!」とウインクをする。
「ところで!ところで!とーこーろーでー!!あの2人について説明しましょう!」
シシミは右手をグーにして顎元へ持っていき、咳払いをひとつする。
「コホン!では!では!実は、前回の乱闘であの2人はすごく反省したみたいなのです!それで、雲木さん、引田さん、五月様の3人で話し合い、結果!ダガダガダガダガダガダガダガダガダン!2人の大きな乱闘の禁止になったのであーる!」
手を腰に当ててえっへん!というようなポーズでシシミは言う。
「そーなんだぁ。小さな乱闘だけど~、エレベーター前でしているのはちょっとぉ・・・・・」
苦笑いをしながらクルミちゃんは言う。
「な、ななにか対策とかないんですか?」
ミカミちゃんがシシミに聞く。
「私に!この私に!お任せくださいなのです!」
そう言ってシシミは目を閉じ自分の胸をポン!と叩く。そのあと「スゥーーーーー!」と大きく息を吸い。
「ああー!これはこれは!五月様!!こーーんにちはーーー!!」
シシミはそう言って遠くを見て思いっきり手を振る。それと同時に雲木と引田はピクッとして、喧嘩をやめスタスタスタとどこかに行ってしまった。
「これで!こーれーで!通れますよー!」
そう言ってシシミはピシッ!と敬礼をした。
「ありがとう、シシミ」
私は笑顔でお礼を言う。
「いえいえ!ところでっ!あなた達はとーーっても面白いことをしてますねぇ!今!今から取材はいーーですかっ?」
シシミは瞳を輝かせて身を乗り出して聞いてきた。私はクルミちゃん、ミカミちゃんの顔を見る。2人とも「オッケー!」という顔をしていた。
「うん!いいよ!」
私はシシミを見て笑顔で答える。
「ではでは!三名様を私の部屋にご招待!」
そういってシシミは私達をエレベーターにエスコートする。




