最終話 ツナグセカイ
現代。
上代家。
昼下がり。
居間ではシズが小さな男の子に言い聞かせていた。
「……そんなわけで、ご先祖さまたちのお墓参りは大事なの。分かった?」
男の子は面倒くさそうに頬杖をつく。
「ただの石じゃん。お墓なんて。」
シズの額に青筋が浮かんだ。
「こ・の・愚・息・がぁ!」
ゴツン。
鈍い音が響く。
「いったぁ……。」
頭を押さえて涙目になる男の子を見て、シズは腕を組む。
「あなたもちょっと叱ってよ。」
向かいで新聞を読んでいた父親は苦笑した。
「うーん。ただの石かもしれない。」
「でもね。そこには人の想いがあるんだ。」
男の子は不思議そうな顔をする。
父親は優しく笑った。
「君の名前だって、ご先祖様からもらったんだよ。」
「お墓参りくらいしても、悪いことはないんじゃないかな。」
男の子は渋い顔をしたまま黙り込む。
そこへ姉の少女が顔を出した。
「ほんと偏屈だよねー。ソウは。お墓参りくらい脳死で行けばいいじゃん。どうせお母さんに怒られるって分かってるでしょ?」
「マユ!」
シズが睨む。
「ひゃっ!」
マユは慌てて肩をすくめた。
「まぁまぁ。」
「今から河太郎とわらしとお昼寝するからさ。出発するとき起こして。」
そう言って男の子は縁側へ駆けていく。
「こら!」
シズが呼び止める。
しかし返事はない。
居間には呆れた空気が流れた。
「はぁ……。」
シズはため息をつく。
「なんであんなに怠け者で偏屈なんだろ。」
ふと足元を見る。
ゲームセンターのメダルが一枚、転がっていた。
「ソウ。」
「またこんなところに落として。」
メダルを拾い上げ、縁側へ向かう。
そこでは男の子が河太郎とわらしに囲まれ、気持ちよさそうに眠っていた。
怪異たちも寄り添うように目を閉じている。
シズは思わず笑う。
「ほんと。誰に似たんだか。」
優しく頭を撫でる。
居間へ戻る。
床の間には、一振りの刀が静かに飾られていた。
長い年月を越え。
想いを繋いできた刀。
その刀は、何も語らない。
ただ。
ほんの少しだけ。
淡く輝いた。
拙文にお付き合いくださりありがとうございました。
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何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~
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