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角を狩るモノ  作者: Samail
九章 角を狩るモノ

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最終話 ツナグセカイ

現代。


上代家。


昼下がり。

居間ではシズが小さな男の子に言い聞かせていた。


「……そんなわけで、ご先祖さまたちのお墓参りは大事なの。分かった?」


男の子は面倒くさそうに頬杖をつく。


「ただの石じゃん。お墓なんて。」


シズの額に青筋が浮かんだ。


「こ・の・愚・息・がぁ!」


ゴツン。

鈍い音が響く。


「いったぁ……。」


頭を押さえて涙目になる男の子を見て、シズは腕を組む。


「あなたもちょっと叱ってよ。」


向かいで新聞を読んでいた父親は苦笑した。


「うーん。ただの石かもしれない。」


「でもね。そこには人の想いがあるんだ。」


男の子は不思議そうな顔をする。

父親は優しく笑った。


「君の名前だって、ご先祖様からもらったんだよ。」


「お墓参りくらいしても、悪いことはないんじゃないかな。」


男の子は渋い顔をしたまま黙り込む。

そこへ姉の少女が顔を出した。


「ほんと偏屈だよねー。ソウは。お墓参りくらい脳死で行けばいいじゃん。どうせお母さんに怒られるって分かってるでしょ?」


「マユ!」


シズが睨む。


「ひゃっ!」


マユは慌てて肩をすくめた。


「まぁまぁ。」


「今から河太郎とわらしとお昼寝するからさ。出発するとき起こして。」


そう言って男の子は縁側へ駆けていく。


「こら!」


シズが呼び止める。

しかし返事はない。

居間には呆れた空気が流れた。


「はぁ……。」


シズはため息をつく。


「なんであんなに怠け者で偏屈なんだろ。」


ふと足元を見る。

ゲームセンターのメダルが一枚、転がっていた。


「ソウ。」


「またこんなところに落として。」


メダルを拾い上げ、縁側へ向かう。


そこでは男の子が河太郎とわらしに囲まれ、気持ちよさそうに眠っていた。

怪異たちも寄り添うように目を閉じている。

シズは思わず笑う。


「ほんと。誰に似たんだか。」


優しく頭を撫でる。


居間へ戻る。

床の間には、一振りの刀が静かに飾られていた。


長い年月を越え。

想いを繋いできた刀。


その刀は、何も語らない。


ただ。

ほんの少しだけ。

淡く輝いた。

拙文にお付き合いくださりありがとうございました。


少年ソウが成長した物語を楽しんでやってもいいぜって方はこちらもご覧ください。


何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~

https://ncode.syosetu.com/n9541ly/

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